BYDの売れ行きは日本でも伸びており、2025年の乗用車販売は3,742台、前年比68%増となりました。
「BYDは日本では売れていないのでは?」という印象を持つ人もいるかもしれません。
しかしBYD Auto Japanが2026年1月14日に発表した2025年の国内新車販売実績を見ると、少なくとも販売台数そのものは3年連続で増加しています。
2025年1月から12月までのBYD乗用車の国内登録台数は3,742台で、前年比68%増。2025年4月に発売されたSUV「BYD SEALION 7」が販売を大きく牽引しました。
さらに2026年は軽EV「BYD RACCO」を含む新型車の投入を予定しており、BYDは日本市場で販売攻勢を一段と強める方針です。
では、BYDの売れ行きは本当に好調と言えるのでしょうか。数字だけでなく、日本市場での立ち位置やテスラとの違い、さらに「BYD D9はアルファードのライバルになるのか」という点まで整理していきます。
byd売れ行きはどうなった?2025年は3,742台で前年比68%増
結論から言えば、2025年のBYDの売れ行きは前年を大きく上回りました。
BYD Auto Japan株式会社は2026年1月9日、千葉・幕張メッセで開催された東京オートサロン2026のプレスカンファレンスで、2025年の国内販売実績を発表しています。
日本自動車輸入組合(JAIA)調べによるBYD乗用車の国内登録台数は、2025年1月から12月までで3,742台でした。
過去の数字と並べると、成長の流れが分かりやすくなります。
年 国内販売・登録台数 前年からの動き
2023年 1,446台 日本で本格販売開始
2024年 2,223台 増加
2025年 3,742台 前年比+68%
2023年の1,446台から2025年の3,742台まで、2年間で2倍以上に拡大した計算です。
日本全体の新車市場から見れば、BYDが巨大なシェアを握ったと言える規模ではありません。ただし「BYDは日本でまったく売れていない」と一言で片付けるには、販売の伸びが明確になってきました。
特に注目したいのが、単年だけの一時的な増加ではなく、BYD側が3年連続の成長と説明している点です。
日本では輸入車ブランドの販売網や認知度を一朝一夕で広げることは難しいため、この伸び方には意味があります。
筆者としては、BYDを見るときは「トヨタやホンダと何台差があるか」だけで判断するより、新規参入ブランドがどのペースで顧客を増やしているかを見るほうが実態をつかみやすいと考えます。
BYDの売れ行きを伸ばしたのはSEALION 7
2025年のBYDの販売拡大を語るうえで欠かせないのが、BYD SEALION 7です。
BYD Auto Japanによると、2025年4月に発売されたSEALION 7が、その年の販売を大きく牽引しました。
日本でのBYDは当初、SUVの「ATTO 3」、コンパクトEVの「DOLPHIN」、セダンの「SEAL」などを順番に導入してきました。
そこにSEALION 7が加わったことで、SUVを求めるユーザーに対して選択肢を広げた格好です。
日本の新車市場ではSUV人気が高く、EVであってもボディタイプの選びやすさは重要です。EVだから買うというより、「SUVとして欲しいクルマがたまたまEVだった」という選ばれ方が増えれば、販売台数は伸びやすくなります。
私はここがBYDの今後を考えるうえで重要なポイントだと思います。
EV専門色の強いブランドは、どうしても「電気自動車に詳しい人向け」という印象を持たれがちです。
しかしSUV、コンパクトカー、セダン、軽自動車に近いモデルまで車種が増えてくれば、ユーザーは電動方式より先に車格や価格、使い勝手で比較できるようになります。
つまり2025年の3,742台という数字は、単に広告を増やした結果だけではなく、商品ラインアップが日本の一般ユーザーに少しずつ近づいていることを示していると考えられます。
2026年のBYD売れ行きはどうなる?RACCOなど新型車を続々投入
BYDは2026年を、電気自動車とプラグインハイブリッド車を軸にした「新エネルギー車元年」と位置づけています。
BYD Auto Japan代表取締役社長の東福寺厚樹氏は、2025年の3年連続成長についてオーナーやビジネスパートナーへの感謝を示したうえで、2026年は積極的な新車投入とディーラーネットワーク拡充を進める方針を示しました。
公表された2026年の計画では、まず上半期に「BYD DOLPHIN」と「BYD ATTO 3」のアップデートを実施します。
さらに夏には、BYDにとって日本市場で非常に重要なモデルとなる軽EV「BYD RACCO」を導入する計画です。
2026年後半に向けては、コンパクトSUVの「BYD ATTO 2」と、ステーションワゴンの「BYD SEAL 6」も投入するとしています。
つまりBYDは、1台のヒット車だけに頼るのではなく、
- DOLPHIN
- ATTO 3
- SEALION 7
- RACCO
- ATTO 2
- SEAL 6
といった複数の車種で販売の裾野を広げようとしているわけです。
なかでも筆者が売れ行きを左右すると考えているのはRACCOです。
日本独自の軽自動車市場は、普通車以上に価格、ボディサイズ、維持費、取り回しの良さが重視されます。
これまでBYDに興味があっても「車体が大きい」「輸入車は日常使いしにくそう」と感じていた人にとって、軽規格に近い商品が加われば心理的な距離は縮まります。
逆に言えば、RACCOを投入しても販売が大きく伸びなければ、「EVそのものへの慎重姿勢」や「中国ブランドへの抵抗感」など、価格やサイズ以外の壁がまだ厚いと判断する材料にもなります。
2026年はBYDにとって、単なる販売台数の増減以上に、日本市場へどこまで定着できるかを測る年になりそうです。
テスラとBYDを比較すると何が違う?
「テスラ BYD 比較」で検索する人も多いですが、この2社は同じEVメーカーとして語られながら、日本市場での戦い方には違いがあります。
テスラは「モデル3」や「モデルY」など少数の主力車種でブランドを築いてきたのに対し、BYDはコンパクトカー、SUV、セダン、PHEV、さらに軽EVへと車種の幅を広げる方向に動いています。
BYDの強みのひとつが、もともとバッテリーメーカーとして成長してきた技術基盤です。
BYDグループは1990年代にバッテリー事業からスタートし、現在は自動車、新エネルギー、エレクトロニクスなど幅広い事業を展開しています。
車両には独自のブレードバッテリーやe-Platform 3.0といった技術を採用しており、自動車だけを組み立てる企業とは異なる垂直統合型の強みを持っています。
さらにBYDは乗用車だけでなく、商用車分野でも実績があります。
2025年のBYD製電気バスの輸出台数は4,234台で前年比18.2%増、世界市場シェア24%を記録したとBYDは発表しています。
EVバス輸出では3年連続世界首位となり、日本でも2025年度末時点の累計導入台数は503台に到達しました。
国内EVバス分野では約6割の市場シェアとされており、乗用車より先に公共交通の現場でBYDを目にした人もいるでしょう。
これは乗用車の売れ行きを直接示す数字ではありません。
ただし「日本に来たばかりの無名メーカー」という見方だけでは、BYDの実態を捉えにくくなっていることは確かです。
個人的には、テスラとBYDの競争を見る際に「どちらのEVが速いか」だけで比べるより、BYDが日本の軽自動車やPHEVまで商品を細分化できるかに注目しています。
日本では充電環境や戸建て・集合住宅の事情がさまざまなため、EV一本で全ユーザーを取り込むのは簡単ではありません。
その点、EVとPHEVを両方用意するBYDの戦略は、日本市場に合わせた現実的な方法だと感じます。
byd D9はアルファードのライバルになる?売れ行きを占う別ブランドの存在
BYDの売れ行きを調べていると、「BYD D9 アルファード」という関連ワードを見かけることがあります。
正確にはD9はBYD本体の車名ではなく、BYDが展開するプレミアムブランドDENZA(デンツァ/デンザ)の大型ミニバンです。
D9は2022年に中国で登場した電動ミニバンで、BEVとPHEVが設定されています。
2023年のジャパンモビリティショーにも展示され、その大きなボディや豪華な2列目シートから、トヨタ「アルファード」「ヴェルファイア」と比較されました。
当時のD9は全長5,250mm、全幅1,960mm、ホイールベース3,110mmという大型ボディで、アルファードよりひと回り大きいサイズでした。
中国では販売が伸び、2024年9月には累計販売20万台突破が発表され、2025年11月には30万台目の納車を達成したとされています。
さらに2026年には第2世代D9が登場し、4月27日にPHEV3モデル、BEV3モデルの計6モデルが発売されました。
一方、日本でのD9販売については、2023年のジャパンモビリティショー時点でBYD Auto Japan側が具体的な販売予定はないと説明していました。
そのため「D9がすぐ日本でアルファードを脅かす」と断定するのは早計です。
ただ、D9の存在には別の意味があります。
BYDグループは低価格なEVだけでなく、アルファードやレクサスLMのような高級ミニバン市場まで狙える商品開発力を持っているということです。
日本でBYDブランドが一定の販売基盤を築けば、将来DENZAなど上級ブランドの展開を検討する余地も生まれます。
筆者としては、D9そのものが今すぐ日本で何台売れるかより、BYDが価格重視のEVメーカーだけではないという点のほうが重要だと考えます。
日本メーカーから見れば、コンパクトEVでは価格競争、高級車では装備や電動化技術という別々の方向から競争を仕掛けられる可能性があるためです。
BYDは「売れていない」のか?数字を見ると評価が変わる
BYDについてネット上では、「日本では売れない」「中国車だから厳しい」といった声が出ることがあります。
確かに、日本メーカーの人気車が年間数万台、十数万台規模で売れる市場と比べれば、2025年の3,742台は大きな数字ではありません。
その意味で「日本で主流になった」と表現するのは適切ではないでしょう。
一方で、2023年1,446台、2024年2,223台、2025年3,742台という推移を無視して「まったく売れていない」と評価するのも実態とはずれます。
ここは「売れている・売れていない」の二択ではなく、販売規模はまだ小さいが、伸び率は高いと見るのが公平です。
また、日本でEVの購入をためらう理由はBYD固有の問題だけではありません。
自宅充電環境、充電時間、長距離移動への不安、残価、中古車価値、販売店の距離など、EVという商品全体に関わる条件があります。
さらに輸入車であるBYDには、整備拠点やブランド認知、将来の下取り相場といったハードルも加わります。
この点でBYD Auto Japanが正規ディーラーネットワークの拡充を強調しているのは理にかなっています。
クルマはスマートフォンのように通販だけで完結しにくい商品です。
購入前の試乗、故障時の入庫、事故修理、車検、下取りまで含めると、「近くに安心して相談できる店舗があるか」は価格以上に購入判断へ影響する場合があります。
コスパ重視で車を見る私としても、カタログ価格の安さだけでBYDを選ぶのはおすすめしません。
自宅や職場で充電できるか、最寄りディーラーまで何kmあるか、普段の走行距離はどれくらいかまで含めて考えたときに、初めて「自分にとって得か」が見えてきます。
BYDの今後の売れ行きを左右する3つのポイント
私見では、今後のBYDの売れ行きを決めるポイントは大きく3つあります。
1つ目はRACCOを中心とした日本向け商品の成功です。
日本で圧倒的に身近なのは軽自動車です。そこへEVという新しい選択肢をどこまで自然に入り込ませられるかは、BYDのブランド認知を一気に変える可能性があります。
2つ目はPHEVの拡大です。
日本では「EVに興味はあるが充電だけに依存するのは不安」というユーザーが少なくありません。
ガソリンでも走れるPHEVなら、集合住宅に住む人や長距離移動が多い人にも選択肢が広がります。
BYDがEVだけの会社というイメージから抜け出せれば、比較対象はテスラだけではなく、トヨタ、三菱、マツダなどの電動車まで広がります。
3つ目は販売店とアフターサービスへの信頼です。
新車は購入して終わりではありません。
5年、8年、10年と乗るなら、部品供給や修理対応、中古車としての流通まで含めて判断する必要があります。
BYD Auto Japanの東福寺厚樹社長が「安心していただけるディーラーネットワークの拡充」を掲げているのも、この点を重視しているからでしょう。
販売台数だけを追うと、新型車が出た月の勢いに目を奪われます。
しかし長い目で見ると、BYDが日本で本当に定着したかどうかは、買った人が次もBYDを選ぶかで決まります。
2025年の3,742台は、新規ブランドとして一定の伸びを示した数字です。
次の段階では、販売台数の増加だけでなく、既存ユーザーの満足度や買い替えまで含めたブランド形成が問われるでしょう。
考察:BYDの売れ行きは「急拡大」より「定着できるか」が重要
筆者としては、2025年の前年比68%増という数字だけを見て「BYDが日本車を一気に脅かす」と考える必要はないと思っています。
3,742台という絶対数を見れば、日本メーカーの主力車とはまだ大きな差があります。
しかし逆に、「中国車だから日本では売れない」と決めつける段階も過ぎつつあります。
BYDは2023年から2025年まで3年連続で販売を増やし、SEALION 7という新型SUVも成果を出しました。
さらに2026年はDOLPHINとATTO 3の改良、RACCO、ATTO 2、SEAL 6と投入車種を増やします。
これは日本市場から撤退を検討するメーカーの動きではなく、むしろ商品と販売網へ投資を続ける姿勢です。
私が特に興味深いと感じるのは、BYDの勝負が「EV対ガソリン車」という単純な構図ではなくなっていることです。
PHEVを増やし、日本独自の軽自動車市場にも入れば、「電気自動車はまだ早い」と考える層にも接点を作れます。
一方で、価格が安いだけでは日本市場で長く支持されるとは限りません。
日本のユーザーは、故障時の対応、店舗網、下取り、10年近く使えるかといった購入後の安心感をかなり重視します。
ここは新規参入ブランドにとって最も時間がかかる部分です。
そのため私は、BYDの2026年以降の売れ行きを見るなら「何台売ったか」に加え、販売拠点が増えたか、商品ラインアップが日本の生活に合っているか、既存オーナーが買い替えるブランドになったかを確認したいと思います。
安さや装備の豪華さだけで選ばれる段階から、「普通に比較した結果BYDを選んだ」と言われる段階へ進めるか。
そこまで到達すれば、BYDは日本市場で一過性のEVブランドではなく、長く残る輸入車メーカーになっていく可能性があります。
まとめ
BYDの売れ行きは、日本ではまだ大手メーカーに比べて小規模ですが、着実に拡大しています。
2025年のBYD乗用車の国内登録台数は3,742台で前年比68%増となり、3年連続で成長しました。2025年4月発売のSEALION 7が販売を牽引したこともBYD Auto Japanから明らかにされています。
2026年はDOLPHINとATTO 3のアップデートに加え、軽EV「BYD RACCO」、コンパクトSUV「ATTO 2」、ステーションワゴン「SEAL 6」などの投入が計画されています。
現時点では「日本で大ヒットしている」とまでは言えませんが、「まったく売れていない」という評価も最新の数字とは合いません。
販売規模はまだ小さいものの成長率は高く、今後は日本向けの商品、PHEV、軽EV、ディーラー網の充実によってどこまで定着できるかが焦点です。
テスラとのEV競争だけでなく、将来的にはDENZA D9のような高級車まで含め、BYDグループが日本メーカーとどの市場で競うのかにも注目しておきたいところです。
よくある質問
BYDは日本で売れていますか?
2025年のBYD乗用車の国内登録台数は3,742台で、前年比68%増でした。日本市場全体ではまだ小規模ですが、2023年から3年連続で販売台数を伸ばしています。
BYDの売れ行きを伸ばした車種は何ですか?
BYD Auto Japanは、2025年4月に発売した「BYD SEALION 7」が2025年の国内販売を大きく牽引したと発表しています。
BYD D9は日本でアルファードと競合しますか?
D9はBYDのプレミアムブランドDENZAの大型電動ミニバンで、アルファードと比較される車種です。ただし2023年の日本展示時点では、日本での具体的な販売予定は発表されていませんでした。