日産エルグランド新型のe-POWER・ハイブリッド・ガソリンを比較

新型Lサイズミニバンとe-POWER・ハイブリッド・ガソリンの仕組みを比較するイメージ

日産エルグランド新型は第3世代e-POWER専用車で、一般的なハイブリッド車やガソリン車は設定されていません。

新型エルグランドのパワートレインを比較すると、選べるのは直列3気筒1.5Lターボエンジンで発電し、モーターで走るe-POWERのみです。

つまり「e-POWER、ハイブリッド、ガソリンのどれを選ぶか」ではなく、e-POWERが一般的なハイブリッドやガソリン車とどう違うのかを理解することが、新型エルグランド選びのポイントになります。

日産エルグランド新型はe-POWERのみ?ガソリン車はある?

日産が2026年7月16日に発表した新型エルグランドは、全車が第3世代e-POWERと電動4WDシステム「e-4ORCE」を搭載しています。

グレードは、基本モデルの「e-POWER X e-4ORCE」と上級モデルの「e-POWER G e-4ORCE」が中心です。価格はXが689万7000円、Gが757万9000円となっています。

従来のような純粋なガソリンエンジン車や、前輪だけを駆動する2WD車は用意されていません。

新型エルグランドのパワートレイン構成を整理すると、次のようになります。

パワートレイン 新型エルグランドの設定 主な特徴
第3世代e-POWER あり エンジンで発電し、モーターで走行
一般的なハイブリッド なし エンジンとモーターの両方でタイヤを駆動
ガソリン車 なし エンジンの力を直接タイヤへ伝える
2WD なし 新型はe-4ORCEによる4WDが基本

新型エルグランドについて「ハイブリッドはあるのか」と検索する人も多いと思いますが、広い意味ではe-POWERもハイブリッドシステムの一種です。

ただし、トヨタのアルファードなどが採用する一般的なハイブリッドとは、エンジンの使い方が異なります。

新型エルグランドは、ガソリンエンジンを搭載していても、基本的にエンジンの力で直接走る車ではありません。この点が最も大きな違いです。


新型エルグランドの第3世代e-POWERとは?

e-POWERは、ガソリンエンジンを主に発電機として使い、発電した電気によってモーターを動かす仕組みです。

ドライバーがアクセルを踏んだとき、タイヤを動かす主役はモーターになります。電気自動車に近い滑らかな加速感を得ながら、充電設備を使わずにガソリンを給油して走れるのが特徴です。

新型エルグランドには、進化した第3世代e-POWERが採用されました。

発電用エンジンは直列3気筒1.5Lターボで、前後のモーターを緻密に制御するe-4ORCEと組み合わされます。

公開されている試乗評価では、最大トルクは500Nmを上回るとされ、アクセルを踏み増した際に駆動力が素早く立ち上がる点が高く評価されています。

ノーマルガソリンエンジンに置き換えれば、4.5Lエンジン級を思わせる力強さと表現されるほどです。

もちろん、単純に排気量だけで性能を比較できるわけではありません。しかし、大人数を乗せたり、高速道路の合流や坂道を走ったりする場面では、モーターならではの太いトルクが扱いやすさにつながると考えられます。

日産は新型エルグランドについて、静かでありながら力強く、長距離を走っても疲れにくい走行体験を目指したと説明しています。

第3世代e-POWERだけでなく、e-4ORCEとIDSこと「インテリジェントダイナミックサスペンション」を組み合わせている点も重要です。

パワートレインだけを豪華にしたのではなく、加速、旋回、乗り心地まで一体で作り込んだところに、新型エルグランドの狙いが見えます。


e-POWERと一般的なハイブリッドは何が違う?

一般的なハイブリッド車は、走行状況に応じてエンジンとモーターの両方を使います。

低速ではモーター、高速走行ではエンジンを中心に使うなど、それぞれの得意な領域を使い分ける仕組みです。エンジンの力が直接タイヤに伝わる場面もあります。

一方、日産のe-POWERは、走行用モーターがタイヤを駆動し、エンジンは主に発電を担当します。

この違いによって、アクセル操作に対する反応や加速感にも差が生まれます。

  • e-POWER:モーター駆動らしい滑らかさと素早い反応が特徴
  • 一般的なハイブリッド:エンジンとモーターを効率よく使い分けやすい
  • ガソリン車:仕組みが比較的シンプルで、車両価格を抑えやすい傾向

新型エルグランドと競合するトヨタ・アルファードには、エンジンとモーターを組み合わせたハイブリッド車があります。

比較対象となるアルファード「ハイブリッドZ E-Four」のWLTCモード燃費は17.4~18.0km/Lで、新型エルグランドの16.8km/Lを上回ります。

燃費だけを見れば、アルファードのハイブリッドが有利です。

ただし、新型エルグランドはモーター駆動による加速力や、e-4ORCEによる前後駆動力制御、可変式ショックアブソーバーを含めた走行性能に重点を置いています。

このため、同じ「電気を使って走るミニバン」でも、目指している方向は少し異なります。

アルファードのハイブリッドが燃費、快適性、豪華さをバランスよくまとめた王道型だとすれば、新型エルグランドのe-POWERは、大柄なミニバンでも運転を楽しめることを重視した電動車といえるでしょう。


日産エルグランド新型にガソリン車がない理由は?

日産は新型エルグランドにガソリン車を設定した理由を、今回の素材の中で直接説明しているわけではありません。

ただし、車両の構成や日産が掲げる商品コンセプトから見ると、走りと静粛性を明確に差別化するために、e-POWERへ一本化したと考えられます。

新型エルグランドが目指しているのは、単に大人数が乗れる大型ミニバンではありません。

日産は「The private MAGLEV」という表現を使い、リニアモーターカーのように静かで力強い、新しい移動体験を打ち出しています。

このコンセプトを実現するには、エンジン回転の変化が走行感覚に直接表れやすいガソリン車より、モーターで滑らかに駆動するe-POWERのほうが適しています。

さらに、前後のモーターを独立して制御するe-4ORCEを全車に組み合わせれば、加速時や減速時、カーブを曲がる場面でも車体の姿勢を整えやすくなります。

家族を乗せるミニバンでは、単純な速さよりも、乗員が不快に感じにくい滑らかな動きが大切です。

この意味で、e-POWERとe-4ORCEへの統一は、新型エルグランドの商品性を分かりやすくする選択だったといえます。

一方で、ガソリン車を用意しないことには弱点もあります。

装備を簡素化した低価格グレードを作りにくくなり、エントリー価格が689万7000円まで上昇しました。

ガソリン車があれば、燃費や加速力ではe-POWERに及ばなくても、購入価格を抑えたグレードを設定できた可能性があります。

コスパを重視する私としては、ここは少し悩ましい部分です。

新型エルグランドの走りを最大限に生かすにはe-POWERが適していますが、「近所への送迎が中心なので、それほど高性能でなくてもよい」という家庭にとっては、選択肢が狭い構成でもあります。


e-POWER・ハイブリッド・ガソリンは結局どれが得?

パワートレイン単体で「どれが一番得か」を決めることはできません。

車両価格、燃費、年間走行距離、乗車人数、走る道路、保有年数によって、最適な選択は変わるからです。

新型エルグランドを検討する場合は、ガソリン車や別方式のハイブリッドをグレード内で選べません。そのため、次のように考えると整理しやすくなります。

走りの滑らかさや力強さを重視するなら、新型エルグランドのe-POWERが有力です。

モーター駆動による反応の良さに加え、e-4ORCEとインテリジェントダイナミックサスペンションを全車に採用しているため、運転する人にとっての満足感が期待できます。

燃費を最優先するなら、他社のハイブリッド車も比較すべきです。

新型エルグランドのWLTCモード燃費は16.8km/Lです。大型ミニバンとして極端に悪い数値ではありませんが、アルファード「ハイブリッドZ E-Four」の17.4~18.0km/Lには届きません。

購入価格を抑えたいなら、新型エルグランドは慎重に判断する必要があります。

新型エルグランドには低価格なガソリン車や2WDがなく、Xでも689万7000円からです。

しかもXでは、インフォテインメントシステム、ETC2.0、後席専用モニターなどがセットで24万9700円、100V・1500W電源コンセントが9万9800円のオプションとなっています。

これらを追加すると、支払総額はさらに上がります。

Gは757万9000円ですが、Xとの価格差は68万2000円です。インフォテインメントシステムや後席専用モニター、電源コンセントなどを必要とするなら、装備内容を含めてGを選ぶほうが合理的な場合もあります。

車両本体価格だけで比べるのではなく、実際に必要な装備を加えた総額で考えることが大切です。

なお、メーカー希望小売価格は参考価格であり、税金、自賠責保険、登録諸費用、オプション、付属品などは別途必要です。最新の価格や販売条件は日産販売店で確認してください。


新型エルグランドのe-POWERをどう評価する?

私見では、新型エルグランドのe-POWERは、燃費だけで元を取るための装備ではありません。

この車の価値は、モーターによる力強い加速、e-4ORCEによる安定性、可変式サスペンションによる乗り心地を一つのパッケージとして味わえる点にあります。

従来の大型ミニバンは、後席の豪華さや室内の広さが優先され、運転する人の楽しさは二の次になりがちでした。

新型エルグランドは、その常識を少し変えようとしているように感じます。

公開された試乗評価では、カーブでも4輪の接地感を保ちやすく、高速道路で横風を受けた際も挙動を乱しにくいとされています。

ドライブモードで「コンフォート」を選ぶとショックアブソーバーの減衰力が下がり、乗り心地を高められる点も特徴です。

つまり、新型エルグランドはスポーティーなだけではありません。

運転する人には安定感を、後席の家族には静かさと快適性を提供することが、第3世代e-POWERを採用した本当の狙いだと考えられます。

一方、価格と燃費を冷静に見ると、誰にでも勧められる車ではありません。

新型エルグランドXは、アルファード「ハイブリッドZ E-Four」の657万円より32万7000円高く、装備差まで含めれば割高感はさらに広がります。

2列目シートの豪華さについても、アルファードは固定式アームレストを備えたエグゼクティブパワーシートを採用する一方、エルグランドXは比較的シンプルなセパレートシートです。

燃費や後席の豪華さ、リセールバリューを最優先するなら、アルファードを含めた比較は欠かせません。

それでも、SUVやセダンから乗り換える人が「ミニバンにすると運転が退屈になりそう」と感じているなら、新型エルグランドは魅力的な選択肢になります。

個人的には、新型エルグランドの価値は「高級ミニバンだから高い」のではなく、大人数で移動できる実用性と、運転する楽しさを両立させたことにあると考えています。

年間走行距離が長く、高速道路を使った家族旅行が多い家庭ほど、e-POWERの静かさやe-4ORCEの安定感を実感しやすいでしょう。

反対に、年間走行距離が少なく、街中の送迎が中心で、購入価格を最優先したい人には、より安価なガソリンミニバンや2WDハイブリッドのほうが家計に合う可能性があります。

新型エルグランドは、単純な燃料代の安さだけで選ぶ車ではありません。

試乗する際は、加速の強さだけでなく、低速での滑らかさ、後席の揺れ、高速道路を想定した安定感、エンジンが発電を始めたときの音まで確認したいところです。


まとめ

日産エルグランド新型は、第3世代e-POWERとe-4ORCEを全車に搭載し、一般的なハイブリッド車やガソリン車を設定していません。

e-POWERはガソリンエンジンで発電し、モーターでタイヤを駆動する仕組みです。一般的なハイブリッドのように、エンジンの力を直接走行に使う方式とは異なります。

WLTCモード燃費は16.8km/Lで、アルファードのハイブリッドより数値上は低いものの、力強い加速や走行安定性では新型エルグランドならではの魅力があります。

ただし、価格はXが689万7000円、Gが757万9000円と高額です。ガソリン車や2WDの低価格グレードがないため、安さを優先する人には選びにくい構成でもあります。

新型エルグランドを選ぶ際は、e-POWERを燃費装備としてだけ見るのではなく、静粛性、加速、乗り心地、長距離での安心感まで含めて判断することが大切です。


よくある質問

日産エルグランド新型にガソリン車はありますか?

ありません。新型エルグランドは全車が第3世代e-POWERとe-4ORCEを搭載し、純粋なガソリン車や2WD車は設定されていません。

新型エルグランドのe-POWERはハイブリッドですか?

広い分類ではハイブリッド車です。ただし、一般的なハイブリッドとは異なり、ガソリンエンジンを主に発電へ使い、走行はモーターが担当します。

新型エルグランドの燃費はどのくらいですか?

WLTCモード燃費は16.8km/Lです。実際の燃費は渋滞、気温、乗車人数、エアコンの使用、運転方法などによって変わります。