次期日産GT-Rへのエンジン搭載は未決定ですが、R35開発に深く関わった田村宏志氏は、将来型にも「エンジン音の一部」を残してほしいとの希望を明かしています。
2025年8月26日にR35型GT-Rの生産が終了した一方、日産はGT-Rという名前を将来復活させる意思を示しています。現時点ではEV、ハイブリッド、エンジン車のどれになるか正式発表されておらず、田村氏の発言はあくまで個人的な希望として受け止める必要があります。
次期日産GT-Rにエンジン搭載はある?田村宏志氏が語った希望
次期日産GT-Rについて大きな注目点となっているのが、内燃機関、つまりガソリンエンジンが残るのかという部分です。
R35型GT-Rの開発に初期段階から関わり、「GT-Rのゴッドファーザー」「ミスターGT-R」とも呼ばれてきた田村宏志氏は、次期型について個人的にはエンジンを残してほしいという考えを示しています。
特に印象的なのが、将来のGT-Rについて「少なくともエンジン音の一部は残してもらいたい」という趣旨の発言です。
ただし、ここは非常に重要です。
田村氏自身も、これは日産という会社の方針や次期GT-Rの商品計画を示す発言ではなく、あくまで個人的な好みだと明確にしています。
したがって、「次期GT-Rはエンジン搭載で決定した」と受け取るのは早計です。
現段階で言えるのは、
- 次期GT-Rのパワートレインは正式発表されていない
- EVになる可能性も取り沙汰されている
- ハイブリッド化の可能性も考えられる
- 田村宏志氏は個人的にエンジンの存在を希望している
というところまでです。
私が注目したいのは、単に「ガソリンエンジンを残したい」という話ではなく、田村氏がエンジン音という感覚的な部分まで含めてGT-Rらしさを考えていることです。
GT-Rは数字だけで価値を語るクルマではありません。加速した瞬間の音や振動、変速時の感覚まで含めてドライバーに高揚感を与えることが、歴代GT-Rの魅力の一部だったと考えられます。
R35型GT-Rは2025年8月26日に生産終了、約4万8000台を生産
次期GT-Rを考えるうえで、まず現在の状況を整理しておきましょう。
最後のR35型日産GT-Rは、2025年8月26日に生産ラインを離れました。
R35は約18年間にわたって生産され、累計生産台数は約4万8000台とされています。
最後に生産された1台は日本の顧客向けで、ボディカラーはミッドナイトパープル。グレードはプレミアムエディションT-Specでした。
18年間という期間は、一般的な乗用車のモデルサイクルと比べてもかなり長いものです。
それでもR35は単に同じクルマを長期間販売していたわけではなく、改良を繰り返しながら性能や完成度を高めてきました。
田村氏はR35の初期コンセプトが進められていた2001年ごろから開発に携わり、ニュルブルクリンクには100回以上訪れ、延べ約500日滞在したと振り返っています。
それだけ時間をかけて性能を磨いてきたからこそ、田村氏が次期型にも「走る楽しさ」を求めるのは自然な流れなのでしょう。
一方で、18年間続いたR35が終了した以上、次期GT-Rは単純な延長線上では成立しにくいとも感じます。
排出ガス規制や電動化などクルマを取り巻く環境が大きく変化しているからです。
つまり次期GT-Rでは、R35のような価値観を守りつつ、新しい時代に合わせてどう再構築するかが最大のテーマになりそうです。
日産はGT-R復活を目標にすると表明、消滅ではない
R35の生産終了を聞いて、「これでGT-Rそのものが終わったのでは」と感じた人もいるかもしれません。
しかし、日産側はGT-Rの将来的な復活について前向きな考えを示しています。
R35生産終了時の式典では、日産CEOのイヴァン・エスピノーザ氏が、世界のGT-Rファンに向けて、今回がGT-Rとの永遠の別れではなく、いつかGT-Rという名前を復活させることが目標だという趣旨を語りました。
この発言はかなり重要です。
少なくとも日産自身が、GT-Rというブランドを完全に終了させる前提ではないことが分かるからです。
田村氏も、ケンメリGT-RからR32 GT-Rまでには16年間の空白期間があったことに触れ、「日産は決してGT-Rを諦めなかった」という趣旨の発言をしています。
実際、1973年のKPGC110型、いわゆるケンメリGT-Rを最後にGT-Rはいったん途絶え、その後1989年のR32型で復活しました。
この歴史を考えると、「R35の生産が終わった=GT-Rという車名も終わり」と考える必要はなさそうです。
むしろ気になるのは、次にGT-Rという名前を使うなら、日産がどこまでGT-Rらしい性能とキャラクターを作り込めるのかでしょう。
名前だけを残すのではなく、誰が乗っても「これはGT-Rだ」と感じられるものにできるかが重要です。
R32 GT-Rの16年ぶり復活から見える「GT-Rらしさ」とは?
次期GT-Rを考えるうえで参考になるのが、R32型スカイラインGT-Rの誕生です。
2026年8月9日には、R32スカイラインの開発責任者だった伊藤修令氏による書籍『R32スカイラインGT-Rの開発』が、グランプリ出版から品切れ再版されたことも報じられました。
R32スカイラインが登場したのは1989年です。
当時、スカイラインは世代を重ねるにつれて大型化、高級化しており、1980年代には販売台数も頭打ちになっていました。
ユーザーからは「スカイラインの原点に戻ってほしい」という声も寄せられていたといいます。
伊藤氏がスカイラインの開発主管に就任したのは1984年末。当時は7代目R31スカイラインが運輸省へ届け出る直前の最終段階でした。
その後、R32の開発主管も担当することになった伊藤氏は、市場動向やユーザーの声を調べるプロダクトマーケティング活動を行い、その結果を新型車の企画へ反映させました。
そこで掲げられた大きなテーマが「走りの復活」だったわけです。
R32では新しい技術を積極的に投入し、さらにGT-Rが16年ぶりに復活。レース活動でも活躍し、現在まで語り継がれる存在になりました。
伊藤氏は1989年5月に誕生したR32について、現在でも「なぜこのような魅力的なクルマができたのか」「GT-Rをどう復活させたのか」と聞かれることが多いと振り返っています。
私は、このR32の歴史は次期GT-Rを考えるうえで非常に示唆的だと思います。
重要なのは、昔と同じメカニズムをそのまま復活させることではありません。
R32も過去のGT-Rをコピーしたのではなく、その時代の技術を使って「GT-Rらしい走り」を再構築したクルマでした。
ならば次期型も、必ずしもR35と同じV6ツインターボである必要はないでしょう。
エンジン、モーター、バッテリーなどを組み合わせながら、現代の技術でGT-Rらしい速さと運転する楽しさを作り直すことのほうが重要だと私は考えます。
R35開発責任者たちは「昔のGT-R」をそのまま守ったわけではない
次期GT-Rについてエンジンの有無だけが注目されがちですが、R35自体も歴代GT-Rの常識を大きく変えたモデルでした。
従来のGT-Rは直列6気筒エンジンを搭載していましたが、R35ではV6エンジンが採用されました。
田村氏は、エンジンをフロントアクスルより後方へ配置しやすくすることで、重量バランスを改善できることをV6採用の理由として挙げています。
さらにR35では2ペダル化も大きな転換でした。
田村氏によると、2003年ごろにはイタリアのスーパースポーツカーでオートマチック系トランスミッションが使われ、そのオーナーから高い満足度が得られているという情報が入るようになり、時代の流れを感じ取ったといいます。
つまりR35は、「GT-Rだから直6」「GT-Rだから従来型の操作系」という固定観念を守ったクルマではありませんでした。
GT-Rの本質を守るために、むしろ技術は大胆に変えています。
なお、R35プロジェクトの総責任者として知られる水野和敏氏も、2003年からGT-Rプロジェクトを率い、企画・開発だけでなく生産、営業、品質、収益、新しい販売網の構築まで幅広く統括しました。
水野氏は1998年にはV6フロントミッドシップのFMパッケージを提案・開発し、V35スカイラインやZ33フェアレディZなどの開発にも関わっています。
R35がそれまでのスカイラインGT-Rとは別の独立した「NISSAN GT-R」になった背景にも、こうした従来の常識に縛られない開発思想があったと考えられます。
ここから次期型を考えると、「エンジンがあるか、ないか」だけでGT-Rらしさを判断するのは少し早いでしょう。
GT-Rはむしろ、時代ごとの最新技術を使いながら速さの基準を作ってきたクルマだからです。
次期GT-RはEV、ハイブリッド、それともエンジン車になる?
現時点では、次期日産GT-Rのパワートレインについて正式な仕様は発表されていません。
そのため、EVになる、ハイブリッドになる、エンジンを残すといった話はいずれも確定情報として扱うべきではありません。
ただし、田村氏が「エンジン音の一部を残してほしい」と話している点から考えると、エンジンと電動技術を組み合わせる形は、GT-Rらしさと現代的な性能を両立しやすい選択肢の一つに見えます。
たとえばモーターは、アクセルを踏んだ直後から大きなトルクを発生させやすいという特徴があります。
一方、エンジンには回転数の上昇とともに音や振動が変わり、速度感や操作感をドライバーへ伝えやすい魅力があります。
この2つをうまく組み合わせれば、「電動化=GT-Rらしさを失う」とは限りません。
むしろGT-Rが得意としてきた四輪駆動制御と電動モーターは相性が良い可能性もあります。
ただし、これは現時点で公表された次期GT-Rの仕様ではなく、あくまで技術的な可能性から考えた私見です。
個人的には、完全EVか純粋なエンジン車かという二択で考えるより、GT-Rが求める性能を実現するために何を使うのかという順番で考えたほうが、このクルマには合っている気がします。
歴代GT-Rは技術を守るためのクルマではなく、その時代の技術を使って「速さ」を更新してきた存在だからです。
次期GT-Rで本当に重要なのはエンジンの有無だけではない
ここからは私見になります。
私が次期GT-Rで最も重要だと考えるのは、「ガソリンエンジンを積んでいるか」そのものではありません。
運転した瞬間にGT-Rだと感じられるかどうかです。
R32は「走りの復活」を掲げ、16年間途絶えていたGT-Rを新しい技術で復活させました。
R35も直列6気筒という伝統を離れ、V6エンジンや新しい駆動レイアウト、2ペダル化などを採用しながらGT-Rの価値を作り直しました。
この2つに共通するのは、過去をそのままコピーしていない点です。
次期GT-Rも同じだと思います。
もしエンジンを残したほうがGT-Rらしいドライビングプレジャーを実現できるなら、電動技術と組み合わせながら残す価値は十分あるでしょう。
逆に、完全EVでも従来以上の応答性、四輪制御、長時間走行での安定した性能、ドライバーとの一体感まで実現できるなら、それも新しいGT-Rの姿になり得ます。
田村氏が語った「エンジン音を一部でも残したい」という希望は、単なる懐古趣味ではなく、クルマを運転する際の感情的な価値を失ってほしくないというメッセージにも見えます。
これは次世代スポーツカーを考えるうえで意外に重要です。
最高出力や0-100km/h加速の数字だけなら、電動化によって非常に高い水準を目指せます。
しかしスポーツカーは家電製品のようにスペック表だけで選ぶ商品ではありません。
アクセルを踏んだときにどんな音が聞こえ、ステアリングを切ったときにどんな反応が返り、ブレーキを踏んだときに車体がどう動くのか。
そうした感覚を含めて「また運転したい」と思わせることが、スポーツカーの商品価値につながります。
田村氏が「真のドライビングプレジャー」を重視するのも、この部分なのでしょう。
日産GT-Rの復活時期は焦らず見たほうがいい
もう一つ注意したいのが、復活時期です。
田村氏はR35生産終了時、「いましばらく待ってほしい」という趣旨の発言をしています。また、日産側もGT-Rの名前を将来復活させることを目標として示しています。
ただし、これを「すぐに次期GT-Rが発売される」という意味にまで広げて受け取るべきではありません。
具体的な発売日、価格、搭載エンジン、モーター構成、最高出力などは、今回の元情報では正式に示されていません。
R32 GT-Rの例を見ても、GT-Rには16年間の空白期間がありました。
もちろん今回も16年待つという意味ではありませんが、GT-Rのような象徴的なスポーツカーなら、中途半端な状態で急いで発売するより、日産自身が納得できる技術がそろった段階で出してほしいところです。
特にGT-Rは、単なる高性能車ではなく日産の技術イメージそのものにも影響する存在です。
次期型を成功させるには、「GT-Rという名前を復活させること」よりも、GT-Rという名前を付けるに値するクルマを作ることのほうが大切だと私は思います。
まとめ:次期日産GT-Rのエンジン搭載は未定、ただし「音」を残したい思いはある
次期日産GT-Rにエンジンが搭載されるかどうかは、現時点では正式に決まった情報として公表されていません。
一方、R35の開発に初期から携わった田村宏志氏は、個人的な希望として、将来のGT-Rにも少なくともエンジン音の一部を残してほしいという考えを示しています。
R35型GT-Rは2025年8月26日に最後の1台が生産され、約18年間、約4万8000台という歴史に幕を下ろしました。しかし日産CEOのイヴァン・エスピノーザ氏は、GT-Rの名前を将来復活させることが目標だと表明しています。
そしてGT-Rには、ケンメリからR32まで16年間途絶えながら、1989年に「走りの復活」を掲げて戻ってきた歴史があります。
R32もR35も、昔の技術をそのまま守ったから名車になったわけではありません。その時代に使える技術を大胆に採用しながら、GT-Rらしい速さと運転する楽しさを作り直してきました。
だからこそ次期GT-Rについても、「エンジンがあるからGT-R」「EVならGT-Rではない」と単純に決めつける必要はないでしょう。
筆者としては、田村氏が語ったエンジン音への思いを何らかの形で受け継ぎつつ、電動化の強みも使った新しいGT-Rを期待したいところです。
重要なのは動力源の種類ではなく、アクセルを踏んだ瞬間に「これが次のGT-Rだ」と納得できる体験を作れるかどうか。そこに次期型の成否がかかっていると考えます。
よくある質問
次期日産GT-Rはエンジンを搭載しますか?
現時点では正式発表されていません。R35開発に深く関わった田村宏志氏は、個人的には将来のGT-Rにも「エンジン音の一部」を残してほしいという希望を語っていますが、日産の正式な商品計画を示した発言ではありません。
R35型GT-Rはいつ生産終了しましたか?
最後のR35型GT-Rは2025年8月26日に生産ラインを離れました。約18年間にわたって生産され、累計生産台数は約4万8000台とされています。
日産GT-Rは今後復活しますか?
日産CEOのイヴァン・エスピノーザ氏は、R35生産終了時にGT-Rとの永遠の別れではなく、将来GT-Rという名前を復活させることが目標だという趣旨を語っています。ただし、次期型の発売時期やパワートレインなどの具体的な仕様は今回の情報では公表されていません。
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