GT-R50 by Italdesignの基本価格は99万ユーロで、日本円換算では約1億2500万~1億3700万円級。さらに実際の生産台数は極めて少なく、オークションでも1億円台後半が意識される希少車となっています。
日産GT-Rのなかでも、別格といっていい存在が「Nissan GT-R50 by Italdesign」です。
もともとは世界限定50台として販売が計画されたモデルですが、実際のオーダー、生産台数に関する情報では「19台」という数字が伝えられており、2025年にはその希少な個体が海外オークションに登場して再び注目を集めました。
新車時の価格だけを見ると「1億円を超えるGT-R」という強烈な印象があります。しかし中身を詳しく見ると、単にGT-R NISMOへ豪華な外装を加えただけではありません。
イタルデザインによる特殊な製造工程、720psまで高められたVR38DETTエンジン、購入者ごとに選べる内外装など、一般的な量産車とは大きく異なる仕立てが価格の背景にあります。
今回は、日産GT-R50の価格はいくらだったのか、なぜ19台という希少車になったのか、そしてオークションではどのような価値が付いているのかを整理していきます。
日産GT-R50 by Italdesignの価格はいくらだった?
GT-R50 by Italdesignの基本価格として発表された数字は、99万ユーロ(税抜き・オプション別)でした。
2018年12月7日に日産が市販化を発表した当時、1ユーロ126円で単純計算すると約1億2470万円となります。別の資料では日本国内での新車価格として1億3742万円と掲載されており、為替や税、仕様などによって日本円で見た金額には差があります。
重要なのは、いずれにしても新車時点ですでに1億円を大きく超える価格帯だったということです。
ベースとなったのは、R35型GT-Rの高性能モデル「GT-R NISMO」。2021年当時の記事ではGT-R NISMOの価格が2420万円と紹介されていました。
つまりGT-R50は、単純なGT-R NISMOの価格と比べても桁違いです。
ただ、私はここで「GT-Rなのに1億円以上もする」とだけ考えると、このクルマの本質を少し見誤ると感じます。
GT-R50は量産車の上級グレードというより、GT-Rを素材にイタリアのカロッツェリアが少量生産したコーチビルド車に近い存在だからです。
価格を整理すると、おおまかには次のようになります。
項目 価格・内容
GT-R50基本価格 99万ユーロ・税抜き、オプション別
当時の円換算例 約1億2470万~1億2700万円
国内価格掲載例 1億3742万円
ベース車 GT-R NISMO
一部特別オプション 数百万円規模
2025年のオークション関連価格 約1億8000万円級が話題
しかも、購入者はボディカラー、アクセントカラー、インテリアカラーなどを選択できました。
資料によると、「スペシャルカラーリング」「リバリー」「カーボンパック」「可変式リアウイング」などの特別装備も用意され、一部は数百万円という価格設定でした。
別の2025年の記事では、油圧昇降式リアウイングや特別なカラーリング関連オプションについて580万円級という金額も紹介されています。
ですから、実際の購入総額は基本価格だけで決まるものではなく、仕様次第では1億4000万円を超えるような世界だったと考えた方が分かりやすいでしょう。
なぜGT-R50は「19台限定」と呼ばれるほど希少になった?
GT-R50 by Italdesignは、当初から19台限定として企画されたわけではありません。
もともとの計画は世界限定50台です。
GT-Rとイタルデザイン、それぞれの50周年を記念するモデルとして誕生したことから、「50」という数字に大きな意味がありました。
2018年6月にコンセプトカーが公開され、その後2018年12月7日に市販化が正式発表されています。
ところが、その価格は99万ユーロ。日本円で1億円を大きく超えるもので、さらに通常の日産販売店で気軽に注文できるクルマでもありませんでした。
2021年の記事では、専用サイトまたはイタルデザインへ直接コンタクトし、特別な手続きを経て注文する流れだったとされています。
HMRが紹介した情報では、実際にオーダーが入ったのは19台とされています。
さらに同資料では、19台とは別にテストカー2台、広報車2台、プロトタイプ1台が存在するとされています。
一方、2025年にオークション車両を紹介した複数の記事では、「19台のみ生産」「世界に19台」といった表現も使われています。
このため「19台」という数字については、資料によって顧客向けオーダー数を指すのか、存在台数・生産台数を指すのか表現に揺れがある点には注意が必要です。
少なくとも確かなのは、当初予定された50台を大きく下回り、現在では極端に希少なGT-Rになっているということです。
個人的には、ここがGT-R50の市場価値を見るうえで非常に重要だと思います。
限定50台と聞くだけでも十分希少ですが、実際に世の中へ出た台数が20台前後となれば話は変わります。
「限定車」というより、世界のコレクターが個体番号まで意識する美術品に近い領域へ入ってくるからです。
GT-R50はなぜ1億円以上する?720psだけではない特別な作り
GT-R50 by Italdesignが高い理由を、単純に最高出力だけで説明することはできません。
もちろんエンジンも特別です。
ベースとなるGT-R NISMOの3.8リッターV型6気筒ツインターボ「VR38DETT」は600psですが、GT-R50では最高出力720psまで引き上げられています。
FIA-GT3仕様のターボチャージャー、大型インタークーラー、強化クランクシャフト、ピストン、コネクティングロッドなどが採用されました。
GR6型6速デュアルクラッチトランスミッションやドライブシャフト、ディファレンシャルなど駆動系にも強化が加えられています。
足回りには専用セッティングされたビルシュタイン製ダンパーを採用し、資料では21インチホイールとミシュラン・パイロットスーパースポーツの組み合わせも紹介されています。
エンジンは日産・横浜工場で「匠」と呼ばれる熟練工が1基ずつ組み立て、それぞれにGT-R50専用のシリアルナンバーが与えられました。
しかし、価格を決定づけた最大の特徴は製造方法でしょう。
日本で生産されたGT-R NISMOをイタリアのイタルデザインへ送り、そこで車両を分解し、専用ボディへ作り直すという非常に特殊な工程が採られています。
2025年の記事では、イタルデザインで屋根の加工や外板の組み付け、内装の仕立てなどが行われ、延べ約200人の職人が関わったとも紹介されています。
量産ラインで何万台も作るクルマとは、そもそものコスト構造が違います。
ルーフラインはベース車より54mm低くされ、フロントやリアも大幅に専用化。GT-R伝統の丸型テールランプも、リングが宙に浮いているような独特の造形へ変えられました。
GT-R50のデザインについては、イタルデザインだけが担当したわけではない点も興味深いところです。
内外装のデザインは日産デザインヨーロッパと日産デザインアメリカが担当し、イタルデザインがプロトタイプの開発、設計、製造などを担ったとされています。
つまり、日本のGT-R、日産のグローバルデザイン拠点、イタリアの少量生産技術を組み合わせたプロジェクトだったわけです。
私はここまで工程を見ると、1億円という数字は「720psのGT-Rの値段」ではなく、「ほぼ別のクルマを少量生産する費用」と理解した方が腑に落ちます。
19台限定級のGT-R50がオークションに出品、価格はどうなった?
GT-R50の価値を改めて注目させたのが、海外オークションへの出品です。
2025年に報じられた個体は、19台のうち11番目とされるGT-R50でした。
ヤングマシン系の記事ではドイツのコレクターが所有していた車両として紹介され、走行距離は119マイル、約191km。ほとんど走っていない新車同然のコンディションでした。
ボディカラーはイタルデザインの特別色「リキッドシルバー」。
温度管理された施設で保管されていたとされ、油圧式の可変リアウイングなども装着された非常に魅力的な仕様です。
そして注目された数字が1億8000万円です。
2025年6月の記事ではオークションに関連して1億8000万円級の金額が取り上げられています。ただし資料中には「最高落札予想価格」とする記述もあり、実際の成約額として断定するには注意が必要です。
さらに2025年8月28日には、英国のオンラインオークション「Collecting Cars」にGT-R50が出品されたことも報じられました。
こちらも19台中11番目とされる2021年式で、走行距離は約193km。未登録のままスイスの施設で保管されていたと紹介されています。
当時のメーカー希望小売価格は105万ユーロ、記事中の換算で約1億3700万円とされ、それを上回る金額での取引が期待されていました。
ただし、このオークションについては最終落札価格が非公開と報じられています。
そのため、「GT-R50が現在必ず1億8000万円で売れる」と考えるのは早計です。
希少車のオークション価格は、車両番号、走行距離、仕様、履歴、保管状態、付属品、その時点で参加している買い手によって大きく変わります。
それでも、新車価格1億円超のクルマが数年後にも同等以上の価格帯で注目されていること自体、GT-R50の特殊性をよく表しています。
日産GT-R50の価値は今後さらに上がるのか?
ここからは私見です。
私はGT-R50 by Italdesignについて、通常のR35 GT-Rとは少し違う値動きをする可能性があると考えています。
理由のひとつは、単純な性能競争から離れた場所に価値があるからです。
720psという数字はもちろん強烈ですが、今後さらに高性能なEVやハイブリッドスーパーカーが登場すれば、最高出力だけならGT-R50を上回るモデルは珍しくなくなるでしょう。
しかし、GT-Rとイタルデザイン双方の50周年を記念して作られたという歴史は、あとから増やすことができません。
しかも当初50台の予定に対して、結果的には19台という数字が繰り返し語られるほど少数にとどまりました。
さらに、VR38DETTを搭載するR35型GT-Rをベースとしながら、イタリアで大規模に作り直されたモデルという成り立ちも再現しにくいものです。
これは中古車の価値を考えるときに大きなポイントになります。
普通の中古車であれば、年式が古くなり、走行距離が増えれば価格は下がる方向が基本です。
一方、こうした超少量生産車では「何年式か」よりも、その個体が歴史上どれほど重要で、代わりが存在するかが価格を左右します。
19台前後しかないとされるGT-R50では、1台が市場へ出てくるだけでもニュースになります。
つまり市場価格を決める比較対象そのものがほとんどありません。
ここが一般的なGT-R中古車と大きく違うところです。
例えば新車価格1500万円の量産スポーツカーなら、数十台、数百台の中古車価格を比較して相場を作れます。
しかしGT-R50では、同じ仕様、同じ走行距離、同じ状態の車両を横並びで比較することが事実上困難です。
そのため今後の価格は、「GT-R50の平均中古相場」というより、個体ごとのオークション評価額がその都度相場を作る形になりそうです。
私はここに、このクルマならではの面白さを感じます。
コスパ重視で見るとGT-R50は「高すぎる車」なのか?
普段、私は高級感よりもお得感を重視してクルマを見ることが多いので、1億円超のGT-R50は本来なら完全に守備範囲外です。
それでも、この車については単純に「高すぎる」で片付けるのは少し違うと思います。
もちろん、移動手段や走行性能を金額で割って考えれば、コストパフォーマンスを語るようなモデルではありません。
GT-R NISMOでも圧倒的な性能を味わえるため、「720psを得るために1億円払う」と考えれば現実的ではないでしょう。
しかしGT-R50を購入した人が支払ったのは、馬力だけではありません。
少量生産、専用デザイン、イタルデザインによる製作、オーナーごとの仕様選択、50周年というストーリー、そして世界にほとんど存在しないという希少性まで含めた価格です。
さらに中古市場で新車価格を上回る水準が意識されているのであれば、一般的な高級車のように「買った瞬間から大きく値下がりする」という評価軸だけでも測れません。
もちろん、将来値上がりすることが保証されているわけではなく、投資目的で安易に考えるべきクルマでもありません。
修理や保管にも一般的なGT-Rとは違う負担が考えられます。
リキッドシルバーのような特殊塗装は補修のハードルが高いと紹介されており、専用ボディ部品も普通の量産車のように簡単に交換できるとは考えにくいでしょう。
だからこそ私なら、GT-R50は「高級なGT-R」ではなく、走ることのできるコレクターズアイテムとして見るのが最も分かりやすいと思います。
GT-R50 by Italdesignの価格とオークションを振り返る
GT-R50 by Italdesignは、2018年に日産とイタルデザインの節目を記念して誕生し、世界限定50台として販売が計画されました。
基本価格は99万ユーロ。日本円では当時約1億2500万~1億2700万円級で、国内データには新車価格1億3742万円という数字も掲載されています。
ベースとなったGT-R NISMOのVR38DETTは600psから720psへ強化され、専用ボディや低いルーフ、専用足回り、豪華な内装などを採用。さらに日本で作られたGT-Rをイタリアへ運び、イタルデザインで大規模に作り直す特殊な製造方法が採られました。
そして最大の注目点は、当初50台が計画されながら、実際には「19台」という極めて少ない数字が伝えられていることです。
2025年には11番目とされる走行約190kmの個体が海外オークションへ登場し、1億8000万円級の評価が話題になりました。一方、Collecting Carsでの最終落札額は非公開とされているため、現在の実勢価格を一律に断定することはできません。
それでもGT-R50は、単に「昔1億円以上したGT-R」ではありません。
R35 GT-Rの歴史、日産とイタルデザインの50周年、720psの性能、極端に少ない生産数がひとつになった特別なモデルです。
今後オークションへ別の個体が登場すれば、走行距離や仕様だけでなく、「何番目の車両なのか」「どのような履歴を持っているのか」まで含めて価格が注目されるでしょう。
数多く作られた名車が年月を経て希少車になるケースはありますが、GT-R50は生まれた時点ですでに希少でした。
そこにR35 GT-Rそのものの歴史的評価が重なっていくことを考えると、今後も世界のコレクター市場で存在感を保つ可能性は十分にあると私は考えています。
よくある質問
GT-R50 by Italdesignの新車価格はいくらですか?
基本価格は99万ユーロ(税抜き・オプション別)として発表されました。当時の為替換算では約1億2500万~1億2700万円級で、日本の車両データでは新車価格1億3742万円という掲載例もあります。
GT-R50は本当に19台しかないのですか?
当初の販売計画は世界限定50台でしたが、資料では実際のオーダーが19台だったとされています。一方、2025年のオークション関連記事では「世界に19台」「生産19台」とも表現されており、テストカーや広報車、プロトタイプをどこまで含めるかによって情報の整理に注意が必要です。
GT-R50のオークション価格はいくらですか?
2025年には19台中11番目とされる個体が出品され、1億8000万円級の金額が注目されました。ただし記事によっては予想価格として扱われており、別のCollecting Carsでのオークションでは最終落札額が非公開と報じられています。そのため、1億8000万円を固定的な中古相場と考えるのは適切ではありません。
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