日産サクラのグレード違いを比較|2024年モデルの車両構成もチェック

日産サクラのXとGを並べて装備や価格の違いを比較する軽EVのイメージ

2024年の日産サクラは、一般ユーザー向けではXとGが中心で、走行性能はほぼ共通、主な違いは安全・運転支援装備やナビ、内外装の仕立てにあります。

2024年5月30日時点の価格はXが259万9,000円、Gが308万2,000円。約48万円の価格差をどう見るかが、グレード選びの大きなポイントです。

2024年の日産サクラはどんな車両構成だった?

日産サクラは、日産初の軽乗用EVとして2022年5月に発表され、同年6月に発売されたモデルです。軽自動車らしい扱いやすいサイズに、20kWhの駆動用バッテリーとEVならではの力強いモーターを組み合わせています。

2024年モデルを理解するうえで、まず押さえておきたいのがグレード構成です。

もともとサクラには「S」「X」「G」という3つのグレードが設定されていました。しかし、当時のSはレンタカーなどを含む法人需要を主に想定した仕様で、個人ユーザーが日産公式サイトなどで購入を検討する場合は、実質的にXとGの2グレード比較が中心でした。

2024年5月30日時点の代表的な車両構成は次のとおりです。

項目 X G
車両価格 259万9,000円 308万2,000円
型式 ZAA-B6AW ZAA-B6AW
車両重量 1,070kg 1,080kg
乗車定員 4名 4名
駆動方式 前輪駆動 前輪駆動
全長 3,395mm 3,395mm
全幅 1,475mm 1,475mm
全高 1,655mm 1,655mm
最小回転半径 4.8m 4.8m

つまり2024年の日産サクラは、「安いグレードは走りも大幅に落ちる」という構成ではありませんでした。

Xでもサクラの基本的なEV性能をほぼそのまま味わえる一方、Gでは運転支援や快適装備、ナビ、内外装の質感を充実させるという分かりやすい階層になっています。

車選びでコスパを重視する私としては、この構成はかなり重要だと感じます。単純に「上級グレードほど速い」という車ではないため、自分が必要とする装備を見極めれば、Xでも十分に満足できる可能性が高いからです。


日産サクラのグレード違いは?XとGで走行性能はほぼ同じ

日産サクラのXとGを比較したとき、まず意外に感じるのが走行性能の差がほとんどないことです。

モーターや駆動用バッテリーなど、EVとして重要な基本部分は両グレードで共通しています。

サクラは20kWhのリチウムイオンバッテリーを搭載し、WLTCモードの一充電走行距離は180km。モーターの最高出力は47kW、最大トルクは195N・mです。

195N・mという最大トルクは、一般的な軽ターボ車と比べてもかなり力強い数字です。EVは発進直後から大きなトルクを使えるため、街中の信号発進や坂道、幹線道路への合流などでスムーズな加速を感じやすいのが特徴です。

XとGの差として挙げられるのは、2024年モデルでは車両重量がXの1,070kgに対して、Gが1,080kgと10kg重いこと。ただし、これによって実用上の走行性能に明確な差が出ると考える必要はないでしょう。

ボディサイズも両グレード共通で、全長3,395mm×全幅1,475mm×全高1,655mm。最小回転半径も4.8mです。

したがって、「安いXにすると航続距離が短くなる」「Gだけモーターが強力になる」といった違いはありません。

これは日産サクラのグレード選びで非常に大事なポイントです。

個人的には、EVとしての走りそのものを目的に買うならXでも十分だと考えます。約48万円高いGの価値は、速さではなく、その大部分が装備の充実度にあるからです。


2024年の日産サクラはXとGで外装・内装がどう違う?

走行性能がほぼ共通である一方、XとGでは見た目や車内の仕立てに違いがあります。

2024年モデルではボディカラーの選択肢にも差があり、Xは季節をイメージした2トーンのシーズンカラー4色と単色6色の計10色が用意されていました。

一方のGでは、Xで選べる10色に加えて2トーンカラー5色が設定され、計15色から選択可能でした。

つまり、色に強いこだわりがある人ほどGを選ぶ理由が増えます。

エクステリアではヘッドライトの機能も異なります。

両グレードともLEDヘッドランプですが、Xはマニュアルレベライザーとハイビームアシストを採用。Gにはオートレベライザー付きのアダプティブLEDヘッドライトシステムが装備されます。

アダプティブLEDヘッドライトは、周囲の状況に応じて照射範囲を制御する装備です。夜間走行が多い人にとっては、単なる高級装備というより実用性につながる部分でしょう。

フロントまわりも、Gにはクリアブラックシールドが使われ、Xより上質感を強めた仕立てとなっています。

インテリアでは、Gのインストルメントパネルやドアフィニッシャーにカッパー加飾が採用される点が特徴です。

サクラはもともと和の雰囲気を取り入れたデザインが特徴ですが、Gでは装飾によって上級グレードらしさがより分かりやすく表現されています。

また、GにはUSB電源ソケットのType-AとType-Cがそれぞれ1個ずつ標準装備され、2024年モデルのXではオプション扱いでした。

さらに、より質感を高めるプレミアムインテリアパッケージを選択できたのもGです。

ただ、ここは冷静に考えたいところです。

カッパー加飾や選べるボディカラーの多さは確かに魅力ですが、日常の移動に必要な基本性能が大きく変わるわけではありません。見た目へのこだわりがそれほど強くないなら、Xのほうが価格とのバランスは取りやすいと私は感じます。


ナビとプロパイロットが2024年サクラの大きなグレード差

日産サクラのXとGで、価格差を実感しやすいのがナビゲーションと運転支援装備です。

2024年モデルのXは、基本的にオーディオレスで2スピーカーという構成でした。

対してGでは、EV専用NissanConnectナビゲーションシステム、NissanConnect専用車載通信ユニット、ETC2.0ユニットが標準装備され、スピーカーも6個となります。

つまりGは、購入後にナビや通信環境を整える手間が少ない「最初からそろった仕様」と考えると分かりやすいでしょう。

安全装備については、インテリジェントエマージェンシーブレーキをはじめ、日産が「360°セーフティアシスト」と呼ぶ機能の多くがXとGの両方に用意されていました。

そのため、Xだから安全装備が極端に少ないというわけではありません。

一方で明確な差となるのが、プロパイロットなどの運転支援機能です。

2024年当時、Gにはプロパイロット、プロパイロット緊急停止支援システム(SOSコール機能付き)、SOSコールが標準装備されていました。

さらに、運転席SRSニーエアバッグ、後席のロードリミッター付きプリテンショナーシートベルト、インテリジェントアラウンドビューモニターなどもGでは標準装備となっていました。

プロパイロットは高速道路などでアクセル、ブレーキ、ステアリング操作を支援する機能です。ドライバー自身が周囲を確認し、安全運転を続ける必要はありますが、長時間の走行時には負担軽減につながります。

一方、サクラという車の性格を考えると、ここは少し面白いポイントです。

サクラの一充電走行距離はWLTCモード180kmで、買い物、送迎、近距離通勤といった街乗り用途との相性が良いEVです。

そのため、高速道路を頻繁に使わない人なら「プロパイロットを標準装備するGが本当に必要なのか?」を一度考えてみる価値があります。

私は、サクラの主な用途が片道数kmから数十km程度の買い物や通勤なら、Gの装備をすべて使い切れないケースも少なくないと考えます。

逆に、高速道路も利用する、駐車時にアラウンドビューモニターを積極的に使いたい、NissanConnectナビまで一式そろった状態がいいという人なら、Gの価格差には十分な意味があります。


2024年モデルと2026年改良型では車両構成がどう変わった?

2024年の日産サクラを調べている人に、ぜひ知っておいてほしいのが、その後の車両構成の変化です。

日産は2026年4月16日にサクラのマイナーチェンジを発表し、注文を開始しました。発売は2026年夏と案内され、グレード構成や標準装備が見直されています。

2026年改良型では、Sが改めてエントリーグレードとして位置づけられ、S・X・Gの3グレード構成が明確になりました。

価格はSが244万8,600円、Xが259万9,300円、Gが299万8,600円とされています。

2026年4月1日以降のCEV補助金58万円を適用した場合の参考額は、Sが186万8,600円、Xが201万9,300円、Gが241万8,600円です。

ただし、補助金は登録時期や制度の条件によって変わる可能性があるため、実際の購入時には最新の制度を確認する必要があります。

注目したいのは、2024年モデルではGとの差として意識されていた装備の一部が、2026年改良型ではXにも標準化されたことです。

たとえばXには、インテリジェントアラウンドビューモニター、前席シートヒーター、ステアリングヒーターなどが標準装備されました。

つまり2026年型では、Xの「ちょうどいいグレード」としての魅力がさらに強まったと見ることができます。

一方のGは、プロパイロットやSOSコールなどを備える上級グレードとして位置づけられています。

また、2026年型でも基本性能は3グレードで共通し、20kWhバッテリー、一充電走行距離180km、最高出力47kW、最大トルク195N・mという基本構成です。

この変化を知っておくと、中古車で2024年式サクラを探すときにも役立ちます。

中古車サイトで「X」と書かれていても、2024年式と2026年型では標準装備の範囲が異なります。グレード名だけを見て「この装備は付いているはず」と判断しないことが重要です。

特にアラウンドビューモニター、ナビ、プロパイロット、シートヒーターなどは、年式やメーカーオプションによって仕様が変わるため、現車ごとの装備確認が欠かせません。


日産サクラのXとG、2024年モデルならどちらを選ぶ?

2024年モデルの日産サクラを今あらためて選ぶなら、私はまずXを基準に考えるのがおすすめだと思います。

理由はシンプルで、サクラの魅力であるモーター性能や20kWhバッテリー、180kmのWLTC航続距離、軽自動車サイズの取り回しやすさといった部分を、Xでもほぼ同じように得られるからです。

2024年5月30日時点ではXが259万9,000円、Gが308万2,000円で、その差は48万3,000円です。

約48万円あれば、かなり大きな差です。

もちろんGにはNissanConnectナビ、ETC2.0、6スピーカー、プロパイロット、SOSコール、アダプティブLEDヘッドライトなど、魅力的な標準装備がそろっています。

その装備を積極的に使うなら、Gを選ぶ意味は十分にあります。

一方、近所の買い物や通勤が中心で、高速道路にはあまり乗らないという使い方なら、装備のために約48万円を上乗せするよりXを選ぶ考え方も合理的です。

特に中古車では、Xにもナビやアラウンドビューモニターなどが装着された車両が存在します。

2024年11月中旬時点の中古車市場では、サクラは全国900台以上が流通し、Xは約600台、Gは約260台とされていました。Xのほうが選択肢が多いため、装備条件を細かく指定して探しやすいのもメリットです。

当時の目安では、Xは総額140万~270万円、Gは165万~300万円程度。低走行の車両でも、新車よりかなり手頃な価格で見つかるケースがありました。

中古車価格は現在の在庫状況や車両状態で大きく変動するため、最新の販売価格は個別に確認する必要があります。

ここで私が重視したいのは、中古車なら「XかGか」よりも「実際に何が付いているか」を見ることです。

同じXでもナビ付き、アラウンドビューモニター付き、シートヒーター付きなど仕様はさまざまです。逆に、必要のない装備まで含めてGを選ぶより、条件に合ったXを探したほうがコスパが高くなることがあります。

これは新車のカタログ比較だけでは見えにくい、中古車選びならではのポイントでしょう。


筆者の考察|サクラはグレードより「使い方」を先に決めたい

個人的には、日産サクラのグレード選びで最初に考えるべきなのは予算でも装備表でもなく、自分がこの車をどこまで走らせるのかだと思います。

サクラの一充電走行距離はWLTCモード180kmです。

日常の買い物や送迎、近距離通勤なら十分使いやすい一方、往復100kmを超える移動や高速道路を使う遠出を頻繁に行う人には、充電計画が必要になります。

普通充電では満充電まで約8時間、急速充電では約40分で80%が一つの目安とされています。

自宅で200V普通充電ができ、毎日の走行が数十km程度なら、夜に充電して翌朝使うというEVらしい便利さを活かしやすいでしょう。

反対に、自宅や生活動線上に充電設備がなく、外出先の急速充電を頻繁に使う前提では、グレード以前にサクラそのものが自分の生活に合うか確認したほうがいいと思います。

そのうえでグレードを決めるなら、街乗り中心ならX、運転支援やナビなどを最初から充実させたいならGという整理が分かりやすいです。

2024年モデルを中古で探す場合は、さらに面白い状況になります。

新車時には約48万円あったXとGの価格差が、中古市場では縮まっている車両もあります。もし同程度の年式・走行距離でGとの差が十数万円程度しかないなら、プロパイロットやNissanConnectナビなどを含めた装備差を考えてGを選ぶ価値が高まります。

逆に、装備の充実したXが安く見つかれば、それこそコスパ重視では狙い目です。

つまり2024年サクラの中古車選びでは、新車時のグレード序列をそのまま当てはめないことが大切です。

「Xだから下」「Gだから得」ではなく、価格、走行距離、バッテリーの状態、装備内容、保証の残りなどを1台ずつ比較するほうが、賢い買い方につながると私は考えます。


まとめ|2024年日産サクラのグレード違いは装備で見極めよう

2024年の日産サクラは、個人向けではXとGの比較が中心でした。2024年5月30日時点の車両価格はXが259万9,000円、Gが308万2,000円です。

一方、20kWhバッテリーやモーターなどEVとしての基本部分はほぼ共通で、Xを選んでもサクラ本来の走行性能が大きく落ちるわけではありません。

大きな違いは、プロパイロット、SOSコール、アダプティブLEDヘッドライト、NissanConnectナビ、6スピーカー、内外装の加飾などです。

そのため、コスパ重視ならX、先進運転支援や装備の充実度を重視するならGという選び方が基本になります。

また2026年改良型ではS・X・Gの3グレード構成となり、Xの標準装備も強化されました。2024年式を中古で探す場合は、現行型と装備内容が異なることを理解したうえで、年式だけでなく実車のオプションまで確認することが重要です。

サクラはグレードによる走りの差よりも装備差が大きい車です。だからこそ、高いグレードを選ぶこと自体を目的にせず、「自分が本当に使う装備にいくら払うか」という視点で選ぶと、納得感のある1台を見つけやすいでしょう。


よくある質問

2024年の日産サクラは何グレードありますか?

日産の発表上はS・X・Gがありましたが、2024年当時のSは主に法人需要向けでした。そのため、一般ユーザーの新車選びではXとGの2グレードを比較するケースが中心でした。

日産サクラのXとGで航続距離は変わりますか?

基本的には変わりません。20kWhの駆動用バッテリーを搭載し、WLTCモードの一充電走行距離は180kmという点が共通しており、グレード差は主に装備内容にあります。

2024年式サクラの中古車はXとGのどちらがおすすめですか?

価格重視ならXが有力ですが、中古車では新車時よりGとの価格差が小さくなっている場合があります。ナビ、プロパイロット、アラウンドビューモニターなど実際の装備と車両価格を1台ごとに比較して選ぶのがおすすめです。

日産GT-R生産終了、18年の歴史に幕|R35最後の1台まで総まとめ

栃木工場を背景にしたミッドナイトパープルの高性能スポーツカーと18年間の歴史を象徴する情景

日産GT-R(R35)は2025年8月26日に生産を終了し、2007年の登場から続いた18年間の歴史に幕を下ろしました。最後の1台はミッドナイトパープルの「Premium edition T-spec」で、日本のオーナーへ届けられます。

日産を代表するスポーツカーとして、国内だけでなく世界中で知られてきたR35型GT-R。約4万8000台が生産され、最高出力は登場時の480PSから570PSへ、NISMOでは600PSにまで高められました。

この記事では、日産GT-Rがなぜ生産終了したのか、最後の一台はどんな車だったのか、18年間で何を成し遂げたのかを、R35の歩みとともに整理します。

日産GT-Rはいつ生産終了?18年間の歴史に幕

日産は2025年8月26日、栃木工場でR35型GT-Rの最後の車両をラインオフし、生産を終了しました。

R35型GT-Rが発売されたのは2007年。つまり、一度もフルモデルチェンジをせず、改良を積み重ねながら18年間にわたって生産された異例の長寿モデルだったことになります。

18年間の総生産台数は約4万8000台です。

一般的な量販モデルの生産台数と比較すれば決して多くありませんが、GT-Rは世界最高クラスの性能を狙う高性能スポーツカーです。その性格を考えれば、約4万8000台という数字には大きな意味があります。

R35は「誰でも、どこでも、どんな時でも最高のスーパーカーライフを楽しめる」という考え方のもとに開発されました。

ただ速いだけではなく、雨天や雪道、市街地、高速道路、サーキットといった幅広い環境で高い性能を引き出せることを目標としたクルマです。

「GT」はグランドツアラーとしての快適性、「R」はレーシング技術を象徴するもの。その両方を1台にまとめようとしたところがR35 GT-Rの大きな特徴でした。

個人的に、R35を語るうえで重要なのは「18年間も同じクルマを売り続けた」というより、18年間、同じ基本設計を磨き続けたという点だと思います。

普通なら世代交代する期間の中で、GT-Rはモデルイヤーごとに出力、操縦安定性、乗り心地、空力性能などを改善しました。18年という数字は、単なる長寿記録ではなく、改良を積み重ねた時間でもあります。


日産GT-R最後の一台はミッドナイトパープルのT-spec

「日産GT-R 最後の一台」がどの仕様だったのか気になる方も多いでしょう。

2025年8月26日に栃木工場からラインオフした最後のR35は、「Premium edition T-spec」でした。

ボディカラーにはGT-Rファンにもなじみ深いミッドナイトパープルが選ばれています。さらに、T-spec専用のモスグリーン内装を備えた仕様とされています。

そして、この最後のGT-Rは保存車ではなく、日本のユーザーに届けられる予定となりました。

18年もの歴史を締めくくる1台が日本仕様であり、日本のオーナーのもとへ渡るというのは、GT-Rが日本で生まれたスポーツカーであることを象徴する結末にも感じられます。

R35は発売当初から海外市場を強く意識し、ニュルブルクリンクで世界の高性能車と真正面から競ってきました。

その一方で、開発、生産、エンジン組み立ての中心は日本です。最後の一台まで日本で生産され、日本のユーザーへ届けられるという点には、R35らしい物語性があります。

2025年モデルについてもGT-Rの人気は衰えていませんでした。国内向けに用意された約1500台は早期に注文が埋まったとされ、最終局面でも高い注目を集めていました。

つまり、売れないから静かに消えたスポーツカーではありません。欲しい人がいる状態のまま生産を終えたことが、R35の生産終了をより印象的なものにしています。


日産GT-Rはなぜ生産終了した?法規と部品供給が大きな壁に

R35 GT-Rの生産終了について、「日産の経営状況が悪化したからではないか」と考える人もいるかもしれません。

しかし、メーカーや複数の報道で主に挙げられているのは、新しい法規への対応と部品調達の難しさです。

主なポイントを整理すると、次のようになります。

  • 衝突被害軽減ブレーキなど新しい安全基準への対応
  • ADASなど先進運転支援システムへの対応
  • 古い電子プラットフォームの更新の難しさ
  • 一部部品の継続的な調達が困難
  • 法規対応を続けるための開発コスト増大

R35の基本設計は2007年です。

もちろん18年間まったく同じ状態だったわけではなく、何度も大規模な改良が施されました。ただし、車両の根幹まで毎回新しくできるわけではありません。

自動車を取り巻く安全基準や環境基準は、その18年間で大きく変わりました。

特に日本では2025年12月から継続生産車についても衝突被害軽減ブレーキの装着義務が拡大するとされ、R35がさらに生産を続けるなら電子システムを含む大幅な見直しが必要になります。

センサーを追加するだけで済む話ではありません。

ブレーキ制御や車両制御、電子プラットフォームとの連携まで含めて確認し、安全性やGT-R本来の走行性能を成立させなければならないためです。

18年前に設計された車体へ最新技術を追加していくのは、古い住宅に最新設備を載せ続けるようなものです。一定の段階までは改修できますが、どこかで「新しく設計したほうが合理的」という境界に到達します。

R35はまさに、その境界まで改良を続けたクルマだったのでしょう。

部品供給も問題でした。

18年間も生産を続ければ、当初の部品メーカーの生産体制が変わったり、素材や電子部品が廃番になったりする可能性があります。

日産も一部部品の調達が難しくなったことを生産終了の背景として説明しています。

発売当初の廉価グレードは777万円でしたが、後年になると価格は大きく上昇しました。単純な物価上昇だけでなく、性能向上や法規への対応を続けるためのコストも積み重なったと考えられます。

私は、GT-Rの生産終了を「人気がなくなったから」と見るのは実態と少し違うと考えています。

むしろ人気を維持しながら、18年前の基本設計で現代の要求に応え続けることが限界に達した。こちらのほうがR35の終幕を理解しやすいでしょう。


R35 GT-Rは18年間で480PSから570PSへ進化した

R35 GT-Rの特徴は、フルモデルチェンジをしなかった代わりに、年次改良を積み重ねて性能を高めてきたことです。

搭載されたのは、3.8リッターV型6気筒ツインターボのVR38DETTエンジン。

発売当初の最大出力は353kW、つまり480PSでした。

その後も改良が続けられ、2017年モデル以降の標準モデルでは419kW、570PSまで向上しています。最終モデルでは最大トルク637N・mという強大な性能を発揮しました。

さらに2014年にはGT-R NISMOを設定。

GT3レースカー由来のターボチャージャーをはじめ、高精度に重量バランスをそろえたピストンリング、コンロッド、クランクシャフトなどを採用し、最高出力は441kW、600PSに達しました。

そしてVR38DETTを特別な存在にしていたのが、横浜工場の「匠」です。

約4万8000台分のエンジンは、「匠」と呼ばれる熟練工によって手作業で組み立てられました。R35の歴史を通じてエンジン組み立てを担った匠は9人とされ、それぞれのエンジンには担当者の名前が記されたプレートが取り付けられています。

さらに栃木工場でも、GT-R専用工程の多くが熟練工の技能に支えられていました。

リアアクスル周辺やトランスアクスルの組み付けなど、機械による完全自動化だけでは成立しない工程が残され、人の手によって精度が作り込まれていたといいます。

製造現場の努力によって当初想定していた製造公差を縮め、結果として車体剛性が約8%向上したというエピソードも紹介されています。

ここはR35を評価するときに見逃したくない点です。

最新車というと、ソフトウェアや電動化技術ばかりに目が向きます。しかしR35では、最後まで人が性能を作るクルマでもあったわけです。

18年間のモデルライフを支えたのは、設計図に記されたスペックだけではありません。改良を積み重ねたエンジニアと、それを製品として成立させ続けた製造現場の力も大きかったと感じます。


ニュル7分08秒679などR35が残した記録とは?

GT-Rの名前を世界へ広めた大きな要因の一つが、ドイツ・ニュルブルクリンク北コースでのタイムアタックです。

2007年には、路面がやや湿った条件で7分38秒を記録しました。

2008年にはチーフテストドライバーの鈴木利男氏が標準仕様のR35 GT-Rを走らせ、7分29秒を記録。7分30秒の壁を突破します。

その後も進化は続きました。

2009年には7分26秒、2012年10月には7分18秒まで短縮。そして2013年11月、GT-R NISMOをミハエル・クルム氏がドライブし、7分08秒679というR35史上最速タイムを記録しました。

国内でも記録への挑戦は続いています。

筑波サーキットでは2019年12月、2020年モデルのGT-R NISMOが59.361秒を記録。

さらに2024年1月には、2024年モデルのGT-R NISMOを松田次生氏がドライブし、59.078秒へ記録を更新しました。

R35の功績はタイムアタックだけではありません。

SUPER GTではGT500クラス5勝、GT300クラス3勝を記録。2013年のブランパンGTシリーズPro-Amクラス優勝、2015年バサースト12時間レース優勝など、モータースポーツでも実績を残しました。

さらに2016年にはUAEのフジャイラ国際空港で、特別にチューニングしたGT-Rが304.96km/h、30度の角度でドリフトし、当時の史上最速ドリフトとしてギネス世界記録を達成しています。

これらの記録を眺めると、R35は「カタログ上の馬力が高いクルマ」だけではなかったことが分かります。

速さを数字で示し、それを何度も更新することで、GT-Rというブランド自体の価値を世界へ伝えました。

現在ではニュルブルクリンクのラップタイムをメーカーが性能の指標として積極的に使うのは珍しくありません。

その流れが広がった時代に、R35が世界のスポーツカー市場へ与えた影響は小さくなかったと私は考えています。


次世代GT-Rは登場する?「永遠の別れではない」の意味

R35の生産は終了しましたが、GT-Rそのものが消滅すると決まったわけではありません。

生産終了時、日産CEOのイヴァン・エスピノーサ氏は、今回がGT-Rとの「永遠の別れ」ではないという趣旨を明確に示しました。

一方で、次世代GT-Rの正確な計画は確定していないとも説明しています。

ここは非常に重要です。

次期モデルを通称「R36」と呼ぶ情報は数多くありますが、現時点で日産が市販モデルとして「R36」の正式名称、発売日、価格、パワートレインを発表したわけではありません。

そのため、「次期GT-RはEVになる」「ハイブリッドで登場する」といった情報を確定事項として受け取るのは避けたほうがよいでしょう。

ただし、次世代GT-Rを考えるヒントはあります。

日産はジャパンモビリティショー2023で、次世代高性能EVコンセプト「ハイパーフォース」を公開しました。

全固体電池を想定し、最大出力1000kWという非常に高い性能を掲げたモデルで、そのコンセプトやデザインから「次期GT-Rを示唆しているのでは」と注目されました。

また、栃木工場ではGT-Rと同じ場所でフェアレディZなどを生産してきた一方、アリアや新型リーフといった電動車の生産も進められています。

こうした流れを考えると、次世代GT-Rが登場するなら、純粋なガソリン車のままR35を作り直すより、EVやハイブリッドを含む何らかの電動化技術を取り込む可能性は十分に考えられます。

ただ、GT-Rで最も難しいのは「何を動力源にするか」だけではないでしょう。

R35は480PSだったからGT-Rになったのではありません。

雨でも雪でも走れ、サーキットでは世界トップ級の性能を発揮し、日常でも使え、なおかつ海外のスーパーカーとは異なる価格と技術思想を持っていた。その総合力がGT-Rでした。

ですから次世代モデルも、単に1000PS級のEVを作ればGT-Rになるわけではないと私は思います。

時代が変わっても「この性能をこの方法、この価格、この使いやすさで実現するのか」と驚かせられること。それこそが次世代GT-Rに求められる条件ではないでしょうか。


日産GT-R生産終了後、中古車はどうなる?

R35の新車生産が終了したため、これからGT-Rを手に入れたい場合は基本的に中古車が中心になります。

2025年10月時点の中古車情報では、初期型からNISMOまで価格差が非常に大きく、目安として以下のような水準が紹介されていました。

年式・仕様 中古車価格の目安
2007~2009年式 約700万~900万円
2015年式 約900万~1700万円
2020年式以降 約1400万~2000万円以上
NISMOを含む全体 約700万~5000万円程度

実際の中古車掲載例では、2010年式で900万円前後の車両がある一方、低走行のNISMOなどでは3000万円を大幅に超える例も見られました。

ただし、中古車価格は走行距離、修復歴、グレード、年式、メンテナンス履歴、改造の有無などによって大きく変わります。

生産終了したからといって、すべてのR35が同じ割合で値上がりするとは限りません。

むしろGT-Rのような高性能車では「どの年式を買うか」以上に、どのように維持されてきた個体なのかを見ることが重要です。

車両価格だけでなく、タイヤやブレーキ、油脂類などの維持費も一般的な乗用車とは違います。

コスパを重視して考えるなら、「生産終了だから今すぐ買わなければ損」と焦るより、車両状態と維持費まで含めた総額で判断するほうが賢明でしょう。

価格や在庫は常に変動するため、購入時には最新の中古車情報を確認する必要があります。


R35 GT-Rの18年間を振り返って感じること

個人的にR35 GT-Rの最も大きな功績は、単純な最高出力やニュルブルクリンクのタイムではないと思っています。

日本のメーカーが独自の方法で、世界のスーパーカーと正面から競えることを証明したことに価値がありました。

R35が発売された2007年の価格は777万円からでした。

もちろん777万円は決して安い金額ではありません。それでも、当時の性能を考えれば海外の高級スーパーカーとはまったく異なる価格帯で、世界トップクラスの速さへ挑戦したことは衝撃的でした。

しかもR35は、低く小さく軽い純粋なサーキットマシンではありません。

フロントエンジンで、2+2のキャビンを備え、4WDで、日常走行も考えたGTカーです。それでも世界最速級を狙ったところに、GT-R独自の面白さがあります。

一方、18年間の後半になるほど価格は上昇しました。

最終型のPremium edition T-specは2000万円を超える価格帯となり、発売当初の「手が届く超高性能車」という印象からは離れていった部分もあります。

それでも最終モデルが早期に売り切れたことは、R35が単なるスペック競争の車ではなく、18年間の物語を含めて評価される存在になったことを示しています。

そして、R35の歴史を振り返ると、次世代GT-Rに必要なのは「R35を電動化すること」ではないと感じます。

R32がR35になったときも、スカイラインという名前から独立し、直列6気筒からV6へ、伝統的な4WDスポーツからトランスアクスルを用いた独自構成へと大きく変わりました。

それでも、多くの人はR35をGT-Rとして受け入れました。

なぜなら、形ではなく「常識を超える技術で速さを実現する」という精神が受け継がれていたからでしょう。

次世代GT-RがEVでもハイブリッドでも、私はそこが守られていればGT-Rとして成立すると考えます。

逆に、名前だけGT-Rで中身が普通なら意味がありません。

エスピノーサCEOが、GT-Rという名前は真に特別なクルマにのみ与えられるものだという考えを示したことは、その意味でも重要です。

急いで後継車を出すより、「これならGT-Rと呼べる」と開発陣自身が納得できるクルマを待ちたいところです。


まとめ|日産GT-Rは18年で生産終了、最後の一台まで特別だった

日産GT-R(R35)は、2025年8月26日に栃木工場で最後の車両がラインオフし、2007年から続いた18年間の生産に幕を下ろしました。

約4万8000台が生産され、最後の一台はミッドナイトパープルの「Premium edition T-spec」。日本のユーザーへ届けられる予定です。

R35はVR38DETTエンジン、ATTESA E-TS、独自の空力技術などを武器に進化を続け、最大出力は480PSから570PSへ、NISMOでは600PSまで高められました。

ニュルブルクリンクではR35史上最速となる7分08秒679、筑波では59.078秒を記録するなど、18年間を通して「世界と戦う日本の高性能車」であり続けました。

生産終了の背景には、安全法規への対応、電子プラットフォームの制約、部品調達など、長寿モデルならではの課題があります。

しかし、GT-Rそのものが終わったとは決まっていません。

日産は次世代へGT-Rの名をつなぐ姿勢を示しており、CEOのイヴァン・エスピノーサ氏も再登場を目指す考えを明らかにしています。

R35の18年間が証明したのは、GT-Rとは特定のエンジンやデザインの名前ではなく、その時代の技術で「世界を驚かせる性能」を現実にする存在だということではないでしょうか。

次のGT-Rがいつ、どんな姿で登場するのかはまだ分かりません。

だからこそ今は、ミッドナイトパープルの最後の一台が栃木工場を離れた2025年8月26日を、R35という一つの大きな物語が完結した日として覚えておきたいと思います。


よくある質問

日産GT-Rはいつ生産終了しましたか?

R35型の日産GT-Rは2025年8月26日に生産を終了しました。栃木工場で最後の車両がラインオフし、2007年から続いた18年間の歴史に幕を下ろしています。

日産GT-R最後の一台はどんな車ですか?

最後の一台はPremium edition T-specで、ボディカラーはミッドナイトパープルです。日本のユーザーへ届けられる予定と発表されました。

次世代GT-R「R36」は発売されますか?

日産はGT-Rを将来再登場させる意向を示していますが、正式な車名、発売時期、価格、パワートレインなどの具体的な計画は確定していません。「R36」という呼び方も現時点では正式発表された市販車名ではないため、今後の日産の発表を待つ必要があります。

ソロ(そろ)/新車・カーライフ愛好家

新型日産GT-Rはどうなる?次期型の登場時期と進化を展望

生産を終えたR35型スポーツカーから未来的な次期高性能スポーツカーへ進化していくイメージ

新型日産GT-Rはすでに開発が進んでいますが、登場時期やパワートレインは未発表で、2030年より前の公開や電動化が有力候補として注目されています。

日産のイヴァン・エスピノーサCEOが次期GT-Rの開発を明言したことで、「R35でGT-Rは終わりなのか」という不安は大きく後退しました。一方、ハイブリッドになるのかEVになるのか、そしていつ発売されるのかは、まだ慎重に見ておく必要があります。

新型日産GT-Rは本当に登場する?CEOが次期型の開発を明言

次期日産GT-Rは、少なくとも「構想だけ」の段階ではありません。日産トップが開発を進めていることを明言しています。

大きな転機となったのが、2026年4月14日に日産自動車が開催した長期ビジョンに関する発表です。

その後のQAセッションで、イヴァン・エスピノーサCEOはGT-Rについて、日産だけでなく自動車業界を代表するアイコンのひとつであり、その伝統を持続させる必要があるという考えを示しました。

さらに重要なのは、次期GT-Rの開発が進行していることを明確にした点です。

これは「いつか復活させたい」という単なる希望とは意味が違います。R35型の生産終了後も、GT-Rというブランドそのものを途切れさせるつもりはないという意思が、経営トップから示されたと受け取れます。

R35型GT-Rは2007年に登場し、長期間にわたって改良を続けてきました。日産のWebカタログでもGT-Rについて生産終了が案内され、2024年3月から2025年9月まで掲載されたモデルであることが明記されています。

2024年3月14日には「NISSAN GT-R」2025年モデルも発表されました。

つまり現在は、R35を小改良しながら販売し続ける時代から、完全な次世代GT-Rを考える段階へ移ったと見るのが自然です。

私自身、ここは次期GT-Rを考えるうえで最も重要なポイントだと思っています。

「R36という名前になるのか」「EVなのか」という予想ばかりに目が行きますが、まず押さえておきたい事実は、GT-R復活の意思そのものが日産トップから示されたことです。


次期日産GT-Rの登場時期はいつ?2030年より前が一つの目安か

気になるのは、新型日産GT-Rがいつ登場するのかでしょう。

現時点で日産から正式な発売日は発表されていません。したがって、「2028年発売」「2030年発売」などと断定することはできません。

一方で、次期GT-Rについては製品開発が初期段階に入り、2028年頃により具体的な情報が示され、2030年より前に実車が披露される可能性を伝える情報も出ています。

整理すると、現段階では次のように考えるのが分かりやすいでしょう。

  • 次期GT-Rの開発進行は日産トップが明言
  • 正式な発売時期は未発表
  • 2028年前後から具体的な情報が増える可能性がある
  • 2030年より前の実車公開が一つの予想として挙がっている
  • 市販開始時期は実車公開より後になる可能性もある

ここで注意したいのは、「実車公開」と「発売」は同じではないことです。

コンセプトカーやプロトタイプが先に披露され、その後に量産仕様が発表されるケースもあります。次期GT-Rほど重要な車種なら、日産が十分な開発期間を取ることも不思議ではありません。

R35は約18年にわたり進化を続けた異例のロングライフモデルでした。

次のGT-Rも10年単位で日産を象徴する存在になると考えれば、数年早く発売することよりも、電動化時代にGT-Rとして成立する技術を完成させることのほうが重要だと私は考えます。

特に今は、動力性能だけなら高出力モーターを積んだEVでも非常に高い数字を出せる時代です。

だからこそ「速いだけの電動車」をGT-Rとして発売しても意味がありません。日産が時間をかけてでも、GT-Rらしい運転感覚まで作り込もうとしているなら、むしろ期待したいところです。


新型日産GT-RはハイブリッドかEVか?2つの可能性を考える

次期日産GT-Rで最大の焦点となるのがパワートレインです。

現時点では、ハイブリッドとBEV(電気自動車)の両方に可能性があり、日産は市販仕様を公式発表していません。

R35型は3.8リッターV型6気筒ツインターボの「VR38DETT」を搭載し、通常モデルで最高出力570PS、GT-R NISMOでは600PSを発揮しました。

これを次世代でも何らかの形で残し、モーターを組み合わせるハイブリッド方式は、GT-Rらしいエンジン音やレスポンスを残しながら電動化できるため、現実的な選択肢のひとつです。

一方、BEV化を予感させる材料もあります。

その代表が、2023年のジャパンモビリティショーで公開されたコンセプトカー「NISSAN HYPER FORCE(ニッサン ハイパーフォース)」です。

ハイパーフォースは「究極のドライビングプレジャー」と環境性能、日常での快適性を両立する次世代高性能スポーツカーとして提案されました。

パワートレインは高出力モーターと全固体電池を想定し、最高出力は1000kW、約1360PS。さらに、進化した電動駆動4輪制御技術「e-4ORCE」や、高強度カーボンを使った軽量ボディーなどが盛り込まれています。

もちろん、ハイパーフォースがそのまま次期GT-Rになると日産が発表したわけではありません。

しかし、同じ2023年のジャパンモビリティショーで示された「ハイパーツアラー」や「ハイパーパンク」のデザイン思想が、その後の日産量産車へつながっていることから、ハイパーフォースにも次期GT-Rの方向性が含まれているのではないかと見る向きがあります。

個人的には、市販時に1360PSをそのまま実現するかどうかよりも、電動化してもGT-Rらしい四輪制御とドライバーとの一体感を作れるかのほうが重要だと思います。

スペック表で勝つだけなら方法はいくつもあります。

GT-Rが本当に難しいのは、「数字を見る前からGT-Rだと感じられる走り」をどう残すかです。


R32EVが次期GT-Rのヒント?日産が研究する「電動でも楽しい走り」

次期GT-Rを考えるうえで見逃せないのが、日産の「R32EV」プロジェクトです。

これはR32型スカイラインGT-Rをベースに、電動化時代でもR32らしい運転の楽しさを再現できないか研究したプロジェクトです。

ベース車両はBNR32型スカイラインGT-R。完成したR32EVはツインモーター4WDを採用し、モーター最高出力は160kW×2基、最大トルクは340N・m×2基となっています。

バッテリーにはリーフNISMO RC02のリチウムイオン電池を使用し、車両重量は1797kgです。

ただし、このプロジェクトで重要なのはスペックではありません。

日産のパワートレインシステム・エキスパートリーダーである平工良三氏は、GT-Rを構成する大切な要素として「圧倒的な速さ」と同時に「運転して楽しいこと」を挙げています。

そして、単純にモーターで速いクルマを作ることと、運転して楽しいクルマを作ることは別問題だという趣旨の考えを説明しています。

これは次期GT-Rを占ううえで非常に興味深い話です。

R32EVでは、単に昔のエンジン音を録音してスピーカーから流すだけでは、魅力的なフィーリングにはならなかったとされています。

アクセル操作や車速、振動、音などがドライバーの操作ときちんと同期して初めて、感情に訴える運転感覚になるからです。

さらに、マニュアル車を運転するときの「自分で操作してクルマを動かしている感覚」まで分析し、それをモーター制御でどこまで再現できるか追求しました。

私は、この研究こそ次期GT-Rの方向性を考えるうえで重要だと感じます。

BEVになったとしても、擬似的なエンジン音を鳴らすだけではGT-Rらしさは生まれません。

アクセルを踏む、減速する、曲がるという操作に対して、音、振動、駆動力が自然につながること。その一連の感覚まで制御する技術が、次世代GT-Rの商品力になる可能性があります。

R32EVは市販用の次期GT-Rそのものではありません。

それでも日産が「電動化したら失われる楽しさ」を研究し、電動駆動でも再現できる手応えを得たことは、将来の高性能車にとって大きな意味を持つでしょう。


次期GT-Rの進化は1000PS級だけではない?デジタル技術にも注目

新型日産GT-Rの進化を考えると、どうしても「何馬力になるのか」が注目されます。

しかし、私はパワー以上に制御技術とデジタル体験の進化が次期GT-Rの大きな特徴になる可能性があると考えています。

ハイパーフォースでは、LiDARとAIを利用して車両周辺を把握し、公道やサーキットでのリスクを抑える技術が提案されました。

さらにAR(拡張現実)とVR(仮想現実)を組み合わせた運転体験まで想定されています。

例えばサーキットで過去に走った自分自身の「ゴースト」を表示したり、プロドライバーの走行ラインやブレーキングポイントを参考にしたりする使い方です。

現実のサーキットを走っているドライバーと、ゲームやシミュレーター上の別のドライバーが同じ空間で走るという構想まで示されています。

すべてが市販GT-Rに採用されるとは限りません。

ただ、R35型GT-Rも登場当時から、単なる大排気量スポーツカーとは違う「電子制御を積極的に使って速く走るクルマ」でした。

AWD、デュアルクラッチトランスミッション、高度な車両情報表示などを組み合わせ、ドライバーが性能を引き出しやすくする思想が特徴だったからです。

そう考えると、次期GT-RがAIや高度な四輪制御、ARなどへ進むのは、伝統を捨てることではありません。

むしろその時代の最先端技術を使って誰も体験したことのない速さを実現するという、GT-R本来の考え方を受け継ぐ進化とも言えます。


新型日産GT-Rはどんなクルマになる?筆者が考える次期型の本命

ここからは、確認されている事実を踏まえた私見です。

私は次期GT-Rについて、単純な「R35のEV版」にはならない可能性が高いと考えています。

R35型の魅力は570PSや600PSという最高出力だけではありませんでした。

ツインターボエンジン、AWD、デュアルクラッチ変速機、車両制御を一体化し、「重いのに異様に速い」「誰が乗っても高い性能を引き出しやすい」という独自の立ち位置を作ったことが重要でした。

次期型でも同じように、その時代に使える技術を組み合わせた総合性能で勝負してくるはずです。

そのため私は、ハイブリッドになったとしてもBEVになったとしても、駆動方式は高度な四輪制御を中心に据え、モーターによる瞬間的なトルク配分を積極的に活用する可能性が高いと見ています。

ハイパーフォースで示されたe-4ORCEの進化版は、その方向を考えるヒントになります。

一方で、BEVには重量という大きな課題があります。

R32EVでも、古い車体にバッテリーを搭載する難しさが語られていました。次期GT-Rを完全なBEVとして作るなら最初から電池搭載を前提に設計できますが、それでも大容量バッテリーは重量増につながります。

直線加速だけを優先すれば大出力化は比較的分かりやすいものの、GT-Rには高速コーナリングや連続周回性能も求められます。

だからこそ、全固体電池のような次世代電池の実用化時期とGT-Rの登場時期が深く関係してくる可能性があります。

逆に、全固体電池の性能や量産コストがGT-Rの商品化に間に合わなければ、エンジンとモーターを組み合わせたハイブリッドが現実的になる可能性も残ります。

ここは「EVで決まり」「ハイブリッドで決まり」と今から決めつけないほうがいいでしょう。

もう一つ注目したいのが価格です。

R35の最終期はすでに1000万円を大きく超える価格帯となり、NISMOでは3000万円級に達していました。

次期型が次世代電池、大出力モーター、高度な制御システム、カーボンなどを本格採用すれば、安価なスポーツカーになるとは考えにくいでしょう。

コスパを重視する私としては、ここが少し気になるところです。

ただしGT-Rの価値は、単純な購入価格の安さでは測れません。

世界トップクラスの性能を、同クラスの海外スーパーカーより現実的な価格で提供するというR35登場時の思想を、次期型でもどこまで守れるか。その点こそ、新型GT-Rの評価を大きく左右すると考えています。


新型日産GT-Rは「エンジンを残すか」より「GT-Rらしさを残せるか」が重要

次期日産GT-Rについて調べていくと、「V6ツインターボを残してほしい」「EVではGT-Rではない」という意見が出てくるのは自然です。

長年GT-Rを知るファンほど、エンジン音や変速の感触に思い入れがあるでしょう。

私自身も、VR38DETTのようなエンジンを搭載したGT-Rには特別な魅力があると思います。

ただ、R32EVの研究を見る限り、日産自身もその点をかなり真剣に考えているように見えます。

大切なのは、エンジンという部品そのものを残すことだけではなく、ドライバーの操作に対してクルマが生き物のように反応する感覚を残せるかどうかです。

もしモーターとソフトウェアでそれをさらに進化させられるなら、電動GT-Rにも十分存在意義があります。

反対に、1360PSのEVを作ったとしても、アクセルを踏めば一直線に猛烈な加速をするだけなら、GT-Rという名前を使う意味は弱くなってしまいます。

次期型の成否を決めるのは最高出力の数字ではなく、「これならGT-Rと呼べる」と従来のファンにも新しい世代にも思わせられるかどうかでしょう。

ここが、新型日産GT-Rを待つうえで一番楽しみな部分です。


まとめ

新型日産GT-Rについては、2026年4月14日の長期ビジョン発表に関連した場で、イヴァン・エスピノーサCEOが次期GT-Rの開発が進んでいることを明言しました。

一方、正式な発売時期やパワートレインはまだ発表されていません。

2030年より前の実車公開を予想する情報があり、ハイブリッドとBEVの双方が候補として考えられています。

2023年に公開された1000kW・約1360PSのハイパーフォースは、次世代高性能スポーツカーの方向性を考える大きなヒントです。

さらにR32EVプロジェクトでは、日産が単なる速さではなく、アクセル操作、音、振動、駆動力がつながる「運転する楽しさ」そのものを電動技術で再現しようとしていることが分かります。

個人的には、次期GT-Rで最も期待したいのは馬力競争ではありません。

エンジン、ハイブリッド、BEVのどれを選ぶとしても、最先端技術を使って「速いだけではないGT-R」をどう作るのか。そこにR36世代とも呼ばれる次期GT-Rの本当の進化が表れると考えています。


よくある質問

新型日産GT-Rの発売はいつですか?

現時点で日産から正式な発売日は発表されていません。2028年頃から具体的な情報が増え、2030年より前に実車が披露される可能性を伝える情報がありますが、確定した発売スケジュールではありません。

次期日産GT-RはEVになるのでしょうか?

BEVになる可能性はありますが、確定していません。ハイパーフォースでは1000kWのモーターと全固体電池を使う高性能BEVが提案される一方、エンジンとモーターを組み合わせるハイブリッド方式も次期GT-Rの候補として注目されています。

次期GT-RはR36という名前になりますか?

一般にはR35の次という意味で「R36 GT-R」と呼ばれることが多いものの、日産が次期GT-Rの正式な型式名としてR36を発表したわけではありません。現段階では便宜的な呼び方として捉えておくのが適切です。

byd売れ行き

日本市場で販売を伸ばすBYDの電気自動車と販売台数の成長をイメージしたシーン

BYDの売れ行きは日本でも伸びており、2025年の乗用車販売は3,742台、前年比68%増となりました。

「BYDは日本では売れていないのでは?」という印象を持つ人もいるかもしれません。

しかしBYD Auto Japanが2026年1月14日に発表した2025年の国内新車販売実績を見ると、少なくとも販売台数そのものは3年連続で増加しています。

2025年1月から12月までのBYD乗用車の国内登録台数は3,742台で、前年比68%増。2025年4月に発売されたSUV「BYD SEALION 7」が販売を大きく牽引しました。

さらに2026年は軽EV「BYD RACCO」を含む新型車の投入を予定しており、BYDは日本市場で販売攻勢を一段と強める方針です。

では、BYDの売れ行きは本当に好調と言えるのでしょうか。数字だけでなく、日本市場での立ち位置やテスラとの違い、さらに「BYD D9はアルファードのライバルになるのか」という点まで整理していきます。

byd売れ行きはどうなった?2025年は3,742台で前年比68%増

結論から言えば、2025年のBYDの売れ行きは前年を大きく上回りました。

BYD Auto Japan株式会社は2026年1月9日、千葉・幕張メッセで開催された東京オートサロン2026のプレスカンファレンスで、2025年の国内販売実績を発表しています。

日本自動車輸入組合(JAIA)調べによるBYD乗用車の国内登録台数は、2025年1月から12月までで3,742台でした。

過去の数字と並べると、成長の流れが分かりやすくなります。

年 国内販売・登録台数 前年からの動き
2023年 1,446台 日本で本格販売開始
2024年 2,223台 増加
2025年 3,742台 前年比+68%

2023年の1,446台から2025年の3,742台まで、2年間で2倍以上に拡大した計算です。

日本全体の新車市場から見れば、BYDが巨大なシェアを握ったと言える規模ではありません。ただし「BYDは日本でまったく売れていない」と一言で片付けるには、販売の伸びが明確になってきました。

特に注目したいのが、単年だけの一時的な増加ではなく、BYD側が3年連続の成長と説明している点です。

日本では輸入車ブランドの販売網や認知度を一朝一夕で広げることは難しいため、この伸び方には意味があります。

筆者としては、BYDを見るときは「トヨタやホンダと何台差があるか」だけで判断するより、新規参入ブランドがどのペースで顧客を増やしているかを見るほうが実態をつかみやすいと考えます。


BYDの売れ行きを伸ばしたのはSEALION 7

2025年のBYDの販売拡大を語るうえで欠かせないのが、BYD SEALION 7です。

BYD Auto Japanによると、2025年4月に発売されたSEALION 7が、その年の販売を大きく牽引しました。

日本でのBYDは当初、SUVの「ATTO 3」、コンパクトEVの「DOLPHIN」、セダンの「SEAL」などを順番に導入してきました。

そこにSEALION 7が加わったことで、SUVを求めるユーザーに対して選択肢を広げた格好です。

日本の新車市場ではSUV人気が高く、EVであってもボディタイプの選びやすさは重要です。EVだから買うというより、「SUVとして欲しいクルマがたまたまEVだった」という選ばれ方が増えれば、販売台数は伸びやすくなります。

私はここがBYDの今後を考えるうえで重要なポイントだと思います。

EV専門色の強いブランドは、どうしても「電気自動車に詳しい人向け」という印象を持たれがちです。

しかしSUV、コンパクトカー、セダン、軽自動車に近いモデルまで車種が増えてくれば、ユーザーは電動方式より先に車格や価格、使い勝手で比較できるようになります。

つまり2025年の3,742台という数字は、単に広告を増やした結果だけではなく、商品ラインアップが日本の一般ユーザーに少しずつ近づいていることを示していると考えられます。


2026年のBYD売れ行きはどうなる?RACCOなど新型車を続々投入

BYDは2026年を、電気自動車とプラグインハイブリッド車を軸にした「新エネルギー車元年」と位置づけています。

BYD Auto Japan代表取締役社長の東福寺厚樹氏は、2025年の3年連続成長についてオーナーやビジネスパートナーへの感謝を示したうえで、2026年は積極的な新車投入とディーラーネットワーク拡充を進める方針を示しました。

公表された2026年の計画では、まず上半期に「BYD DOLPHIN」と「BYD ATTO 3」のアップデートを実施します。

さらに夏には、BYDにとって日本市場で非常に重要なモデルとなる軽EV「BYD RACCO」を導入する計画です。

2026年後半に向けては、コンパクトSUVの「BYD ATTO 2」と、ステーションワゴンの「BYD SEAL 6」も投入するとしています。

つまりBYDは、1台のヒット車だけに頼るのではなく、

  • DOLPHIN
  • ATTO 3
  • SEALION 7
  • RACCO
  • ATTO 2
  • SEAL 6

といった複数の車種で販売の裾野を広げようとしているわけです。

なかでも筆者が売れ行きを左右すると考えているのはRACCOです。

日本独自の軽自動車市場は、普通車以上に価格、ボディサイズ、維持費、取り回しの良さが重視されます。

これまでBYDに興味があっても「車体が大きい」「輸入車は日常使いしにくそう」と感じていた人にとって、軽規格に近い商品が加われば心理的な距離は縮まります。

逆に言えば、RACCOを投入しても販売が大きく伸びなければ、「EVそのものへの慎重姿勢」や「中国ブランドへの抵抗感」など、価格やサイズ以外の壁がまだ厚いと判断する材料にもなります。

2026年はBYDにとって、単なる販売台数の増減以上に、日本市場へどこまで定着できるかを測る年になりそうです。


テスラとBYDを比較すると何が違う?

「テスラ BYD 比較」で検索する人も多いですが、この2社は同じEVメーカーとして語られながら、日本市場での戦い方には違いがあります。

テスラは「モデル3」や「モデルY」など少数の主力車種でブランドを築いてきたのに対し、BYDはコンパクトカー、SUV、セダン、PHEV、さらに軽EVへと車種の幅を広げる方向に動いています。

BYDの強みのひとつが、もともとバッテリーメーカーとして成長してきた技術基盤です。

BYDグループは1990年代にバッテリー事業からスタートし、現在は自動車、新エネルギー、エレクトロニクスなど幅広い事業を展開しています。

車両には独自のブレードバッテリーやe-Platform 3.0といった技術を採用しており、自動車だけを組み立てる企業とは異なる垂直統合型の強みを持っています。

さらにBYDは乗用車だけでなく、商用車分野でも実績があります。

2025年のBYD製電気バスの輸出台数は4,234台で前年比18.2%増、世界市場シェア24%を記録したとBYDは発表しています。

EVバス輸出では3年連続世界首位となり、日本でも2025年度末時点の累計導入台数は503台に到達しました。

国内EVバス分野では約6割の市場シェアとされており、乗用車より先に公共交通の現場でBYDを目にした人もいるでしょう。

これは乗用車の売れ行きを直接示す数字ではありません。

ただし「日本に来たばかりの無名メーカー」という見方だけでは、BYDの実態を捉えにくくなっていることは確かです。

個人的には、テスラとBYDの競争を見る際に「どちらのEVが速いか」だけで比べるより、BYDが日本の軽自動車やPHEVまで商品を細分化できるかに注目しています。

日本では充電環境や戸建て・集合住宅の事情がさまざまなため、EV一本で全ユーザーを取り込むのは簡単ではありません。

その点、EVとPHEVを両方用意するBYDの戦略は、日本市場に合わせた現実的な方法だと感じます。


byd D9はアルファードのライバルになる?売れ行きを占う別ブランドの存在

BYDの売れ行きを調べていると、「BYD D9 アルファード」という関連ワードを見かけることがあります。

正確にはD9はBYD本体の車名ではなく、BYDが展開するプレミアムブランドDENZA(デンツァ/デンザ)の大型ミニバンです。

D9は2022年に中国で登場した電動ミニバンで、BEVとPHEVが設定されています。

2023年のジャパンモビリティショーにも展示され、その大きなボディや豪華な2列目シートから、トヨタ「アルファード」「ヴェルファイア」と比較されました。

当時のD9は全長5,250mm、全幅1,960mm、ホイールベース3,110mmという大型ボディで、アルファードよりひと回り大きいサイズでした。

中国では販売が伸び、2024年9月には累計販売20万台突破が発表され、2025年11月には30万台目の納車を達成したとされています。

さらに2026年には第2世代D9が登場し、4月27日にPHEV3モデル、BEV3モデルの計6モデルが発売されました。

一方、日本でのD9販売については、2023年のジャパンモビリティショー時点でBYD Auto Japan側が具体的な販売予定はないと説明していました。

そのため「D9がすぐ日本でアルファードを脅かす」と断定するのは早計です。

ただ、D9の存在には別の意味があります。

BYDグループは低価格なEVだけでなく、アルファードやレクサスLMのような高級ミニバン市場まで狙える商品開発力を持っているということです。

日本でBYDブランドが一定の販売基盤を築けば、将来DENZAなど上級ブランドの展開を検討する余地も生まれます。

筆者としては、D9そのものが今すぐ日本で何台売れるかより、BYDが価格重視のEVメーカーだけではないという点のほうが重要だと考えます。

日本メーカーから見れば、コンパクトEVでは価格競争、高級車では装備や電動化技術という別々の方向から競争を仕掛けられる可能性があるためです。


BYDは「売れていない」のか?数字を見ると評価が変わる

BYDについてネット上では、「日本では売れない」「中国車だから厳しい」といった声が出ることがあります。

確かに、日本メーカーの人気車が年間数万台、十数万台規模で売れる市場と比べれば、2025年の3,742台は大きな数字ではありません。

その意味で「日本で主流になった」と表現するのは適切ではないでしょう。

一方で、2023年1,446台、2024年2,223台、2025年3,742台という推移を無視して「まったく売れていない」と評価するのも実態とはずれます。

ここは「売れている・売れていない」の二択ではなく、販売規模はまだ小さいが、伸び率は高いと見るのが公平です。

また、日本でEVの購入をためらう理由はBYD固有の問題だけではありません。

自宅充電環境、充電時間、長距離移動への不安、残価、中古車価値、販売店の距離など、EVという商品全体に関わる条件があります。

さらに輸入車であるBYDには、整備拠点やブランド認知、将来の下取り相場といったハードルも加わります。

この点でBYD Auto Japanが正規ディーラーネットワークの拡充を強調しているのは理にかなっています。

クルマはスマートフォンのように通販だけで完結しにくい商品です。

購入前の試乗、故障時の入庫、事故修理、車検、下取りまで含めると、「近くに安心して相談できる店舗があるか」は価格以上に購入判断へ影響する場合があります。

コスパ重視で車を見る私としても、カタログ価格の安さだけでBYDを選ぶのはおすすめしません。

自宅や職場で充電できるか、最寄りディーラーまで何kmあるか、普段の走行距離はどれくらいかまで含めて考えたときに、初めて「自分にとって得か」が見えてきます。


BYDの今後の売れ行きを左右する3つのポイント

私見では、今後のBYDの売れ行きを決めるポイントは大きく3つあります。

1つ目はRACCOを中心とした日本向け商品の成功です。

日本で圧倒的に身近なのは軽自動車です。そこへEVという新しい選択肢をどこまで自然に入り込ませられるかは、BYDのブランド認知を一気に変える可能性があります。

2つ目はPHEVの拡大です。

日本では「EVに興味はあるが充電だけに依存するのは不安」というユーザーが少なくありません。

ガソリンでも走れるPHEVなら、集合住宅に住む人や長距離移動が多い人にも選択肢が広がります。

BYDがEVだけの会社というイメージから抜け出せれば、比較対象はテスラだけではなく、トヨタ、三菱、マツダなどの電動車まで広がります。

3つ目は販売店とアフターサービスへの信頼です。

新車は購入して終わりではありません。

5年、8年、10年と乗るなら、部品供給や修理対応、中古車としての流通まで含めて判断する必要があります。

BYD Auto Japanの東福寺厚樹社長が「安心していただけるディーラーネットワークの拡充」を掲げているのも、この点を重視しているからでしょう。

販売台数だけを追うと、新型車が出た月の勢いに目を奪われます。

しかし長い目で見ると、BYDが日本で本当に定着したかどうかは、買った人が次もBYDを選ぶかで決まります。

2025年の3,742台は、新規ブランドとして一定の伸びを示した数字です。

次の段階では、販売台数の増加だけでなく、既存ユーザーの満足度や買い替えまで含めたブランド形成が問われるでしょう。


考察:BYDの売れ行きは「急拡大」より「定着できるか」が重要

筆者としては、2025年の前年比68%増という数字だけを見て「BYDが日本車を一気に脅かす」と考える必要はないと思っています。

3,742台という絶対数を見れば、日本メーカーの主力車とはまだ大きな差があります。

しかし逆に、「中国車だから日本では売れない」と決めつける段階も過ぎつつあります。

BYDは2023年から2025年まで3年連続で販売を増やし、SEALION 7という新型SUVも成果を出しました。

さらに2026年はDOLPHINとATTO 3の改良、RACCO、ATTO 2、SEAL 6と投入車種を増やします。

これは日本市場から撤退を検討するメーカーの動きではなく、むしろ商品と販売網へ投資を続ける姿勢です。

私が特に興味深いと感じるのは、BYDの勝負が「EV対ガソリン車」という単純な構図ではなくなっていることです。

PHEVを増やし、日本独自の軽自動車市場にも入れば、「電気自動車はまだ早い」と考える層にも接点を作れます。

一方で、価格が安いだけでは日本市場で長く支持されるとは限りません。

日本のユーザーは、故障時の対応、店舗網、下取り、10年近く使えるかといった購入後の安心感をかなり重視します。

ここは新規参入ブランドにとって最も時間がかかる部分です。

そのため私は、BYDの2026年以降の売れ行きを見るなら「何台売ったか」に加え、販売拠点が増えたか、商品ラインアップが日本の生活に合っているか、既存オーナーが買い替えるブランドになったかを確認したいと思います。

安さや装備の豪華さだけで選ばれる段階から、「普通に比較した結果BYDを選んだ」と言われる段階へ進めるか。

そこまで到達すれば、BYDは日本市場で一過性のEVブランドではなく、長く残る輸入車メーカーになっていく可能性があります。


まとめ

BYDの売れ行きは、日本ではまだ大手メーカーに比べて小規模ですが、着実に拡大しています。

2025年のBYD乗用車の国内登録台数は3,742台で前年比68%増となり、3年連続で成長しました。2025年4月発売のSEALION 7が販売を牽引したこともBYD Auto Japanから明らかにされています。

2026年はDOLPHINとATTO 3のアップデートに加え、軽EV「BYD RACCO」、コンパクトSUV「ATTO 2」、ステーションワゴン「SEAL 6」などの投入が計画されています。

現時点では「日本で大ヒットしている」とまでは言えませんが、「まったく売れていない」という評価も最新の数字とは合いません。

販売規模はまだ小さいものの成長率は高く、今後は日本向けの商品、PHEV、軽EV、ディーラー網の充実によってどこまで定着できるかが焦点です。

テスラとのEV競争だけでなく、将来的にはDENZA D9のような高級車まで含め、BYDグループが日本メーカーとどの市場で競うのかにも注目しておきたいところです。


よくある質問

BYDは日本で売れていますか?

2025年のBYD乗用車の国内登録台数は3,742台で、前年比68%増でした。日本市場全体ではまだ小規模ですが、2023年から3年連続で販売台数を伸ばしています。

BYDの売れ行きを伸ばした車種は何ですか?

BYD Auto Japanは、2025年4月に発売した「BYD SEALION 7」が2025年の国内販売を大きく牽引したと発表しています。

BYD D9は日本でアルファードと競合しますか?

D9はBYDのプレミアムブランドDENZAの大型電動ミニバンで、アルファードと比較される車種です。ただし2023年の日本展示時点では、日本での具体的な販売予定は発表されていませんでした。

新型 日産 gtr

生産終了したR35型GT-Rと次世代スポーツカーをイメージしたシルエット

新型 日産 gtrはまだ正式発表されていませんが、R35型は2025年に18年の歴史へ幕を下ろし、日産は次世代GT-Rにつながる技術開発を続けています。

2025年モデルは最高600PSのNISMOまで用意され、最後のR35が栃木工場からラインオフした一方、R32GT-RをEV化した「R32EV」では次世代スポーツカーに生かせる電動技術の研究も進められました。

新型 日産 gtrはどうなる?まず知っておきたい現在地

「新型 日産 gtr」と検索すると、R36型やEV、ハイブリッドといったさまざまな情報が出てきます。

しかし、この記事の元になった日産公式資料で確実に確認できるのは、R35型GT-Rの生産が終了したことと、GT-Rらしい走りを電動化時代へ残すための技術研究が進められていることです。

日産は2024年3月14日に「NISSAN GT-R」2025年モデルを発表しました。

その後、R35型GT-Rは2007年の登場から18年にわたる生産を終え、2025年8月26日には日産自動車が栃木工場で最終生産車のオフライン式を開催しています。

公式Webカタログにも、掲載されていたGT-Rについて「生産終了」と明記され、2024年3月から2025年9月まで掲載されたモデルとして案内されています。

つまり2026年8月時点では、購入できる現行の新型GT-Rが存在するという状況ではありません。

一方で、これを「GT-Rそのものが完全終了した」と受け取るのも早いでしょう。

R32GT-Rを電動化したR32EVプロジェクトでは、日産の技術者がGT-Rの「速さ」と「運転する楽しさ」を電動駆動でどう再現するか研究しています。

私はここが、新型 日産 gtrを考えるうえで最も重要なポイントだと感じます。

次期型についてEVなのかハイブリッドなのかという方式ばかりに目が向きますが、日産が研究しているのは単純なスペック競争ではなく、GT-Rらしい運転感覚を新しい技術でどう残すかだからです。


日産GT-R生産終了、最後の1台が栃木工場でラインオフ

R35型GT-Rは2007年12月に登場し、長期にわたる改良を続けながら販売されてきました。

そして日産は2025年8月26日、R35 GT-R最終生産車のオフライン式を栃木工場で開催しました。

18年間というモデルライフは、現在の自動車としてはかなり異例です。

一般的な乗用車なら数年ごとにフルモデルチェンジするケースが多いなか、R35は基本設計を維持しながら性能、快適性、空力、内外装などを進化させ続けました。

参考情報では、18年間で約4万8000台が製造されたとされています。

「日産GT-R 生産終了 18年の歴史に幕」というニュースが大きく注目されたのも、このクルマが単なる1車種ではなかったからでしょう。

R35は当初から、スーパースポーツ級の性能を持ちながら4人乗車や荷室も確保するという独自の立ち位置を狙ったモデルでした。

3.8L V型6気筒ツインターボのVR38DETTエンジンと4WDシステムを組み合わせ、速さだけでなくさまざまな路面で性能を発揮できることを重視しています。

車重も約1.7トン台と、スポーツカーとして見れば決して軽量ではありません。

それでもR35は単純な軽量化だけに頼らず、4輪へ適切に荷重をかけてタイヤのグリップを引き出す設計思想を採用しました。

ここがGT-Rの面白いところです。

「軽い=速い」という単純な公式ではなく、実際の路面で高い性能を安定して出せるパッケージ全体を作り込んできました。

新型 日産 gtrでも、この「カタログ上の数字だけではなく、実際に速く走れる」という考え方は残してほしいところです。


2025 日産 GT-Rの最大出力は?R35最終仕様を整理

R35型GT-Rの最終世代となった2025年モデルでは、通常グレードが最高出力570PS、NISMOが600PSという高性能を誇りました。

主要グレードのスペックを整理すると次のようになります。

グレード 最高出力 最大トルク エンジン
Pure edition 570PS 637N・m 3.8L V6ツインターボ
Premium edition 570PS 637N・m 3.8L V6ツインターボ
Black edition 570PS 637N・m 3.8L V6ツインターボ
Track edition engineered by NISMO 570PS 637N・m 3.8L V6ツインターボ
GT-R NISMO 600PS 652N・m 3.8L V6ツインターボ
GT-R NISMO Special edition 600PS 652N・m 3.8L V6ツインターボ

通常モデルは419kW、つまり570PSを6800rpmで発生。

NISMOは441kW、600PSを6800rpmで発生し、最大トルクも652N・mまで高められていました。

トランスミッションは6速DCT、駆動方式は4WDです。

WLTCモード燃費は通常モデルで7.8km/Lとされています。

価格は参考情報上、Pure editionの1444万円からNISMO Special editionの3061万円までと、大きな幅がありました。

2007年の登場初期から振り返ると、性能だけでなく価格も大きく上昇しています。

一方、それだけ改良を積み重ねても、VR38DETT、6速DCT、4WDというR35の基本的なキャラクターは最後まで保たれました。

私はR35最終仕様を見ていると、「新しい部品へ交換する」だけではなく、同じ素材を18年間磨き続けたクルマだったと感じます。

だからこそ次期GT-Rでは、単純に「700PSになった」「EVになった」といった数字だけではR35の後継とは呼びにくいでしょう。

GT-RがGT-Rである理由を、新しい技術でも説明できるかが重要になりそうです。


日産GT-R生産終了後に「復活」が期待される理由

では、R35の生産終了後に新型GT-Rが復活する可能性はあるのでしょうか。

現時点で、この記事の元資料には新型GT-Rの正式な発売時期、価格、パワートレインなどは記されていません。

したがって「○年発売」「○○馬力」「EVで確定」と断定することはできません。

ただし、将来のGT-Rにつながる可能性を考える材料はあります。

そのひとつが日産の「R32EV」プロジェクトです。

R32EVは、BNR32型スカイラインGT-Rをベースにエンジンをモーターへ置き換えた実験的な車両です。

単なる旧車のEVコンバージョンではありません。

日産のパワートレインシステム エキスパートリーダーを務める平工良三氏のチームが、R32GT-Rの運転する楽しさを電動駆動で再現できるのかというテーマに取り組みました。

平工氏はGT-Rについて、重要な要素として圧倒的な速さと、運転して楽しいことの2点を挙げています。

電動モーターなら高い加速性能を出すこと自体は難しくありません。

しかし、「速いEV=楽しいスポーツカー」になるとは限らない。

そこでR32EVでは、アクセル操作、車速、音、振動などがドライバーの操作と自然につながるように作り込まれました。

私は、この考え方こそ次世代GT-Rへのヒントだと思っています。

電動化そのものが目的ではなく、GT-Rの感覚を残すために電動技術を使うという順番だからです。


R32EVは新型 日産 gtrにつながる技術実験なのか

R32EVのスペックを見ると、本格的な研究車であることが分かります。

ベース車両はBNR32型スカイラインGT-Rで、ボディカラーはガングレーメタリック。

全長4545mm、全幅1755mm、全高1340mmで、車両重量は1797kgです。

駆動には最高出力160kW、最大トルク340N・mのモーターを前後に1基ずつ搭載。

つまり合計2基のモーターを使うツインモーター4WDです。

バッテリーにはリーフNISMO RC02のリチウムイオン電池が使われました。

乗車定員は2人です。

電池搭載スペースの確保は簡単ではなく、リアシート部分を使ってバッテリーを搭載しています。

もともと約30年前の設計であるR32は床下へ大型バッテリーを積む前提ではありません。

そのため、車体へバッテリーを入れる作業ではドアを外し、角度を付けながら搭載するなどかなり工夫したと説明されています。

さらに特注R32オリジナルシフトレバー、パドルシフト、液晶メーターパネル、液晶センターコントロールパネル、特注レカロシート、専用サウンドシステムなども装備しています。

ブレーキにはR35 GT-R用NISMO純正ブレーキ変換キット、足まわりにはOHLINSを用いたNISMOスポーツサスペンションキットを採用。

オリジナル18インチホイールに245/40R18タイヤを組み合わせています。

重要なのは、スペックをR32へ似せるだけでは終わらなかったことです。

開発チームは、マニュアルトランスミッション車を操作する際の「自分がクルマを動かしている感覚」を分析しました。

アクセルを踏み、クルマが反応し、その情報が音や振動としてドライバーへ戻ってくる。

この一連のやり取りが同期していることが、運転する楽しさにつながると考えたわけです。

エンジン音についても、単純に録音したRB26DETTの音をスピーカーで流したわけではありません。

アクセル開度や車速などに応じて音や振動が変化し、運転操作と自然につながるよう調整しています。

これは非常に興味深い考え方です。

最近の電動スポーツカーではモーター出力や0-100km/h加速の数字が目立ちますが、日産はその先にある「操作した結果を人間がどう感じるか」を研究しているからです。

新型 日産 gtrが将来電動化されるとしても、R32EVの研究が直接そのまま採用されるとは限りません。

それでも、ここで得られた知見は次世代スポーツカー開発へ生かせる可能性があります。


R35最終型の価格高騰から見える新型GT-Rの課題

新型GT-Rについて考える際、もうひとつ見逃せないのが価格です。

R35は登場当初、「欧州スーパースポーツ級の性能を比較的現実的な価格で実現する」という点でも大きなインパクトがありました。

しかし最終世代では、Pure editionでも1444万円、NISMOでは3000万円を超える水準になっています。

中古車についても、元資料に掲載された情報では858万円から6331万円という非常に大きな価格幅がありました。

もちろん、中古車価格は年式、走行距離、グレード、車両状態などで変動します。

特に生産終了後は市場価格が変化しやすいため、購入を検討する場合は最新情報を販売店などで確認する必要があります。

ここで私が気になるのは、新型GT-Rが「一般ユーザーが頑張れば夢を見られるクルマ」であり続けられるかという点です。

3000万円級まで価格が上がれば、走行性能が優れていても購入できる層はかなり限られます。

GT-Rの魅力は、高価なブランド品として所有することだけではありませんでした。

比較的実用性のあるボディに、世界トップクラスを狙える性能を詰め込む。

この「性能に対するお得感」こそ、歴代GT-Rの個性のひとつだったと私は考えます。

もちろん電池、モーター、電子制御、高性能ブレーキなど次世代技術にはコストがかかります。

それでも次期GT-Rには、ただ価格が高いだけのスーパーカーではなく、「この性能ならこの価格にも意味がある」と思わせる存在になってほしいところです。


新型 日産 gtrを考察、EVかハイブリッドかより重要なこと

ここからは筆者としての考察です。

次期GT-Rについて最も注目されやすいのは、EVになるのか、ハイブリッドになるのか、それともエンジンを残すのかというパワートレインでしょう。

ただ、私は方式そのものよりも「GT-Rらしさをどう定義するのか」のほうが重要だと考えています。

R32EV開発チームが行ったのは、過去のGT-Rを懐かしむだけの作業ではありません。

なぜ運転すると楽しいのかを分解し、それをデジタル制御やモーターで再構築する実験でした。

この発想なら、将来的にGT-Rが電動化されても「エンジンがないからGT-Rではない」という単純な話にはならない可能性があります。

反対に、どれだけ強力なモーターを搭載して0-100km/h加速が速くても、ドライバーが操作する面白さを感じられなければGT-Rファンを納得させるのは難しいでしょう。

R35には、3.8L V6ツインターボ、4WD、トランスアクスル、重さを利用した高い接地性能など、独特の設計思想がありました。

R32にはRB26DETTとATTESA E-TSをはじめ、その時代ならではの技術的な挑戦がありました。

つまりGT-Rは昔から「昔と同じものを守り続けたクルマ」ではありません。

その時代に使える技術を総動員して、速さと運転する面白さを実現してきたクルマです。

そう考えると、次期GT-Rが電動技術を使うこと自体は歴史から外れているとは感じません。

むしろ問題は、その技術を使って何を実現するのかです。

個人的には、R32EVで研究された「ドライバー操作との同期」という考え方が非常に面白いと思います。

アクセル、駆動力、音、振動、ステアリング操作がバラバラではなく、ひとつの感覚としてつながる。

これが市販スポーツカーへ発展すれば、電動車でも従来とは違う運転の楽しさを作れるかもしれません。

さらにGT-Rの場合、ツインモーター4WDとの相性も悪くありません。

R32EVですでに前後モーターを使った4WDを試していることからも、日産が四輪駆動と電動制御を組み合わせるノウハウを研究していることは分かります。

ただし、R32EVはあくまで技術研究・参考展示の車両です。

その仕様がそのまま「新型 日産 gtr」になると考えるのは早計でしょう。

正式な発売時期、価格、車名、出力、電池容量、航続距離などについては、日産から発表される一次情報を待つ必要があります。


まとめ:新型 日産 gtrはR35の数字ではなく思想を継げるか

新型 日産 gtrはまだ正式な市販モデルとして発表されていません。

一方、R35型GT-Rは2007年から18年間にわたって進化を続け、2025年8月26日に栃木工場で最終生産車のオフライン式が行われました。

最終世代では通常モデルが570PS、GT-R NISMOが600PSを発生。

R35は3.8L V6ツインターボ、6速DCT、4WDという基本構成を守りながら、長期間にわたって改良され続けた異例のスポーツカーでした。

そして生産終了後の未来を考えるヒントとして注目したいのが、日産のR32EVです。

160kW・340N・mのモーターを2基搭載したツインモーター4WDで、単純なEV化ではなく、R32GT-Rの操作感、音、振動まで電動技術で再現しようとしています。

私は、次期GT-Rに必要なのは「R35より何馬力増えたか」だけではないと思います。

歴代GT-Rが持っていた、実際の路面で速く、ドライバーが操作して楽しく、その性能に納得感があるという思想を次の時代へ持っていけるか。

そこが本当の意味での「GT-R復活」を判断する基準になるのではないでしょうか。


よくある質問

新型 日産 gtrはもう発売されていますか?

いいえ。この記事の元資料では、R35型GT-Rの生産終了は確認できますが、次期型GT-Rの正式な発売時期や価格は発表されていません。

「R36」「EV」「ハイブリッド」などの情報を見る場合は、予想と日産の公式発表を分けて確認することが大切です。

2025年の日産GT-Rは何馬力ですか?

通常モデルは最高出力570PS、GT-R NISMOおよびNISMO Special editionは最高出力600PSです。

通常モデルの最大トルクは637N・m、NISMO系は652N・mとなっています。

日産GT-Rは生産終了しても復活しますか?

現時点で次期GT-Rの市販時期や仕様を断定できる公式情報はありません。

ただし日産はR32EVなどを通じ、GT-Rの「速さ」と「運転する楽しさ」を電動技術で再現する研究を進めています。次世代GT-Rを考えるうえで注目すべき動きと言えるでしょう。

byd売れ行き

日本国内で販売を伸ばすBYDのEVと販売台数の推移をイメージした自動車ニュース風のシーン

BYDの売れ行きは、日本ではまだ大手国産メーカーに及ばないものの、2025年は3,742台、前年比68%増となり、3年連続で販売を伸ばしました。

「BYDは日本で売れていないのでは?」と感じている人も多いと思いますが、数字を見ると少し違った景色が見えてきます。爆発的に売れているわけではない一方で、2025年4月発売の「BYD SEALION 7」が販売を押し上げ、着実に購入者を増やしているのです。

BYDの売れ行きは?2025年は3,742台で前年比68%増

BYD Auto Japanが2026年1月14日に公表した内容によると、2025年1月から12月までのBYD乗用車の国内登録台数は3,742台でした。

日本自動車輸入組合(JAIA)調べによる数字で、前年同期比では68%増。BYDは日本で乗用車販売を本格化してから、3年連続で販売台数を伸ばしたことになります。

過去の数字と並べると、伸び方が分かりやすくなります。

年 BYD国内販売台数 前年からの変化
2023年 1,446台 ―
2024年 2,223台 約54%増
2025年 3,742台 68%増

2023年の1,446台から2025年の3,742台まで、2年間で販売規模は約2.6倍になりました。

もちろん、日本の新車市場全体から見ればまだ小規模です。そのため「街でBYDをほとんど見ない」という感覚そのものは不自然ではありません。

ただし、「売れていない」という一言で片付けるには販売の伸び率が大きいというのがポイントです。

個人的には、BYDを見るときは単純な販売台数だけでなく、「日本進出からまだ数年の輸入ブランドが、何年連続で伸びているか」を見る必要があると感じます。


なぜBYDの売れ行きが伸びた?SEALION 7が販売を牽引

2025年の成長を語るうえで重要なのが、2025年4月に発売された「BYD SEALION 7」です。

BYD Auto Japanは、SEALION 7が2025年の国内販売を大きく牽引したと説明しています。

BYDは日本市場への乗用車投入を2023年に本格化し、ATTO 3、DOLPHIN、SEALと車種を広げてきました。

そこにSUVタイプのSEALION 7が加わったことで、セダンやコンパクトカーだけでは拾いにくかったSUV需要にも対応できるようになりました。

日本ではSUV人気が根強いため、これは商品戦略としてかなり重要です。

私は、新しい自動車ブランドが日本で定着するには「クルマそのものが良い」だけでは足りないと考えています。購入候補に入りやすいボディタイプを揃え、実車を見られる店舗を増やし、故障や整備への不安を小さくする必要があります。

BYDの売れ行きが2025年に大きく伸びたのは、単なる値下げやEVブームというより、選べる車種が徐々に増えてきた結果と見るほうが自然でしょう。


「BYDは売れない」は本当?日本ではまだ少数派

では、「BYDは日本では売れない」という評価は正しいのでしょうか。

結論としては、「販売規模はまだ小さいが、売れ行きは伸びている」が最も実態に近い表現です。

2025年の3,742台という数字をトヨタやホンダ、日産などの国内大手メーカーと同じ感覚で比較すれば、圧倒的に少なく見えます。

一方、BYDは日本で一般ユーザー向けの乗用車販売を本格化してから日が浅く、販売店網も国産メーカーほど多くありません。

輸入車では、価格だけでなく「自宅から販売店までの距離」「点検をどこで受けるか」「事故修理はどうなるか」といった点も購入判断に影響します。

このためBYDの場合、製品力だけで販売台数が決まるわけではありません。

BYD Auto Japanの東福寺厚樹社長も、2026年をEVとPHEVによる「新エネルギー車元年」と位置づけ、新車投入だけでなくディーラーネットワークを拡充する方針を示しています。

つまりメーカー側も、今後日本で販売を伸ばすには「車種」と「店舗」の両輪が必要だと見ているわけです。

ここはBYDの今後の売れ行きを考えるうえで、かなり大切なポイントです。


テスラとBYDを比較すると何が違う?

「テスラ BYD 比較」と検索する人も多いですが、両社は同じEVメーカーとして語られながら、日本での戦い方はかなり違います。

テスラはEV専業メーカーとして、少数のモデルを軸にブランド力や充電環境、ソフトウェアを含めた独自性を築いてきました。

一方のBYDは、自社開発のバッテリー技術を強みにしながら、SUV、コンパクトカー、セダンなどモデル数を増やし、さらにPHEVまで日本へ展開しようとしています。

BYDグループはもともとバッテリーメーカーとして成長した企業で、ブレードバッテリーや「e-Platform 3.0」など独自技術を展開しています。

世界ではEVだけでなくPHEVを含む「新エネルギー車」を幅広く扱っているため、日本でもEV一本にこだわらないところが大きな特徴です。

これは日本市場ではかなり重要だと思います。

EVに興味はあっても、「自宅充電が難しい」「長距離移動が不安」という人は少なくありません。そうした人にPHEVを用意できれば、購入候補となるユーザー層を広げられるからです。

つまりテスラとBYDの比較では、単純なEV性能だけでなく、BYDがどこまで幅広い電動車を揃えられるかにも注目したいところです。


2026年はBYD RACCOなど新型車を相次いで投入

BYDの売れ行きが今後さらに伸びる可能性を考えるうえで、2026年の商品計画は見逃せません。

BYD Auto Japanは2026年上半期に、BYD DOLPHINとBYD ATTO 3のアップデートを行い、順次市場へ投入すると発表しています。

さらに2026年夏には、軽EVの「BYD RACCO(ラッコ)」を投入する方針です。

その後、2026年後半に向けてコンパクトSUVの「BYD ATTO 2」、ステーションワゴンの「BYD SEAL 6」も日本へ導入するとしています。

つまり2026年は、

  • DOLPHINのアップデート
  • ATTO 3のアップデート
  • 軽EV「RACCO」
  • コンパクトSUV「ATTO 2」
  • ステーションワゴン「SEAL 6」

と、かなり積極的な新車攻勢になる予定です。

特に私が注目しているのはRACCOです。

日本の新車市場では軽自動車の存在感が非常に大きく、コンパクトで維持費を抑えやすいクルマを求める人も多いためです。

これまでのBYDは「輸入EV」というだけで候補から外す人もいたでしょう。

しかし軽自動車サイズのEVが手の届きやすい価格帯で登場すれば、これまでBYDに興味がなかった層まで検討対象になる可能性があります。

ここが、2025年までと2026年以降のBYDを分けるポイントになると私は考えています。


BYD D9はアルファードのライバルになる?

「BYD D9 アルファード」という検索も見られますが、これはBYDのプレミアムブランド「DENZA(デンツァ)」が展開する大型ミニバンD9を指します。

D9は2022年に中国で投入され、BEVとPHEVを設定する大型電動ミニバンです。

ジャパンモビリティショー2023にも展示され、全長は5,250mm、全幅1,960mm、全高1,920mm、ホイールベース3,110mmという堂々としたサイズです。

トヨタ・アルファード/ヴェルファイアよりも大きく、2列目には大きくリクライニングするシートやレッグレストを備えるなど、中国市場で人気の高級ミニバン需要を強く意識したモデルとなっています。

当時の報道では、中国で毎月約1万台規模を販売していたと紹介されました。

一方、2023年の段階ではBYD Auto Japanの担当者が「日本での販売予定はいまのところありません」としており、今回示された2026年の日本向け新型車計画にもD9は含まれていません。

したがって現時点で、D9を日本でアルファードの直接的な販売ライバルと考えるのは早いでしょう。

ただし、D9の存在には別の意味があります。

BYDは小型EVだけを作るメーカーではなく、軽自動車クラスから高級大型ミニバンまで展開できる商品開発力を持っているということです。

将来的に日本でBYDブランドの認知度が高まれば、こうした上級モデルの導入が検討される可能性も考えられます。


乗用車だけではないBYD、日本のEVバスは累計503台

BYDの日本での存在感を見る際、乗用車だけで判断すると見落とす部分があります。

BYDは日本でEVバスを早くから展開しており、2025年に日本市場への導入10周年を迎えました。

BYDが2026年1月21日に発表した資料によると、2025年度末時点で日本におけるBYD製EVバスの累計導入台数は503台に達し、国内EVバス市場で約6割のシェアを占めるとしています。

2025年には静岡県の遠州鉄道が大型EVバス「K8」を導入。

東京都では関東バスが武蔵野市のコミュニティバス「ムーバス」に小型路線バス「J6」を導入し、大阪府では龍谷大学の送迎用としてK8が採用されました。

世界でもBYD製EVバスは2025年に4,234台を輸出し、同社発表では世界シェア24%、3年連続でEVバス輸出台数世界首位となっています。

乗用車の3,742台だけを見ると「日本でまだ少ない」という印象になりますが、商用車まで含めればBYDは日本に突然現れた会社ではありません。

この点は、今後乗用車販売を伸ばす際にも一定の強みになると私は考えます。

すでに公共交通でBYDの車両を目にする地域が増えれば、メーカー名そのものへの心理的な距離も少しずつ縮まっていく可能性があるからです。


BYDの売れ行きは2026年にさらに伸びるのか

ここからは私見です。

私は、BYDの日本販売が2026年も伸びる可能性は十分ある一方、国産メーカーを一気に脅かすほどの販売規模になるには、まだいくつか壁があると見ています。

最大のポイントは、単純なEV性能ではありません。

日本のユーザーが「BYDを買った後の生活」を安心して想像できるかどうかです。

購入前は価格や航続距離が目立ちますが、実際に数年間所有するとなれば、整備拠点、部品供給、事故修理、保証、中古車価格、下取りなどが重要になります。

この安心感では、全国に大量の店舗網を持つトヨタ、ホンダ、日産、スズキ、ダイハツなどの国産勢が圧倒的に有利です。

だからこそBYDがディーラー網拡充を掲げていることには意味があります。

また、2026年はRACCOの存在が非常に大きいでしょう。

従来のBYD車は「EVに興味がある人が輸入車として選ぶ」という色合いが比較的強かったのですが、軽EVはもっと生活に近いカテゴリーです。

買い物や通勤、送り迎えなど日常用途に合い、価格と補助制度次第では「BYDだから買う」のではなく、「条件を比べた結果、RACCOがお得だから選ぶ」という購入が生まれるかもしれません。

コスパを重視して車を選ぶ立場から見ると、この変化はかなり重要です。

ブランドイメージだけで選ばれる段階より、「価格・装備・使い勝手を比較したら選択肢に残る」という段階に入ったほうが、販売台数は伸びやすいからです。

一方で、販売台数が前年比68%増だからといって、この勢いがそのまま何年も続くと考えるのは早計です。

母数がまだ小さい時期は伸び率が大きくなりやすく、3,742台が6,000台、1万台と増えていくにつれて、本当のブランド力が問われます。

2026年はまさに、BYDが「珍しい中国EVメーカー」から「普通に比較される自動車メーカー」へ進めるかを試される年になりそうです。


まとめ

BYDの売れ行きは、日本ではまだ大手メーカーと比べて小規模ですが、2025年の国内乗用車登録台数は3,742台、前年比68%増となり、3年連続で成長しました。

2025年4月発売のSEALION 7が販売を牽引し、2026年にはDOLPHINとATTO 3のアップデート、軽EVのRACCO、ATTO 2、SEAL 6と新型車を相次いで投入する計画です。

つまり「BYDは全然売れていない」と決めつけるより、現状は販売規模こそ小さいものの、確実に購入者を増やしている段階と見るのが妥当でしょう。

今後の焦点は、軽EVやPHEVを含む日本向け商品がどこまで支持されるか、そしてディーラーやアフターサービスへの安心感をどこまで高められるかです。

個人的には販売台数そのもの以上に、2026年のRACCO投入後に「EV好きではない一般ユーザー」がBYDを比較候補に入れ始めるかを注目しています。そこが変われば、日本でのBYDの売れ行きは次の段階に入ったと判断できそうです。


よくある質問

BYDは日本で何台売れていますか?

BYD Auto Japanによると、2025年1月から12月までの国内乗用車登録台数は3,742台でした。前年比68%増で、3年連続の販売増となっています。

BYDで2025年に売れ行きを伸ばした車種は何ですか?

BYDは、2025年4月発売のSEALION 7が国内販売を大きく牽引したと発表しています。SUV人気の高い日本市場で新たな購入層を取り込んだと考えられます。

BYDは2026年に日本で何を発売しますか?

2026年上半期にDOLPHINとATTO 3をアップデートし、夏には軽EV「RACCO」を導入する予定です。さらに後半に向けてATTO 2とSEAL 6の投入も表明されています。各モデルの詳細や販売時期は変更される可能性があるため、最新情報はメーカー公式発表で確認してください。

新型 日産 gtr

生産を終えたR35型GT-Rと次世代スポーツカーの未来をイメージしたシーン

新型 日産 gtrはまだ正式発表されていませんが、R35型の生産終了と日産の電動化技術開発から、次世代GT-R復活への流れは着実に見え始めています。

2007年から長く販売されてきたR35型NISSAN GT-Rは、2025年に生産を終了しました。

一方、日産はR32型スカイラインGT-RをEV化した「R32EV」で、電動時代にもGT-Rらしい速さと運転する楽しさを残すための技術研究を進めています。

では、「新型 日産 gtr」を待っている人にとって、現在どこまで確定していて、何がまだ分からないのでしょうか。

日産GT-R生産終了、最後の1台が栃木工場でラインオフ

まず確定している大きな出来事が、R35型NISSAN GT-Rの生産終了です。

日産自動車は2025年8月26日、栃木工場でR35 GT-R最終生産車のオフライン式を開催しました。

R35型は2007年に登場し、およそ18年間にわたって生産された日産を代表するハイパフォーマンスカーです。

日産のWebカタログでもGT-Rについて「生産は終了」と案内されており、2024年3月から2025年9月まで掲載されたモデルがR35世代の最終段階となりました。

つまり現在、「新型GT-R」と検索しても、すぐに注文できる後継モデルが存在する状況ではありません。

R35が終わり、次世代GT-Rを待つ空白期間に入ったというのが現状を理解するうえで最も重要なポイントです。

R35は長寿モデルでしたが、その18年間は単純に同じクルマを売り続けたわけではありません。

年次改良を繰り返し、エンジン、足回り、空力性能、内外装などを熟成させながら性能を高めてきました。

2007年当時から「日常でも使えるスーパーカー」という独自の立ち位置を持ち続けたことも、GT-Rが世界的に注目された理由でしょう。

個人的には、18年間というモデルライフそのものがR35の異例さを物語っていると感じます。

短期間でモデルチェンジするのではなく、ひとつの基本設計を徹底的に磨き続けた点は、次世代GT-Rを考える際にも無視できない特徴です。


日産GT-R R35最終仕様は?2025年モデル最大出力を確認

「2025 日産 gt-r 最大出力」を調べている人も多いと思います。

R35最終世代の通常モデルでは、3.8L V型6気筒ツインターボの「VR38DETT」エンジンを搭載し、最高出力は419kW[570PS]/6,800rpm、最大トルクは637N・m/3,300rpmでした。

GT-R NISMOではさらに高性能化され、最高出力は441kW[600PS]/6,800rpm、最大トルクは652N・m/3,600rpmです。

駆動方式は4WD、トランスミッションは6速DCTです。

最終世代の主なグレードを見ると、Pure edition、Premium edition、Black edition、Track edition engineered by NISMO、Premium edition T-spec、GT-R NISMOなどが設定されました。

価格情報では、Pure editionが約1,444万円、Premium editionが約1,558万円、GT-R NISMOが約3,008万円、NISMO Special editionが約3,061万円という水準でした。

登場初期のR35を知っている人ほど、「GT-Rもかなり高くなった」と感じるはずです。

しかし、それだけR35が登場当初とは別物と言えるほど進化し、車両そのものの価値や市場環境も変化したという見方もできます。

R35のボディサイズは通常モデルで全長4,710mm、全幅1,895mm、全高1,370mm。

車両重量はグレードによっておおむね1,740〜1,770kg級となっています。

一般的なスポーツカーとして考えればかなり重い部類ですが、GT-Rはもともと単純な軽量化だけを狙ったクルマではありません。

4WD、リア側にトランスミッションを配置するトランスアクスル構造、4人乗車できるパッケージなどを組み合わせ、さまざまな路面で速く走れることを重視してきました。

私がGT-Rの面白いところだと思うのは、カタログ上の軽さや最高出力だけで勝負するのではなく、実際の路面で性能を使えることまで含めて設計している点です。

次期GT-Rでも、この思想をどこまで残せるかが注目点になるでしょう。


日産GT-R生産終了後に「復活」が期待される理由とは?

R35の生産終了によって、「これでGT-Rという名前そのものが終わるのでは」と不安になったファンもいるでしょう。

ただし、現時点の材料を見る限り、私はGT-Rというブランドまで完全に終わったと考えるのは早いと思っています。

重要なのが、日産がR32型スカイラインGT-Rを使って進めた「R32EV」プロジェクトです。

R32EVは、単に古いGT-Rからエンジンを取り外してモーターに交換しただけのEVではありません。

開発チームが重視したのは、R32GT-Rにあった「速さ」と「運転する楽しさ」を、電動駆動技術でどこまで再現できるかという点でした。

日産でパワートレインシステムのエキスパートリーダーを務める平工良三氏は、GT-Rを語るうえで重要な要素として、圧倒的な速さと、運転する楽しさの2つを挙げています。

これは、次世代GT-Rを考えるうえでかなり重要なヒントです。

電気モーターなら大きなトルクを瞬時に発生させることができ、単純な加速性能を高めることは比較的容易です。

しかし日産側も、単に速いEVを作ればGT-Rになるわけではないと考えていることが、R32EVの取り組みから分かります。

アクセル操作、車速、振動、音、ドライバーの操作感をリンクさせ、「自分でクルマを動かしている感覚」を作り込むことが重要だと研究しているのです。

これは次期GT-RがEVになると決まった、という意味ではありません。

ただ、電動化されたスポーツカーでもGT-Rらしいフィーリングを残すための技術を日産が研究していることは、将来を考えるうえで見逃せない事実です。


R32EVは新型日産GT-Rへのヒントになる?

R32EVの主要諸元を見ると、その内容はかなり本格的です。

ベース車両はBNR32型スカイラインGT-Rで、ボディカラーはガングレーメタリック。

全長4,545mm、全幅1,755mm、全高1,340mmで、車両重量は1,797kgです。

駆動方式にはツインモーター4WDを採用し、モーターは最高出力160kW×2基、最大トルク340N・m×2基。

駆動用バッテリーにはリーフNISMO RC02のリチウムイオン電池が使用されています。

乗車定員は2名です。

R32はもともとEV用の車体ではないため、バッテリー搭載も簡単ではありませんでした。

現在のEVのように床下へ大きなバッテリーを敷き詰めることができず、リアシート部分を使って搭載しています。

さらに、R32に搭載されていたRB26DETTエンジンや取り外した部品は廃棄せず保管され、今後の技術研究に活用する予定とされています。

この姿勢からも、日産が単純に「旧車をEVへ置き換える」ことだけを目的としていないことが分かります。

R32EVには特注のR32オリジナルシフトレバーやパドルシフト、液晶メーターパネル、特注レカロシート、専用サウンドシステムなども採用されました。

特に興味深いのが音の作り込みです。

エンジン音を録音してEVから再生するだけでは、ドライバーにとって本物らしい楽しさにならなかったため、アクセル開度や車速などと音・振動を連動させるところまで開発しています。

私はここに、次世代GT-Rを考えるうえで大きなヒントがあると思います。

将来、GT-RがEVまたは電動化されたとしても、単に「静かで速いクルマ」にするのではなく、ドライバーが操作する喜びをデジタル技術で作り直す可能性があります。

言い換えれば、次のGT-Rではエンジンそのものを残すかどうか以上に、GT-Rらしい体験をどう残すかが重要になるのではないでしょうか。


新型日産GT-RはEVかハイブリッドか?現時点で断定できない

「新型GT-RはEVになる」「次期R36はハイブリッドになる」といった予想は数多くあります。

ただし、今回の元資料から確実に言える範囲では、次期GT-Rの正式なパワートレイン、発売日、価格、車名、型式は確定していません。

ここは検索記事として特に注意したい部分です。

R32EVという実験車が存在するからといって、次期GT-R=完全EVと断定することはできません。

一方で、日産が電動駆動技術の中にGT-Rらしいフィーリングを取り込む研究を行っているのも事実です。

そのため次世代GT-Rについては、完全EV、ハイブリッドを含めた電動化技術が何らかの形で関わる可能性を考えるのは自然でしょう。

特にGT-Rでは、単純な最高出力以上に、車体、駆動制御、タイヤ、ブレーキ、四輪駆動をひとつのシステムとしてまとめ上げることが重要です。

R35も3.8L V6ツインターボと4WDを組み合わせ、重量級でありながら非常に高い走行性能を実現してきました。

その考え方を次世代へ置き換えるなら、「エンジンかEVか」という二択だけで見るより、四輪をどう制御し、ドライバーがどう感じるクルマにするのかに注目したほうがGT-Rらしさを理解しやすいと思います。


新型 日産 gtrの発売時期・価格はどうなる?

現時点では、新型GT-Rの正式な発売時期や価格は明らかになっていません。

そのため「2027年発売」「R36として登場」といった情報を確定事項として受け取るのは避けたほうが安全です。

R35最終モデルの価格が1,400万円台から、NISMOでは3,000万円を超える水準まで上昇していたことを考えると、次期GT-Rが登場した場合も安価なスポーツカーになるとは考えにくいでしょう。

さらに電動化、高性能バッテリー、モーター、高度な四輪制御などを採用すれば、車両コストへの影響も予想されます。

一方、GT-Rがもともと評価された理由のひとつには、世界トップクラスの性能を持ちながら、海外の超高額スーパーカーとは異なる価格帯で提供したことがあります。

ここは次期型でも大切にしてほしい部分です。

筆者としては、ただ高価な少量生産車にするより、「頑張れば現実的に狙える高性能車」というGT-R独自の立ち位置を残してほしいと感じます。

もちろんR35最終期の価格から考えれば、初期R35のような価格設定に戻る可能性は低いでしょう。

それでも、価格以上の走行性能を提供するというGT-Rの考え方は、次世代でも重要な価値になるはずです。


なぜGT-Rは18年間も支持されたのか

新型GT-Rを予想するなら、R35がなぜこれほど長く支持されたのかを考える必要があります。

GT-Rは単に最高出力が大きいだけのスポーツカーではありません。

4WDによるトラクション性能、長めのホイールベース、4人乗りのパッケージ、荷物を積めるトランクなどを備えながら、非常に高い走行性能を狙ったことが特徴です。

R35登場当初の車両重量は1,700kgを超え、一般的なスポーツカーの「軽いほど速い」という考え方とは違う方向でした。

しかし日産は、実際の道路でタイヤがしっかりグリップし、雨天やさまざまな路面でも性能を引き出しやすいことを重視しました。

この思想こそ、次世代GT-Rにも残してほしい部分です。

スペック表だけなら、これからのEVは1,000PS級のモデルも珍しくなくなっていくでしょう。

そうなると「何馬力あるか」だけではGT-Rの存在意義を作りにくくなります。

だからこそ、誰が運転しても速さを引き出しやすく、しかも操作して楽しいというGT-R独自の価値がより重要になると私は考えます。


新型日産GT-Rをどう予想する?筆者の考察

ここからは、確認できた事実を踏まえた私見です。

私は、新型GT-Rが登場するとすれば「R35をそのまま電動化したクルマ」にはならない可能性が高いと考えています。

R32EVの研究を見る限り、日産自身が「数字を合わせればGT-Rになるわけではない」と理解しているからです。

モーターを使えば大トルクは出せます。

しかしアクセルを踏んだときの反応、車速の伸び方、音や振動、ステアリング操作への反応まで含め、ドライバーとクルマが対話できなければ、GT-Rとして納得できるものにはなりにくいでしょう。

R32EVでは、30年以上前のR32が持っていたアナログな楽しさを「デジタルリマスター」のように残すという発想が試されています。

この研究成果がそのまま次期GT-Rへ搭載されると決まったわけではありません。

ただし、次世代GT-Rの方向性を考えるうえで非常に興味深い取り組みなのは間違いありません。

さらにGT-Rは、歴代モデルを通じて四輪駆動技術と深い関係があります。

日産は現在、ARIYAやX-TRAILなどで電動四輪制御「e-4ORCE」の技術を持っています。

R32EVを担当した平工氏も、e-4ORCEなど電動駆動4WDの開発経験を持つ技術者です。

私はこの点からも、次世代GT-Rでは電動モーターを単なる動力源として使うのではなく、前後左右の駆動力を細かく制御する方向へ発展する余地があると見ています。

もしそうなれば、R35とは違う方法で「重いのに速い」「条件を問わず速い」というGT-Rらしさを実現できるかもしれません。

一方、課題は重量です。

R32EVでも車両重量は1,797kgとなりました。

高性能EVでは大容量バッテリーが重量増加につながるため、次期GT-Rが電動化された場合、重量をどう管理するかは大きなテーマになります。

単にバッテリーを増やして出力を上げるだけでは、GT-Rが大切にしてきたレスポンスや運転の楽しさを損なう可能性があります。

その意味でも、次期型の注目点は最大出力だけではありません。

車重、バッテリー配置、四輪駆動制御、航続性能、冷却性能、そしてドライバーがどれだけクルマを操っている感覚を得られるか。

この総合力こそ、新型GT-Rを見る際の判断材料になるでしょう。


まとめ

新型 日産 gtrは、現時点では正式な発売日、価格、型式、パワートレインなどが確定している段階ではありません。

一方、R35型GT-Rは2007年から約18年間の歴史を経て生産を終了し、2025年8月26日には栃木工場で最終生産車のオフライン式が行われました。

R35最終世代は通常モデルで最高出力570PS、GT-R NISMOでは600PSを発生し、GT-Rの性能を長年かけて熟成させた完成形と言える存在です。

そして日産はR32EVを通じて、電動化の時代にもGT-Rが持つ「速さ」と「運転する楽しさ」を残せるか研究しています。

次期GT-RがEVになるのか、ハイブリッドになるのか、それとも別の答えを出すのかはまだ断定できません。

ただ、R35の18年間で積み上げた技術と、R32EVで進められている電動化時代の運転感覚の研究を見ると、GT-Rの価値を次の時代へどう受け継ぐかという挑戦は続いていると感じます。

新型GT-Rを見るときは「何馬力か」だけではなく、GT-Rらしい速さを誰でも引き出せるのか、そして運転して心から楽しいのかという視点にも注目したいところです。


よくある質問

新型日産GT-Rはもう発売されていますか?

いいえ。今回確認できる情報では、R35型GT-Rは生産終了していますが、後継となる新型GT-Rの正式な発売日や価格は確定していません。

2025年の日産GT-Rは何馬力ですか?

R35最終世代の通常モデルは最高出力570PS、GT-R NISMOは最高出力600PSです。いずれも3.8L V6ツインターボのVR38DETTエンジンを搭載しています。

次期GT-RはEVになるのでしょうか?

現時点では断定できません。日産はR32型GT-RをEV化したR32EVで電動時代の運転する楽しさを研究していますが、その仕様がそのまま次期GT-Rになると正式発表されたわけではありません。

新型 日産 gtr

生産を終えたR35型GT-Rと次世代スポーツカーへの継承をイメージしたシーン

新型 日産 gtrを待つ人にとって現在もっとも重要なのは、R35型GT-Rは生産終了した一方、日産がGT-Rの将来的な復活を明確に示唆していることです。

ただし、次期GT-Rの発売時期や価格、パワートレインなどは現時点で正式発表されていません。R32 GT-RをEV化した「R32EV」の技術研究を見ると、日産が電動化時代でもGT-Rらしい「速さ」と「運転する楽しさ」を残そうとしている姿勢が見えてきます。

新型 日産 gtrは登場する?R35生産終了と復活示唆を整理

まず結論から言うと、「新型 日産 gtr」の市販計画はまだ正式には確定していませんが、GT-Rそのものがこのまま消滅する可能性は低そうです。

日産自動車は2025年8月26日、栃木工場でR35型「NISSAN GT-R」の最終生産車を完成させ、2007年から続いたR35の生産を終了しました。

R35型GT-Rは2007年に登場してから約18年間にわたって生産され、その累計生産台数は約4万8000台に達しています。

最後の1台は、日本の顧客向けとなるミッドナイトパープルの特別仕様車でした。

一方で、日産のイバン・エスピノーサ社長はGT-Rについて、現時点では正確な次期モデル計画は確定していないとしながらも、GT-Rは進化して再び登場するという趣旨のコメントを発表しています。

つまり、今回終わったのは「GT-Rというブランド」ではなく、あくまでR35という一つの世代だと受け取るのが自然です。

個人的にも、ここは非常に重要なポイントだと感じます。

「生産終了」という言葉だけを見るとGT-Rそのものがなくなったように思えますが、実際には過去のGT-Rも生産休止と復活を経験しています。

GT-Rは1969年、スカイラインの高性能モデルとして誕生しました。

その後、一度姿を消してからR32型スカイラインGT-Rとして復活し、さらにスカイラインから独立する形で2007年にR35型「NISSAN GT-R」が登場しています。

その歴史を考えると、GT-Rにとって「一度休み、新しい技術を得て戻ってくる」という流れは決して異例ではありません。


日産GT-R生産終了、最後の1台が栃木工場でラインオフ

日産GT-RのR35型最終生産車は、2025年8月26日に日産自動車の栃木工場でラインオフしました。

R35は2007年の登場以来、栃木工場で車両を生産し、横浜工場では心臓部となるVR38DETT型エンジンが組み立てられてきました。

GT-Rを象徴する特徴の一つが、この3.8リッターV型6気筒ツインターボ「VR38DETT」です。

エンジンは一般的な大量生産のエンジンとは異なり、「匠」と呼ばれる熟練工が手作業で組み立てていました。

R35の最終期には9人の匠がその役割を担っていたとされており、単純な性能だけでなく、こうした製造方法もGT-Rの特別感を支えてきました。

R35はデビュー当初から改良を重ねています。

初期型では最高出力480馬力クラスからスタートし、その後の高性能化によって、NISMOなどでは最高出力600馬力級にまで成長しました。

「2025 日産 GT-R 最大出力」を調べている人にとって押さえておきたいのは、R35最終期のGT-Rが、登場時からほとんど別物と言えるほど継続的に改良されてきた点です。

ただし、グレードによって出力や装備は異なるため、「2025年モデルはすべて600馬力」と考えるのは正確ではありません。

600馬力級はGT-R NISMOなど高性能仕様を象徴する数値として見るのがよいでしょう。

私はR35の本当のすごさは、単に「600馬力まで上がった」ことではないと思っています。

約18年間モデルを継続しながら、年次改良を繰り返し、走り・快適性・空力・制御などを磨き続けたことこそ、R35を特別なクルマにした最大の理由ではないでしょうか。


日産GT-R R35最終仕様とは?2025年モデルまで進化

R35 GT-Rの最終世代につながる2025年モデルは、日産が2024年3月14日に正式発表しました。

日産のWebカタログでは、該当するGT-Rについて2024年3月から2025年9月まで掲載され、その後「生産終了」と案内されています。

R35には長いモデルライフの中で、Premium edition、Black edition、Pure edition、NISMO、Track edition engineered by NISMO、T-specなど、多くのグレードや特別仕様が設定されてきました。

中古車カタログ上でも、最終期まで以下のような仕様が確認できます。

  • Premium edition
  • Black edition
  • Pure edition
  • GT-R NISMO
  • GT-R NISMO Special edition
  • Track edition engineered by NISMO
  • Premium edition T-spec
  • Track edition engineered by NISMO T-spec

R35は2007年に登場したモデルですが、一度作って終わりのクルマではありません。

空力性能や足回り、エンジン制御、ボディ剛性、内外装などを細かく見直しながら、長期間進化を続けてきました。

そのため「R35最終仕様」という言葉には、単なる最終ロット以上の意味があります。

約18年間積み重ねてきた技術の集大成だからです。

一方、長寿命モデルには避けられない問題もあります。

生産終了の背景には、環境・安全関連を含む各種法規への対応や部品調達の難しさがありました。

どれほど魅力的なクルマでも、2007年を基本設計の出発点とする車両を新しい規制へ永遠に対応させ続けるのは現実的ではありません。

私はむしろ、R35を無理に延命するより、一度区切りをつけたことは次期GT-Rにとって必要な判断だったと考えています。

R35を少しずつ改良し続けるだけでは、EVや新世代ハイブリッド、最新の電子制御技術を前提としたライバルに対して、設計上どうしても限界が出てくるからです。


日産GT-Rはなぜ18年の歴史に幕を下ろした?

R35 GT-Rが約18年間という非常に長い歴史に幕を下ろした理由は、「人気がなくなったから」という単純な話ではありません。

法規対応や部品供給など、長期間同じ基本設計を生産し続ける難しさが大きくなったことが背景にあります。

R35は、2007年にスカイラインから独立した「NISSAN GT-R」として発売されました。

GT-Rという名前自体は1969年にスカイラインのレーシング仕様として誕生しており、半世紀を超える歴史を持ちます。

R35はその歴史の中でも異色の存在でした。

従来のスカイラインGT-Rが採用してきた直列6気筒エンジンではなく、3.8リッターV6ツインターボを搭載し、「スカイライン」の名前も外しました。

一方で、4WDと高度な電子制御によって圧倒的な走行性能を狙うというGT-Rの思想はしっかり受け継いでいます。

モータースポーツでもSUPER GTなどで活躍し、「技術の日産」を象徴する存在として世界的な知名度を獲得しました。

約4万8000台という18年間の生産台数だけを見ると、一般的な量販車と比べて非常に少なく感じるかもしれません。

しかしGT-Rは販売台数だけで価値を測るタイプのクルマではありません。

「日産にはこういうクルマを作れる」という技術力を世界に示す役割が非常に大きいクルマだからです。

言い換えるなら、GT-Rは日産にとって商品であると同時に、技術力そのものを見せるショーケースでもあります。

だからこそ、経営環境が厳しい時期であっても次期GT-Rの動向が注目されるのでしょう。


新型 日産 gtrはEVになる?R32EVから見える次世代技術

では、復活する新型 日産 gtrはEVになるのでしょうか。

現段階で「次期GT-RはEVになる」と断定できる正式発表はありません。

ただし、次世代GT-Rを考えるうえで非常に興味深い研究が、日産のR32EVです。

これはR32型スカイラインGT-R(BNR32)をベースに電動化したプロジェクトで、単に古いGT-Rからエンジンを降ろしてモーターを載せただけの車両ではありません。

開発チームが重視したのは、GT-Rの「運転して楽しい」という感覚そのものを、EVでどこまで再現できるかというテーマでした。

R32EVの主要諸元は次の通りです。

項目 R32EV
ベース車両 R32型スカイラインGT-R(BNR32)
全長×全幅×全高 4,545×1,755×1,340mm
車両重量 1,797kg
モーター最高出力 160kW×2基
モーター最大トルク 340N・m×2基
駆動方式 ツインモーター4WD
バッテリー リチウムイオン電池
乗車定員 2名

前後にモーターを搭載したツインモーター4WDとし、リーフNISMO RC02由来のバッテリーを使用しています。

興味深いのはスペック以上に、その作り込み方です。

プロジェクトを率いた日産自動車のパワートレインシステム エキスパートリーダー、平工良三氏は、GT-Rに重要な要素として「圧倒的な速さ」と同じくらい「運転して楽しいこと」を挙げています。

EVはモーターの大トルクによって速いクルマを作りやすい反面、それだけではGT-Rらしい楽しさにはならないという考えです。

そこでR32EVでは、ドライバーのアクセル操作や車速、振動、音などを連動させることに力を入れました。

単にRB26DETTのエンジン音を録音してスピーカーから流しても、本物らしい感覚にはならなかったそうです。

重要なのは、アクセルを踏んだ瞬間の反応や車速、振動と音がドライバーの操作に「シンクロ」することでした。

これは次期GT-Rを考えるうえで、とても大きなヒントだと私は感じます。

EV化するとGT-Rらしさが消えると考える人は少なくありません。

しかし日産側もその問題を理解しており、「速ければGT-Rになるわけではない」というところまで踏み込んで研究しているわけです。


R32EVはそのまま新型GT-Rになるわけではない

ここで誤解しないようにしたいのが、R32EVは次期GT-Rの市販プロトタイプとして発表された車両ではないという点です。

R32EVはあくまで研究・技術チャレンジとして製作された車両です。

東京オートサロン2025の日産ブースでも参考展示されましたが、「この技術・仕様で新型GT-Rを発売する」と発表されたわけではありません。

実際、R32をEV化する作業には大きな苦労があったとされています。

30年以上前の車体は床下に大型バッテリーを搭載することを前提としていません。

そのためR32EVではリアシート部分などを利用してバッテリーを配置し、車内へ入れる際にもドアを外してバッテリーを斜めにしながら搭載するなど、大掛かりな作業が必要でした。

また、元々搭載されていたRB26DETTエンジンや関連部品についても廃棄せず、大切に保管し、今後の技術研究に活用する予定とされています。

この姿勢からも、R32EVは「古いGT-RをEVに置き換えてしまう」ための企画ではなく、過去のGT-Rが持っていた価値を分析し、未来へ残す研究だと分かります。

日産はこれを、昔のクルマの魅力を現代技術で再現する、いわばクルマのデジタルリマスターのような考え方として研究しています。

私はここに次期GT-Rの重要な方向性が隠れていると考えています。

仮に将来のGT-Rが電動化されたとしても、単純に0-100km/h加速だけを競うEVにはしないのではないでしょうか。

ドライバーが操作する楽しさ、四輪駆動を操る感覚、音や振動を含めたフィードバックなど、「数字に出にくいGT-Rらしさ」を残すことが大きな開発テーマになりそうです。


新型 日産 gtrの発売時期・価格・スペックはどうなる?

新型 日産 gtrを検索する人が最も気になるのは、「いつ発売されるのか」「いくらになるのか」「EVなのか」という点でしょう。

しかし現段階では、日産から正式な発売日、価格、最高出力、バッテリー容量、エンジン形式などは発表されていません。

したがって、ネット上で見かける具体的な発売年や価格、1000馬力級といった数字については、日産の正式発表と分けて考える必要があります。

現在確実に言える事実は大きく3つです。

  • R35 GT-Rは2025年8月26日に最終生産車が完成した
  • R35は約18年間で約4万8000台が生産された
  • イバン・エスピノーサ社長がGT-Rの将来的な復活を示唆している

ここから先は私見になります。

個人的には、次のGT-Rで日産がもっとも慎重になるのは「いつ出すか」以上に、GT-Rを名乗るだけの技術的な理由を作れるかだと考えています。

GT-Rは、普通のスポーツカーにGT-Rのエンブレムを付ければ成立するブランドではありません。

歴代モデルはそれぞれの時代で、4WD技術や過給エンジン、電子制御、空力などを使い、「その時代の日産が作れる最高峰の走り」を示してきました。

電動化時代に復活するなら、新型GT-Rにもそれに匹敵する技術的な見せ場が必要になるでしょう。

純粋なバッテリーEVなのか、エンジンとモーターを組み合わせるのか、それとも別の方式になるのかはまだ分かりません。

ただ、R32EVでツインモーター4WDの制御や操作感の再現に取り組んでいることを考えると、電動駆動技術が次世代GT-R開発に何らかの形で生かされる可能性は十分考えられます。

一方で、R35のような大排気量ツインターボエンジンをそのまま次世代へ持ち越すのは、規制対応や商品寿命を考えると簡単ではありません。

だからこそ新型GT-Rは、R35の単純な後継車ではなく、R32からR35へ移った時と同じくらい、大きな考え方の転換を伴う可能性があります。


日産GT-R復活で重要なのは「R35を超える数字」だけではない

新型GT-Rが登場するとき、多くの人が最初に見るのは馬力や0-100km/h加速でしょう。

しかし私は、そこだけで評価するのは少しもったいないと感じます。

現在では高性能EVが非常に大きなモーター出力を発生させること自体は、以前ほど珍しくありません。

だから次期GT-Rに求められるのは、「何馬力あるか」だけではなく、なぜGT-Rでなければならないのかという答えではないでしょうか。

R32EVプロジェクトで日産の技術者が掘り下げているのも、まさにその部分です。

マニュアル車ではドライバー自身がギアを選び、アクセルを操作し、その操作に応じて音・振動・加速度が変化します。

その一連のやり取りが運転の楽しさにつながっていると分析し、それを電動車でどう再現するか研究しています。

ここは単純な最高出力競争より面白いところです。

もし次期GT-Rが、EVならではの高い性能と、歴代GT-Rのような「自分で操っている感覚」を両立できれば、GT-Rは電動化時代にも独自の居場所を作れると思います。

逆に、スペックだけ猛烈に高いEVになってしまえば、「確かに速いけれど、GT-Rである必要はあるのか」という厳しい評価を受ける可能性もあります。

日産自身がその難しさを理解しているからこそ、エスピノーサ社長も次期モデルについて正確な計画が決まっていない段階で安易な約束をしていないのでしょう。

急いで名前だけ復活させるより、時間がかかってでもGT-Rとして納得できるクルマを作る。

私はその方が、結果的にはGT-Rというブランドを守ることにつながると考えています。


まとめ|R35は終了したが「新型 日産 gtr」への道は残っている

日産GT-Rは2025年8月26日、栃木工場でR35型最後の1台を完成させ、約18年間にわたる生産を終了しました。

2007年から約4万8000台が生産され、VR38DETT型3.8リッターV6ツインターボや高度な4WD制御を武器に、「技術の日産」を世界へ示してきたモデルです。

しかし、GT-Rの歴史そのものが終わったわけではありません。

イバン・エスピノーサ社長は将来的な復活を示唆しており、次のGT-Rについて日産が考え続けていることは読み取れます。

さらにR32EVでは、160kWのモーターを2基搭載したツインモーター4WDを使いながら、単純な速さだけではなく、エンジン車の音や振動、アクセル操作との一体感まで研究しています。

次期GT-Rの発売時期や価格、最高出力、EVかどうかについては、まだ正式発表されていません。

だから今は予想を事実として受け取るのではなく、「R35の生産は終了した」「GT-Rの復活は示唆されている」「電動化しても運転する楽しさを残す研究が進められている」という確認済みの情報を押さえておくのが最も確実です。

個人的には、新型 日産 gtrに必要なのはR35より大きな最高出力の数字だけではないと思います。

R32がR32らしく、R35がR35らしかったように、「この技術があるから新しいGT-Rを作る意味がある」と納得できるクルマとして戻ってくることこそ、多くのGT-Rファンが待っている復活ではないでしょうか。


よくある質問

日産GT-Rは本当に生産終了したのですか?

はい。R35型NISSAN GT-Rは2025年8月26日に栃木工場で最後の車両が完成し、約18年間続いた生産を終了しました。

最後の1台はミッドナイトパープルの特別仕様車で、日本の顧客向けとされています。

新型 日産 gtrの発売日は決まっていますか?

現時点では、次期GT-Rの正式な発売日は発表されていません。

イバン・エスピノーサ社長はGT-Rが将来的に進化して再び登場する趣旨のコメントを出していますが、具体的な発売時期や仕様については未確定です。

新型GT-RはEVになりますか?

次期GT-RがEVになるとの正式発表はありません。

ただし日産はR32型スカイラインGT-Rを電動化したR32EVを開発し、ツインモーター4WDだけでなく、音・振動・アクセル操作などを含めた「GT-Rを運転する楽しさ」を電動駆動で再現する研究を進めています。

byd売れ行き

日本では販売台数を伸ばしつつ世界市場で急成長するBYDのEVとPHEVをイメージした自動車シーン

BYDの売れ行きは、日本ではまだ小規模ながら着実に拡大中です。一方、世界では2025年に460万台超を販売する巨大メーカーへ成長しています。

「BYDって日本では全然売れていないのでは?」と感じる人もいるでしょう。実際、日本車と比べれば販売規模はまだ小さいものの、2025年の国内販売は3,742台、2026年上半期は2,334台まで増えており、「まったく売れていない」と片付けられる段階ではなくなってきました。

byd売れ行きは実際どう?日本では3年連続で成長

BYDの売れ行きを考えるとき、まず分けて考えたいのが「日本」と「世界」です。

世界販売だけを見れば、BYDはすでに新興メーカーと呼ぶには大きすぎる存在です。一方、日本ではトヨタやホンダ、日産、スズキなど国内メーカーが圧倒的に強く、BYDはまだ市場へ入り込んでいる途中にあります。

BYDが日本で一般向け乗用車の販売を本格的に始めたのは2023年。最初に投入したのがSUVタイプのEV「ATTO 3」で、その後「DOLPHIN」「SEAL」「SEALION 7」などへラインナップを広げてきました。

販売台数を見ると、変化が分かりやすくなります。

年・期間 日本での販売・登録台数 動き
2023年 約1,446台 乗用EV販売を本格開始
2024年 約2,223台 前年から増加
2025年 3,742台 前年比約68%増
2026年1〜6月 2,334台 前年同期比42.7%増

BYD Auto Japanによると、2025年は年間3,742台となり、3年連続の成長を記録しました。2026年上半期も2,334台となり、前年同期を42.7%上回っています。

数字だけ見れば、日本の自動車市場全体に対するシェアは依然として小さいです。

ただし重要なのは、「台数が少ないこと」と「売れ行きが悪化していること」は同じではないという点です。

BYDの場合、日本での絶対的な販売台数はまだ少ないものの、2023年から2026年にかけて販売規模そのものは拡大しています。

個人的には、BYDの現在地を「売れていない」と一言で評価するより、日本市場でようやく土台を作り始めた段階と見るほうが実態に近いと感じます。


なぜ日本のBYDは世界ほど売れていない?

BYDが日本で世界ほど圧倒的な売れ行きになっていない理由として、まず大きいのが日本市場そのものの特殊性です。

日本ではトヨタ、ホンダ、日産、スズキ、ダイハツ、マツダ、スバル、三菱といった国内メーカーが非常に強く、販売店や整備拠点も全国に広がっています。

「近所に昔から付き合いのあるディーラーがある」「前の車と同じメーカーに乗り換える」という買い方も珍しくありません。

つまりBYDが日本で勝負する相手は、単にテスラなどのEVメーカーだけではありません。

長年かけて築かれた日本メーカーへの安心感そのものが最大のライバルともいえます。

さらに、BYDが日本へ投入してきた主力車種がBEV、つまり電気だけで走るEVだったことも大きなポイントです。

日本ではハイブリッド車の選択肢が非常に豊富です。

自宅充電環境がない人なら、「わざわざEVを選ばなくても燃費の良いハイブリッドがある」と考えるのは自然でしょう。

充電場所、マンションでの充電設備、長距離移動時の充電時間などを考えると、車両価格だけでEVを選びにくい事情があります。

これはBYD車だけの問題というより、日本におけるBEV全体が抱えてきた壁です。

その意味では、BYDの売れ行きを見る場合、「中国メーカーだから売れない」という単純な説明だけでは不十分だと私は考えています。

日本のユーザーが求める販売網、アフターサービス、下取り価格、充電環境、そしてハイブリッド車との比較まで含めて考える必要があります。


2025年からBYDの売れ行きが変わった理由は?

日本でBYDの販売が伸びている背景には、車種の拡大があります。

2025年4月には電動SUV「BYD SEALION 7」が日本で発売され、2025年の販売拡大を牽引したとBYD Auto Japanは説明しています。2025年5月には月間登録台数416台を記録し、当時の単月過去最高を更新しました。

そして、さらに大きな転換点となったのがPHEVです。

BYDはBEVだけを扱うメーカーではありません。

世界ではエンジンと大容量バッテリーを組み合わせるPHEVも大量に販売しており、BEVとPHEVの両方を持っていることがテスラとの大きな違いです。

2026年上半期の日本販売では、PHEVの「BYD SEALION 6」が累計1,254台登録されました。

上半期全体が2,334台ですから、SEALION 6だけで半分以上を占めた計算になります。

これはかなり興味深い結果です。

「BYDそのものが日本人に受け入れられない」という話であれば、PHEVを投入しただけでここまで販売構成が変わるとは考えにくいでしょう。

むしろ、日本ではブランド以上にパワートレインとの相性が販売を左右している可能性があると私は見ています。

自宅では電気で走り、遠出ではガソリンも使えるPHEVなら、充電切れへの心理的な不安を減らせます。

EVには興味があるけれど「充電だけで生活するのは少し不安」という人にとって、かなり現実的な橋渡し役になるからです。


世界ではBYDは売れている?2025年は460万台超

日本だけを見ているとBYDの規模を見誤りやすいのですが、世界に視点を移すと景色が一変します。

BYDは2025年に新エネルギー車を4,602,436台販売しました。

海外販売も初めて年間100万台を突破しています。BYD自身も2025年の世界販売が460万台を超えたことを公式に発表しています。

つまり、日本で年間数千台という数字だけを見て「BYDは売れていないメーカー」と判断すると、世界市場での実態とは大きくズレます。

2025年にはBEVだけでも約225万台規模を販売し、テスラを上回る規模に成長しました。

さらにBYDはBEVだけでなくPHEVを持っているため、「完全EVへ今すぐ移行したい人」と「まずPHEVから電動化したい人」の両方を狙えるのが強みです。

2026年に入ってからも海外展開は勢いがあります。

2026年7月のBYDグループのNEV販売台数は41万9,211台。乗用車ではBEVが23万3,105台、PHEVが17万7,967台となっています。

ここから見えてくるのは、BYDが単純な「中国国内向け格安EVメーカー」ではなくなっているということです。

個人的にBYDの怖さを感じるのは、最高級EVだけに集中するのではなく、大量販売できる価格帯からPHEV、SUV、高級ブランドまで横へ広げていることです。

日本メーカーにたとえるなら、1車種で勝負するというより、販売台数を積み上げられる複数の商品を次々用意する戦い方に近いでしょう。


テスラとBYD比較、なぜ販売ではBYDが強くなった?

「テスラ BYD 比較」で調べている人にとって気になるのは、なぜ後発の印象が強いBYDがこれほど販売を伸ばしたのかという点でしょう。

両社には、重要部品や技術を自社で抱える垂直統合型という共通点があります。

ただし、得意分野はかなり違います。

テスラはソフトウェア、OTAアップデート、車両制御、独自の充電ネットワークなど、「クルマをデジタル製品として進化させる力」が非常に強いメーカーです。

一方のBYDは、もともと電池事業に強みを持ち、バッテリーからモーター、電子部品、完成車まで幅広く自社グループで手掛けています。

その結果として生まれるのが、価格競争力です。

さらに販売台数で重要なのは、テスラが基本的にBEV専業なのに対して、BYDにはPHEVという別ルートがあることです。

BEV人気が鈍った地域ならPHEVを投入し、BEV需要の強い地域ならEVを売る。

この柔軟性はかなり大きいでしょう。

私は、BYDがテスラを販売台数で上回った理由を単純に「安いから」と見るのは少し違うと思っています。

安く作れる製造力に加えて、売れる地域に売れるパワートレインを持っていく商品構成の広さこそ、BYDの本当の強みではないでしょうか。


byd d9はアルファードのライバルになる?売れ行きとの関係

「byd d9 アルファード」と検索する人も増えていますが、正確には「D9」はBYD本体ではなく、BYDが展開するプレミアムブランド「DENZA(デンザ)」の大型ミニバンです。

D9は2022年に中国で登場し、全長5,250mm、全幅1,960mm、全高1,920mm、ホイールベース3,110mmという大型ボディを持ちます。

トヨタ・アルファード/ヴェルファイアよりひと回り大きく、3列シートに加え、豪華な2列目シートなどを備える中国市場向け高級ミニバンとして注目されてきました。

BEVだけでなくPHEVも設定されている点もBYDグループらしいところです。

ジャパンモビリティショー2023にもD9が展示されましたが、当時BYD Auto Japan側は日本での具体的な販売予定はないと説明していました。

ここでD9そのものの日本販売を予想することより重要なのは、BYDが「安いEVしか作れないメーカーではない」と示していることでしょう。

中国では高級ミニバン市場が大きく、D9のような商品まで成立しています。

アルファードやヴェルファイアが圧倒的なブランド力を持つ日本へD9を持ってきても、簡単に勝てるとは私は思いません。

特にリセールバリュー、販売網、法人需要、長期所有時の安心感ではトヨタ側に大きな蓄積があります。

ただし、D9の存在はBYDの販売戦略を理解するヒントになります。

大衆EVだけでなく、高級車、PHEV、SUV、ミニバンまで揃えられる商品開発力があること自体が、将来の販売拡大につながる可能性があるからです。


BYDの売れ行きはこれからどうなる?日本では「EV以外」がカギ

ここからは私見です。

BYDの日本販売について、私は「世界で売れているから日本でも一気に売れる」とは考えていません。

日本市場はかなり特殊だからです。

軽自動車、コンパクトカー、ハイブリッド、ミニバンという日本独自ともいえる売れ筋があり、メーカー系列の販売店や整備網も強力です。

海外で成功したSUVをそのまま持ってくるだけでは、大ヒットは難しいでしょう。

一方で、2026年上半期にSEALION 6が販売を大きく牽引した事実は重要です。

これは「中国車だから選ばれない」という固定観念だけでは説明しにくい結果です。

価格、装備、使い勝手、充電への不安などを含め、条件が日本人の生活に合えば購入候補に入る人は確実に存在するということでしょう。

さらにBYDは2026年7月、日本独自規格に合わせた軽EV「RACCO」を投入する動きを本格化させています。

軽自動車は日本の新車市場で非常に大きな割合を占めるカテゴリーですから、ここへ本気で参入する意味は小さくありません。

私はこの軽EV戦略こそ、今後のBYD売れ行きを判断する重要な試金石になると考えています。

ATTO 3やSEALは「海外で作ったBYD車を日本でも販売する」という印象が強い商品でした。

しかし、日本の軽自動車規格やスライドドア需要など、日本の生活環境を意識した商品になれば話は変わります。

つまり今後のBYDは、「日本人がBYDを好きになるか」より「BYDがどこまで日本人向けのクルマを作れるか」が勝負になるでしょう。

車選びをコスパ重視で考える私としても、メーカーの国籍だけで候補から外してしまうのは少しもったいないと感じます。

ただし、車両価格だけで決めるのもおすすめできません。

購入時には販売店までの距離、整備体制、急速充電環境、自宅充電の可否、保険料、数年後の下取り価格まで含めて比べるべきです。

特にリセールについては、日本で長年売れてきたトヨタやホンダなどと同じ感覚で考えないほうが安全でしょう。

BYDが日本で本当に定着したと判断できるのは、「新車が何台売れたか」だけでなく、中古車市場やアフターサービスまで含めた循環ができてからだと私は考えます。


まとめ

BYDの売れ行きは、日本と世界でまったく違う景色になっています。

日本では2023年の約1,446台から、2025年には3,742台まで伸び、2026年上半期も2,334台を登録しました。規模そのものはまだ小さいものの、販売は3年連続で成長しています。

一方、世界では2025年に460万台を超えるNEVを販売し、BEVだけでもテスラを上回る規模へ成長しました。2026年7月もグループ全体で41万9,211台を販売しており、世界的にはすでに巨大自動車メーカーの一角です。

したがって「BYDは売れていない」という言い方は、日本市場だけを見れば一部当てはまるものの、現在の実態を正確には表していません。

日本でのポイントは、BEVだけでなくPHEVのSEALION 6が販売を押し上げ始めたことです。

今後、日本向けの商品が増え、販売・整備拠点や中古車市場まで育っていけば、BYDの存在感は今より大きくなる可能性があります。

逆に、販売台数が増えてもアフターサービスやリセールに課題が残れば、日本メーカーから大量にユーザーを奪うところまでは進まないでしょう。

「世界ではすでに売れている。日本では、これから本当の勝負が始まる」——これが2026年時点のBYDの売れ行きを最も分かりやすく表す状況だと私は考えています。


よくある質問

BYDは日本で売れていないのですか?

日本メーカーと比べれば販売台数はまだかなり少ないですが、減っているわけではありません。2025年は3,742台、2026年上半期は2,334台となり、販売規模は拡大しています。

BYDとテスラはどちらが世界で売れていますか?

2025年はBYDのBEV販売が約225万台規模となり、テスラを上回りました。さらにBYDはPHEVも大量に販売しているため、BEVとPHEVを合わせたNEV全体では460万台を超えています。

BYD D9は日本でアルファードのライバルになりますか?

DENZA D9はアルファード/ヴェルファイアより大型の高級電動ミニバンですが、日本でアルファード並みに普及するかは別問題です。商品力だけでなく、ブランド力、販売網、リセール、整備体制まで含めて日本市場に適応できるかが重要になります。

三菱パジェロと岐阜・坂祝の関係は?生産拠点をめぐる歴史を解説

三菱パジェロと岐阜県坂祝町は、約40年にわたり生産を通じて結びつき、「パジェロの町」と呼ばれるほど深い関係を築いてきました。

現在は坂祝町での車両生産は終了していますが、2026年秋に復活する新型パジェロを理解するうえでも、この岐阜の生産拠点の歴史は知っておきたいポイントです。

三菱パジェロと岐阜・坂祝はどんな関係だった?

三菱パジェロと岐阜県加茂郡坂祝町の関係を簡単に言えば、坂祝町が長年にわたるパジェロの主要な生産拠点だったというものです。

町内には、かつて三菱自動車の100%子会社「パジェロ製造株式会社」の本社と工場がありました。

同社のルーツは1943年に岐阜市内で設立された東洋航機株式会社までさかのぼります。その後、社名変更などを経て、1976年に坂祝町へ全面移転しました。

1978年にはピックアップトラック「フォルテ」の一貫生産を開始し、1982年からパジェロの一貫生産に乗り出します。

つまり、1982年に初代パジェロが登場した時期から、坂祝町はパジェロの歴史そのものを支えてきた場所の一つだったわけです。

1995年には会社名そのものが「パジェロ製造株式会社」へ変更されました。

一つの車名が会社名になること自体、そのモデルが事業の中心だったことを強く感じさせます。

私自身、クルマを選ぶときは価格や燃費、装備に目が向きがちですが、パジェロのようなモデルでは「どこで、誰が、どのように長年造ってきたか」まで見ると、そのクルマの背景がかなり立体的に見えてきます。

坂祝町とパジェロは、単純な「工場所在地と製品」の関係を超えた存在だったと言えるでしょう。


なぜ坂祝町は「パジェロの町」と呼ばれた?

岐阜県坂祝町が「パジェロの町」とまで呼ばれるようになった最大の理由は、工場が地域経済と暮らしに大きな影響を与えていたからです。

坂祝町は岐阜県中南部に位置し、人口は約8千人。決して大きな自治体ではありません。

その町に大規模な完成車工場があり、多くの従業員や関連企業が集まっていました。

2015年に紹介されたパジェロ製造の広報担当者の説明では、坂祝町の公式サイトでパジェロが「特産品」として掲載されるようになったのは2000年ごろだったとされています。

当時すでに「坂祝町といえばパジェロ」というイメージが地域に定着していたことに加え、パジェロの生産が坂祝町へ集約されていったことや、関連企業が町周辺に多かったことも背景にあったようです。

農産物や工芸品ではなく、自動車そのものが町の特産品として紹介されていたというのは、かなり珍しいケースではないでしょうか。

さらにパジェロ製造は、単に工場を構えていただけではありません。

岐阜県内の小学校約100校、年間約5000人の子どもたちを工場見学に受け入れていたほか、「パジェロ製造ファミリー祭」や河川清掃、「さかほぎ町民まつり」への参加など、地域との交流にも力を入れていました。

こうした積み重ねが、「三菱の工場がある町」ではなく、「パジェロの町」という独特の地域ブランドにつながったのでしょう。

そして、その存在感は税収面でも非常に大きなものでした。

朝日新聞が2025年9月に報じた内容によると、コロナ禍前の2018年度には、パジェロ製造が坂祝町の税収全体の16%、法人税に限れば34%を占めていました。

町の法人税のおよそ3分の1を一社が支えていた計算です。

この数字を見ると、「パジェロの町」という表現が単なる愛称ではなかったことが分かります。

パジェロは全国や海外へ販売されるSUVであると同時に、坂祝町にとっては雇用、税収、地域活動、さらには町の知名度まで支える存在だったのです。


岐阜・坂祝のパジェロ工場では何を生産していた?

坂祝町の工場といえばパジェロの印象が圧倒的ですが、実際にはさまざまな車種を生産していました。

パジェロ製造の沿革では、1978年にフォルテ、1982年にパジェロ、1991年にはストラーダの生産を開始しています。

さらに2007年1月からはデリカD:5、2015年11月からはアウトランダーの補充生産も担当しました。

過去には三菱ジープや、ホンダ・シティカブリオレなどを生産した時期もあります。

ただし、やはり工場を象徴した車種はパジェロでした。

とくに坂祝町の工場は、鋼板の加工から完成車までを一つの工場内で仕上げる「一貫生産型」の工場だったことが特徴です。

クルマ好きの目線で見ると、これはかなり重要なポイントです。

パジェロは単なる街乗りSUVではなく、悪路走破性や耐久性が求められるクロスカントリー4WDでした。

最終型となった4代目パジェロには、ラダーフレームビルトインモノコックボディや四輪独立懸架式サスペンション、「スーパーセレクト4WD II」など、本格的な4WDとしての仕組みが採用されていました。

3ドアのショートボディと5ドアのロングボディが設定されていたことも、当時のSUVとしては個性的です。

日本向け最終期には3.0L V6ガソリンエンジンと3.2L直列4気筒ディーゼルターボが用意され、ランドクルーザープラドと並ぶ本格4WDとして知られていました。

そのパジェロを長年にわたり造り続けたことが、坂祝工場の技術や地域の誇りにつながっていったのだと思います。


三菱パジェロは岐阜・坂祝でいつまで生産された?

日本向けパジェロの生産は2019年7月末に終了しました。

国内市場では2019年8月に販売を終え、1980年代から続いてきたパジェロの日本での歴史はいったん幕を閉じます。

ただし、その時点ですぐ坂祝工場全体が閉鎖されたわけではありません。

海外向けパジェロの生産はその後も続き、2021年7月2日に終了しました。

パジェロの累計生産台数は約324万台とされています。

そして2021年8月6日、パジェロ製造はすべての車種の生産を停止。8月31日には残る生産活動も終了し、坂祝町の工場は閉鎖されました。

パジェロ製造が手掛けた全車種の累計生産台数は約396万台に達しています。

約400万台に迫る車両を送り出した工場が人口約8千人の町に存在していたと考えると、その規模の大きさが分かります。

工場閉鎖の方針が坂祝町に伝わったのは2020年7月でした。

当時の町長だった柴山佳也さんは、町民から「これから町はやっていけるのか」と心配する声を聞き、先行きの分からない不安を抱えたと振り返っています。

実際、工場がなくなることは、単に「パジェロが造られなくなる」という話ではありませんでした。

町にとっては雇用と税収の柱を同時に失う大きな出来事だったのです。

個人的には、ここがパジェロと坂祝町の関係を考えるうえで最も重要なところだと感じます。

クルマの生産終了というニュースは通常、ユーザー側から「欲しかった車がなくなる」「中古車価格が上がる」といった視点で語られがちです。

しかし生産地から見れば、一つの車種の終了が地域の暮らしや財政そのものに直結する場合があります。

パジェロは、その典型的な例だったと言えるでしょう。


パジェロ工場閉鎖後の坂祝町はどうなった?

2021年8月にパジェロ製造の工場が閉鎖された後、跡地は大手製紙会社が取得しました。

当初は紙製品などの生産拠点として利用される計画が伝えられていましたが、2025年の報道では、跡地は主に物流拠点として使われているとされています。

かつて工場から響いていたプレス加工の音や、早朝の通勤時間帯にできていた従業員のマイカーの列も、町から姿を消しました。

坂祝町は工場閉鎖後、ふるさと納税の強化などを進めてきましたが、財政面では厳しい状況が続いているとされています。

2025年度の予算編成資料では、「歳入を増大させる突破口が見いだせない厳しい状況」との認識も示されました。

工場一つの存在が、地域経済にどれほど大きな意味を持っていたかが分かります。

また、パジェロ製造そのものもその後、法人としての歴史を終えています。

2023年2月に登記上の本店を愛知県岡崎市へ移し、同年10月2日には清算の決了などによって登記記録が閉鎖され、法人格が消滅しました。

つまり現在は、「坂祝町にパジェロ製造という会社と工場がある」という状態ではありません。

中古車情報で「三菱 パジェロ 岐阜」と検索すると、現在でも岐阜市、可児市、大垣市などでパジェロの中古車が見つかります。

元資料では岐阜県内に3台が掲載され、2008年式3.0ショートVR-I 4WDが99万円、2019年式3.2ロング・ファイナルエディションが489万円、2006年式3.0 ZR 4WDが166.4万円という例が確認できます。

価格は在庫状況で変動しますが、かつてこの県で大量に生産されたモデルが、今では「中古車として探す存在」になっているところに時間の流れを感じます。


新型パジェロ復活でも岐阜・坂祝で生産されないのはなぜ?

そして2026年、パジェロをめぐる状況は再び大きく動きました。

三菱自動車は2026年5月29日、2030年代に向けた新中長期ビジョンを発表し、新型パジェロを2026年秋に世界初公開すると正式に明らかにしています。

三菱自動車の加藤隆雄CEOは、新型パジェロを「三菱自動車らしさ」を詰め込んだフラグシップ商品と位置付けました。

さらに今後は新型パジェロを頂点として、スモールSUVやコンパクトSUVなどへ広げる「パジェロシリーズ」の展開も構想されています。

新型車は、三菱のピックアップトラック「トライトン」が使うラダーフレームを採用し、クロスカントリーSUVとして専用開発される計画です。

しかし、ここで重要なのが生産地です。

新型パジェロの生産工場は、かつての岐阜県坂祝町ではなく、タイの三菱自動車の生産拠点「MMTh」とされています。

2025年9月の時点でも、パジェロ復活を検討する一方、国内に新たな工場を構えて生産する想定ではなく、東南アジアで製造して日本へ輸入する方向と報じられていました。

そして2026年5月、タイ生産であることが正式に示された形です。

つまり、パジェロという車名は日本市場に7年ぶりに戻ってきても、「坂祝で造るパジェロ」が復活するわけではありません。

ここは少し寂しさを感じる人もいるでしょう。

1982年から長期間にわたりパジェロを造り、「町の特産品」とまで言われた坂祝町にとって、新型パジェロの復活は特別なニュースです。

一方、自動車メーカーの現在の経営を考えれば、生産量や輸出先、部品調達などを考慮し、主要市場に近い海外拠点で生産する判断にも合理性があります。

三菱自動車は2026年度から2031年度までに計13モデルの新型車を投入する計画を掲げています。

限られた開発・生産資源を「パジェロシリーズ」などの強みが出せる商品へ集中させる以上、かつてと同じ国内生産体制へ戻すより、既存の海外拠点を生かす方が現実的なのでしょう。


パジェロと坂祝町の歴史から見えるもの

筆者としては、新型パジェロの復活を見るとき、単に「昔の人気SUVが戻ってくる」という話だけではもったいないと感じます。

パジェロという車名の後ろには、岐阜県坂祝町で何十年も完成車を造り続けてきた人たちと、その工場とともに歩んできた地域の歴史があります。

1982年にパジェロの生産を開始し、1995年には会社名までパジェロ製造となりました。

2000年ごろには町の特産品として紹介され、地域の子どもたちは工場見学に訪れ、町民祭りや地域清掃などでも工場と住民がつながっていました。

そして2018年度には町税収入全体の16%を支えるまでの存在になりました。

これほど地域と深く結びついた車種は、国内でもそう多くないでしょう。

一方で、2019年に日本向けパジェロの生産が終わり、2021年には海外向け生産も終了。坂祝工場そのものも閉鎖されました。

そこから5年後の2026年、新型パジェロは復活します。

ただし、生産地はタイです。

この違いは、自動車産業がこの数十年でどう変化したかを象徴しているようにも見えます。

かつては日本国内の特定地域に巨大な工場を置き、地域の雇用や税収と強く結びつきながら車を造る形が目立ちました。

現在は世界市場を前提として、車種ごとに最も効率のよい拠点へ生産を集約する考え方がより強くなっています。

コスパを重視して車を見る立場からすると、生産拠点の最適化によって新型パジェロの商品力や価格競争力を高められるのであれば、それ自体はユーザーにもメリットがあります。

ただ、パジェロの歴史を知る人にとって「岐阜・坂祝」という地名が特別な意味を持ち続けることも忘れてはいけないと思います。

新しいパジェロがタイで造られる時代になっても、パジェロというブランドの日本での土台を長く支えた場所の一つが坂祝町だった事実は変わりません。


まとめ

三菱パジェロと岐阜県坂祝町は、1982年から長年にわたる生産を通じて深く結びついてきました。

坂祝町に本社・工場を置いたパジェロ製造は1995年にその社名となり、パジェロだけでなくデリカD:5やアウトランダーなども生産。全車種の累計生産台数は約396万台に達しました。

坂祝町ではパジェロが「町の特産品」として紹介され、「パジェロの町」と呼ばれるほど地域に浸透していました。

2018年度にはパジェロ製造が町税収入全体の16%、法人税の34%を占めるなど、地域経済を支える存在でもありました。

しかし日本向けパジェロの生産は2019年7月末、海外向けは2021年7月に終了し、坂祝工場も2021年8月31日に閉鎖されました。

そして2026年5月29日、三菱自動車は新型パジェロを2026年秋に世界初公開すると正式発表しました。

国内では7年ぶりとなるパジェロ復活ですが、新型の生産拠点は岐阜・坂祝ではなくタイのMMThです。

新しいパジェロは海外で生まれますが、日本のパジェロ史を語るうえで岐阜県坂祝町を外すことはできません。

かつて一台のSUVが町の特産品となり、雇用や税収、地域の風景まで形づくった――。その歴史を知ってから2026年の新型パジェロを見ると、単なる「復活モデル」とは違った重みが感じられるのではないでしょうか。


よくある質問

三菱パジェロは岐阜県のどこで生産されていた?

岐阜県加茂郡坂祝町にあったパジェロ製造株式会社の工場で生産されていました。パジェロは1982年から同工場で一貫生産され、坂祝町は「パジェロの町」と呼ばれるようになりました。

坂祝町のパジェロ工場は現在も残っている?

自動車工場としての生産活動は終了しています。2021年8月6日に全車種の生産を停止し、同年8月31日に生産活動を終えて工場が閉鎖されました。跡地はその後、別企業が取得しています。

2026年の新型パジェロも岐阜・坂祝で造られる?

いいえ。三菱自動車が2026年5月29日に示した計画では、新型パジェロはタイの生産拠点MMThで生産されます。日本では7年ぶりの復活となりますが、坂祝町でのパジェロ生産が再開するわけではありません。