日産エルグランド新型を試乗レビュー|乗り心地や走行性能を評価

新型プレミアムミニバンが静かな郊外道路を滑らかに走る様子

日産エルグランド新型は、静粛性と力強い加速、姿勢変化を抑えた乗り心地を武器に、運転する人も楽しめるプレミアムミニバンへ進化しています。

2026年5月18日に公開されたプロトタイプ試乗記では、第3世代e-POWER、電動4WDのe-4ORCE、電子制御サスペンションを組み合わせた走行性能が高く評価されました。

日産エルグランド新型の試乗で分かったことは?

新型エルグランドの最大の特徴は、単に豪華な後席を備えたミニバンではなく、運転席からでも走りの質を実感できる「ドライバーズミニバン」に仕上げられていることです。

試乗された車両は、市販前の4WDプロトタイプです。日産のテストコースという限られた環境での評価ですが、加速の滑らかさ、車内の静かさ、ブレーキ時の姿勢、カーブでの安定感など、新型の方向性は十分に確認されています。

新型エルグランドには、日産が強みとして掲げる次の3つの技術が搭載されます。

  • 第3世代e-POWER
  • 電動4WDシステム「e-4ORCE」
  • IDS(インテリジェントダイナミクスサスペンション)

e-POWERはエンジンで発電し、モーターの力でタイヤを動かす仕組みです。ガソリンエンジン車でありながら、発進時や加速時には電気自動車に近い、滑らかで反応のよい走りを味わえます。

e-4ORCEは、前後に配置したモーターの駆動力や回生ブレーキを細かく制御する技術です。単に滑りやすい道で4輪を駆動するだけではなく、加速、減速、旋回時の車体姿勢を整える役割も持っています。

IDSは、路面や走行状態に応じてショックアブソーバーの硬さを変える電子制御式可変ダンパーです。この3つを連携させることで、大きく重いミニバンでも揺れや傾きを抑え、快適性と運転の楽しさを両立しています。

試乗記を読む限り、新型エルグランドはアルファードやヴェルファイアと同じ豪華さだけを追うのではなく、走行性能という日産らしい軸で差別化しようとしていると感じます。


新型エルグランドの加速性能は力強く滑らか

新型エルグランドのパワートレインには、第3世代e-POWERが採用されています。

発電用エンジンは1.5リッター直列3気筒ターボの「ZR15DDTe型」です。前後の駆動用モーターを組み合わせたe-4ORCE仕様で、現時点では4WDのみとされています。

最高出力や最大トルクの正式な数値は、プロトタイプ試乗時点では発表されていません。ただし関係者の説明では、前後モーターを合わせた最大トルクは500N・m級とされています。

500N・m級という数字だけを見ると少し難しく感じますが、実際の走りでは、アクセルを踏んだ直後から大きな車体を力強く前へ押し出せる余裕につながります。

試乗では、発進直後の力強さだけでなく、その後も勢いが途切れず、速度が滑らかに伸びていく点が高く評価されました。変速ショックがないe-POWERならではの感覚で、重量級ミニバンにありがちな「最初の一歩が重い」という印象を抑えています。

日産の社内計測データでは、車名を伏せた他社A車に対して、0-100km/h加速と100-120km/h加速が9~10%速いという結果も示されました。

比較対象は明記されていないため断定できませんが、試乗記ではアルファードまたはヴェルファイアのハイブリッド車を意識した可能性が指摘されています。

もちろん、公道で速さを競う車ではありません。それでも、高速道路への合流や追い越し、乗員や荷物を多く積んだ状態では、必要なときにすぐ加速できる余裕が安心感につながります。

個人的には、プレミアムミニバンの性能は最高速度よりも、大人数で乗ったときに無理なく速度を乗せられるかが重要だと考えています。その意味で、新型エルグランドの厚みのある加速は、日常でも実感しやすい長所になりそうです。


新型エルグランドの乗り心地は柔らかい?揺れは少ない?

新型エルグランドには、「スポーツ」「スタンダード」「コンフォート」「エコ」「スノー」「パーソナル」の合計6つのドライブモードが用意されます。

パーソナルでは、サスペンションの減衰力や全輪協調制御などを、好みに合わせて個別に設定できます。

なかでもコンフォートモードは、後席の快適性を優先した味付けです。市街地を想定した速度域では、近年の車としては珍しいほど、ゆったりと柔らかい乗り心地を味わえると評価されています。

一方で、柔らかさを強く出しているため、運転する人によっては車体上部の動きが少し大きいと感じる可能性があります。乗り心地の好みは人それぞれなので、柔らかいほど必ず快適とは限りません。

そこで重要になるのが、e-4ORCEとIDSの連携です。

新型エルグランドでは、電子制御ダンパーだけで揺れを抑えるのではなく、前後モーターの駆動力や回生ブレーキも使って車体の姿勢を整えます。

特に注目したいのが「スムースストップ機能」です。減速時の回生ブレーキ量を調整し、ブレーキをかけたときに乗員の体が前後へ揺さぶられる原因となるピッチングを抑えます。

後輪側の回生力も細かく制御することで、車体が前方へ大きく沈み込むのを防ぎ、水平に近い姿勢のまま止まれるようにしています。

ミニバンでは、運転手が普通にブレーキをかけたつもりでも、2列目や3列目では頭が前後に揺れやすくなります。車酔いしやすい家族にとっては、シートの豪華さ以上に気になる部分です。

そのため、スムースストップ機能はカタログ上では目立ちにくいものの、実際の家族利用では非常に価値のある技術だと考えます。

ただし、今回の試乗はテストコースで行われたプロトタイプ評価です。荒れた舗装、段差が続く市街地、横風の強い高速道路など、一般道での乗り心地は市販車で改めて確認する必要があります。


静粛性は新型エルグランドの大きな強み

新型エルグランドの試乗で、加速性能と並んで高く評価されたのが静粛性です。

第3世代e-POWERでは、駆動モーター、減速機、インバーターなど5つの主要部品を一体化した「5 in 1パッケージ」が採用されています。

部品をまとめることで、従来より構造を効率化するとともに、音や振動を抑えています。日産の説明では、振動要素を従来比で約40%低減したとされています。

さらに、前席ドアとスライドドアには遮音ガラスを採用。高速走行時に気になりやすい風切り音を減らしています。

エンジン音やロードノイズに対しては、BOSE Premium Sound Systemと組み合わせたアクティブノイズコントロールも使われます。打ち消す音をスピーカーから発生させることで、エンジンノイズやロードノイズを50~60%低減する効果があると説明されています。

100-120km/hの加速領域では、発電用エンジンの回転数が上がるため、さすがにエンジン音は聞こえます。それでも、日本の一般的な走行速度では高い静粛性を保ち、車内の音環境にも不自然な圧迫感はなかったと評価されました。

車内にはBOSE Premium Sound Systemが搭載され、ヘッドレストスピーカーも用意されています。単に大音量で音楽を楽しむためではなく、静かな室内だからこそ、小さな音や会話が聞き取りやすくなる点も魅力です。

プレミアムミニバンでは、エンジン性能以上に「家族や同乗者がどう感じるか」が満足度を左右します。長距離移動で会話を遮る騒音が少なければ、それだけでも疲れ方は変わるでしょう。

私は、新型エルグランドの静粛性は豪華な内装以上に、毎日の利用で満足を感じやすい部分だと思います。見た目の高級感は購入時に強く印象に残りますが、静かさは所有している間、何度も価値を実感できるからです。


日産エルグランド新型は運転しやすい?

新型エルグランドのボディーサイズは、日産測定値で全長4995mm、全幅1895mm、全高1965mmです。

全長はアルファードやヴェルファイアと同等ですが、全幅と全高は上回ります。特に全幅1895mmは、狭い駐車場や住宅街では注意が必要な大きさです。

一方、運転席からの前方視界はよく考えられています。インストルメントパネルの高さを抑え、車両前方を見渡しやすい設計とされており、試乗でも実際に前がよく見えると評価されました。

大きな車は、カタログ上の寸法だけで運転しにくさが決まるわけではありません。運転席からボンネットの位置を把握しやすいか、窓が広いか、カメラやセンサーが分かりやすく表示されるかによって、体感的な扱いやすさは大きく変わります。

走行中はe-4ORCEが前後の駆動力を細かく配分し、カーブでの車体の傾きや進行方向の乱れを抑えます。背の高いミニバンでも、ハンドルを切った際に車体が遅れてついてくる感覚を減らし、ドライバーの操作に自然に反応することを狙っています。

この制御は、スポーティーに走るためだけのものではありません。山道で同乗者が左右に振られにくくなったり、高速道路の車線変更で車体が落ち着きやすくなったりする効果が期待できます。

ただし、最小回転半径や車両重量など、一部の詳細はプロトタイプ試乗時点で公表されていません。購入を考えている人は、販売店の試乗で次の点を確認するとよいでしょう。

  • 狭い交差点で曲がる際の取り回し
  • 駐車枠へ入れるときの車幅感覚
  • 低速走行時のアクセルの反応
  • 段差を越えたときの後席の揺れ
  • ブレーキ停止直前の滑らかさ
  • ドライブモードによる乗り心地の違い

2026年8月24日から30日まで、JR東京駅直結の丸ビル1階マルキューブでは、新型エルグランドの期間限定展示が予定されています。

さらに8月29日と30日には、11時から19時まで事前予約制の特別試乗会が実施され、試乗時間は約20分です。予約枠は先着順で、普通自動車免許を取得して1年以上経過していることなど、複数の参加条件があります。

試乗時には有効な普通自動車運転免許証が必要で、予約時間の15分前までの来場が求められています。サンダルやハイヒール、素足など、運転に適さない状態では参加できません。

イベント内容や予約状況は変更される場合があるため、参加を検討する場合は日産の公式案内で最新情報を確認してください。


アルファードと比べた新型エルグランドの評価は?

新型エルグランドが意識している最大のライバルは、トヨタのアルファードとヴェルファイアです。

初代エルグランドは1997年に登場し、高級ミニバンという市場を切り開いた存在でした。2代目は2002年、3代目は2010年に登場しています。

しかし3代目の発売後は、アルファードとヴェルファイアが高級感、室内空間、ブランドイメージを強め、販売面で大きくリードしました。4代目となる新型は、前回のフルモデルチェンジから約16年ぶりの全面刷新となります。

新型エルグランドの強みは、次のように整理できます。

比較ポイント 新型エルグランドの特徴
加速 第3世代e-POWERによる力強く滑らかな加速
駆動制御 e-4ORCEで前後モーターを緻密に制御
乗り心地 電子制御ダンパーと回生制御を統合
静粛性 5 in 1、遮音ガラス、ノイズ制御を採用
運転感覚 ドライバー主体の走行性能を重視
後席 快適性は高いが、見た目の豪華さは好みが分かれる

一方、2列目シートのアームレストは、背もたれと一緒に動く跳ね上げ式です。

アルファードやヴェルファイアの上位仕様では、台座と一体化した固定式アームレストが採用され、飛行機のビジネスクラスのような分かりやすい豪華さがあります。

新型エルグランドの方式には、2列目の間を通って3列目へ移動しやすいことや、アームレストを畳める利点があります。背もたれも2カ所を基点に調整でき、座り心地そのものは高い水準と評価されています。

ただし、法人送迎や後席重視で選ぶ人にとっては、見た瞬間に伝わる特別感でアルファード系が有利と感じる可能性があります。

その一方で、自分でハンドルを握る機会が多い人には、新型エルグランドの方が魅力的に映るかもしれません。

筆者としては、同じ高級感の土俵で王者を追いかけるより、家族を快適に乗せながら運転手も退屈しないミニバンとして個性を明確にする方が、エルグランドらしいと考えます。


新型エルグランドの試乗評価と今後の見通し

今回のプロトタイプ試乗から、新型エルグランドの走行性能はかなり期待できると感じます。

特に魅力的なのは、加速、旋回、減速を別々に考えるのではなく、e-POWER、e-4ORCE、電子制御サスペンションを連携させ、乗員が不快に感じる車体の動きをまとめて抑えている点です。

これまでの高級ミニバン選びでは、2列目シートの豪華さや室内の広さが注目されがちでした。しかし実際の移動では、信号で止まるたびに体が前へ揺れたり、カーブで左右へ振られたりすることも、疲労や車酔いにつながります。

新型エルグランドは、そうした目に見えにくい不快感を電動技術で減らそうとしています。私はここに、単なる装備競争ではない新型の価値があると思います。

反対に、気になる点もあります。

車幅1895mmという大きさは、日本の道路や駐車場では気軽に扱える寸法ではありません。コンフォートモードの柔らかさについても、路面状況によっては車体の動きが気になる可能性があります。

また、燃費性能については、アルファードやヴェルファイアのハイブリッド4WDに近い水準を目指しているとされていますが、正式な数値はまだ示されていません。

トヨタのハイブリッドシステムは、走行条件が合ったときの燃費の伸びに定評があります。新型エルグランドが燃費だけで明確に上回るのは、簡単ではないでしょう。

それでも、ミニバン選びは燃費の数字だけで決まりません。アクセルを踏んだときの反応、ブレーキ停止時の滑らかさ、後席の揺れ、車内の会話のしやすさまで含めて判断することが大切です。

新型エルグランドは、カタログ上の装備を眺めるだけでは本当の良さが伝わりにくい車になりそうです。購入候補に入れるなら、スタンダードとコンフォートを切り替え、同じ道路を走って違いを確かめるのがおすすめです。

プロトタイプで高く評価された制御が、市販仕様でも自然に仕上がっていれば、アルファードとは異なる基準で選ばれる有力なプレミアムミニバンになると考えられます。


まとめ

日産エルグランド新型の試乗では、第3世代e-POWERによる力強く滑らかな加速と、e-4ORCEによる安定した車体制御が高く評価されました。

IDSやスムースストップ機能により、柔らかな乗り心地を保ちながら、ブレーキ時の前後方向の揺れを抑えている点も注目です。

さらに、5 in 1パッケージ、遮音ガラス、アクティブノイズコントロールを採用し、静かな移動空間を目指しています。

今回の評価は市販前プロトタイプを限られたテストコースで試した結果であり、一般道での乗り心地、実燃費、取り回しは市販車で確認する必要があります。

それでも新型エルグランドは、後席の豪華さだけで勝負するのではなく、運転する人にも同乗者にも心地よい「走りのよいプレミアムミニバン」として、明確な個性を持つ一台になりそうです。


よくある質問

日産エルグランド新型の乗り心地は柔らかいですか?

コンフォートモードでは、後席を優先した柔らかな乗り心地に設定されています。ただし人によっては車体上部の動きが大きいと感じる可能性があるため、スタンダードモードとの乗り比べがおすすめです。

新型エルグランドの駆動方式は4WDですか?

プロトタイプ試乗時点では、第3世代e-POWERと前後モーターを組み合わせたe-4ORCEの4WDのみとされています。正式なグレード構成は、最新の公式情報で確認してください。

新型エルグランドはどこで試乗できますか?

日産は販売店の試乗車・展示車検索を用意しています。また、2026年8月29日と30日には、東京駅直結の丸ビル1階マルキューブで事前予約制の特別試乗会が予定されています。予約状況や開催内容は変更される可能性があります。