日産GT-Rがふるさと納税返礼品に?明和町オリジナルモデルの内容を解説

三重県明和町のふるさと納税返礼品として用意されたGT-RベースのアルミボディスポーツカーR356

三重県明和町のふるさと納税に、日産GT-R(R35)をベースとしたオリジナルモデル「R356」が2億円の返礼品として登場しています。

日産GT-Rそのものを返礼品にするのではなく、町内企業の株式会社クルウチがR35をベースに独自設計し、職人によるアルミボディで仕上げる特別な1台です。

明和町のふるさと納税返礼品に日産GT-Rベースの「R356」が登場

三重県明和町、株式会社クルウチ、ふるさと納税総合サイト「ふるさとチョイス」を運営する株式会社トラストバンクは、2025年10月20日からオリジナルGT-Rモデル「R356」を返礼品として提供開始しました。

R356は、日産の「NISSAN GT-R(R35)」をベースにしたクルウチ独自のモデルです。

返礼品として設定された寄付金額は、なんと2億円。

一般的なふるさと納税の返礼品とは桁がまったく違うので、「本当にGT-Rが返礼品でもらえるの?」と驚く方も多いと思います。

正確には、市販状態のGT-Rをそのまま受け取る内容ではありません。

クルウチがR35をベースに設計・カスタムし、手作業で製作するアルミボディを組み合わせた「R356 アルミボディ仕様」1台が返礼品となります。

ふるさとチョイスでは「未来の和製スーパーカーR356c」として紹介されており、申し込み後に製作する受注生産です。

容量として記載されているのはR356cが1台で、その後に発生するメンテナンス費用は含まれません。

さらに受け渡しは配送ではなく、基本的にクルウチへ来店して受け取る形とされています。発送期日についても「要相談」となっており、普通の返礼品とはかなり性格が違います。

個人的には、この企画は単に「2億円のGT-R」という派手さだけを見るより、明和町の地場産業そのものを返礼品にした点が面白いと感じました。

大量生産の商品ではなく、町内企業の技術と職人仕事に価値を付けた返礼品だからです。


R356とは?R35 GT-Rをアルミボディのスーパーカーへ

R356最大の特徴は、日産GT-R R35の基本性能を生かしながら、外観を大きく作り替えていることです。

株式会社クルウチ代表の久留内良彦氏は、「僕のGT-R」というテーマでR356を製作したと説明しています。

R35はスーパーカー級の性能を備えている一方、久留内氏はその外観について、スーパーカーというよりスポーツカーらしいデザインだと捉えていました。

そこで目指したのが、性能だけでなく見た目もスーパーカーと呼べるGT-Rです。

R356ではボディをアルミの叩き出しで製作しています。

これは一般的な量産車のように大型プレス機で同じパネルを次々に作る方法とは異なり、職人の技術を使ってアルミを成形していく手法です。

一方で、すべてを別物にしてしまうわけではありません。

R35が持つ、

  • 長距離移動にも向くグランドツーリング性能
  • 4人乗車できる実用性
  • 高いボディ剛性

といったGT-Rの基本的な魅力は残す方針とされています。

ここはR356を見るうえで重要なポイントです。

単に派手な外装へ変更したカスタムカーではなく、「GT-Rらしい使い勝手を残したスーパーカー」を狙っているわけですね。

しかもR356は、すでに一定の評価を受けています。

クルウチの説明によると、千葉県の幕張メッセで開催された東京オートサロン2025でコンセプトカー部門の優秀賞を受賞しました。

つまり、今回のふるさと納税をきっかけに突然作られた企画車ではなく、先にコンセプトカーとして製作・展示され、その後に返礼品として展開されたという流れです。


なぜ明和町がGT-Rをふるさと納税の返礼品にしたのか

「なぜ三重県の町がGT-R?」と疑問に感じる人もいるでしょう。

理由は、R356を製作する株式会社クルウチが三重県明和町に本社を置く自動車事業者だからです。

クルウチは2003年7月、明和町で自動車整備工場として営業を開始しました。

国産スポーツカーの販売・整備・再生・カスタムを手掛けており、とくにGT-Rについては130台以上を取り扱った実績があるとされています。

さらに、同社が運営する「クルウチ博物館」では、歴代GT-Rを中心として約450台のコレクションを展示しています。

希少車として知られる2代目、いわゆる「ケンメリGT-R」も所蔵車のひとつです。

ケンメリGT-Rはオイルショックなどの影響でレース活動が中止され、生産台数が197台にとどまったモデルとして知られています。

クルウチは全国に顧客を持ちながらも明和町で営業を続けており、その背景には久留内氏の「明和町に人を呼びたい」という思いがあります。

明和町側も、町内事業者と連携して地域産業の魅力を全国へ発信し、ふるさと納税を地域経済の活性化につなげる取り組みを進めてきました。

そこで、自動車整備という地域の「ものづくり」を象徴する存在としてクルウチと連携したわけです。

私はここが今回のニュースの本質だと思います。

「自治体が高価なGT-Rを返礼品にした」という話だけなら一時的な話題で終わってしまいます。

しかし実際には、明和町にある整備・加工技術、スポーツカー文化、観光施設をまとめて全国へ発信する仕組みとして設計されています。

返礼品そのものが広告塔になっている点は、地方のふるさと納税としてかなり特徴的です。


R356だけではない?R34やR32 GT-Rも返礼品に

今回の明和町とクルウチの取り組みでは、R356以外にもGT-R関連の返礼品が用意されました。

主な内容を整理すると次の通りです。

返礼品 内容 寄付金額
R356 アルミボディ仕様 R35 GT-Rベースのオリジナルモデル 2億円
R34 GT-R レース仕様車を公道仕様ベースに整備 1億円
R32 GT-R リフレッシュモデル ボディ・足回り・エンジンなどを再整備 5000万円
GT-R整備パック+クルウチ博物館見学 GT-R整備関連プランと博物館見学 100万円

なかでもR356はふるさとチョイス限定で用意され、ふるさと納税の返礼品になるのは初めてと発表されています。

R34 GT-Rはレース仕様車をベースに公道仕様へ整備したモデルで、寄付金額は1億円。

R32 GT-Rについては、ボディだけでなく足回りやエンジンまで再整備したリフレッシュモデルで、寄付金額は5000万円です。

そして車両そのもの以外にも、100万円の寄付でGT-Rの整備に関連するプランとクルウチ博物館見学を組み合わせた返礼品があります。

R356だけを見ると「超富裕層向けの話」と感じますが、ラインアップ全体を見ると、GT-R文化そのものを明和町の観光・産業資源として見せようとしていることが分かります。

もちろん100万円でも一般的な返礼品としてはかなり高額ですが、車両だけでなく施設への来訪につなげている点が興味深いところです。


日産GT-R生産終了後だからこそR356が注目される

R356が象徴的なのは、ベースとなるR35 GT-Rがひとつの節目を迎えたタイミングで登場したことです。

日産GT-Rは、スカイラインGT-Rから独立した「NISSAN GT-R」として2007年に登場しました。

R35は長期間にわたり改良を重ねながら販売されましたが、クルウチの紹介文では2025年式が最終型となり、2025年8月に生産を終了したと説明されています。

久留内氏は、新しいGT-Rの具体的な計画が見えない状況を背景に、「日産が作らないなら、自分たちで作ろう」という考えからR356の企画が立ち上がったとしています。

もちろんR356は、日産自動車が開発した次期GT-Rではありません。

あくまでもクルウチがR35をベースに独自開発したオリジナルモデルです。

ここは検索する際に混同しないよう注意したいところです。

ただ、R35の生産が終了した後だからこそ、「既存のGT-Rをどう残し、どう新しい価値へ変えていくのか」というテーマは今後さらに重要になると私は考えています。

R32やR34など過去のGT-Rは、単なる古い中古車ではなく、レストアや再生、保存の対象として価値を高めてきました。

R356も方向性こそ違いますが、既存のGT-Rをベースに新しいクルマ文化を作る試みと見ることができます。

新型車が発売されることだけがクルマ文化の進化ではありません。

生産終了したモデルを修復し、技術を継承し、時には大胆に作り直す。その選択肢を示したことが、R356の面白さではないでしょうか。


2億円のR356は「お得」なのか?ふるさと納税として考える

ふるさと納税で「寄付金額2億円」と聞くと、どうしても返礼品そのものの価格が気になります。

ただし、ふるさと納税は通常の商品購入とは仕組みが違います。

2億円を支払って2億円の自動車を買う制度ではありません。

自治体への寄付に対して、その地域の地場産品などがお礼の品として提供される仕組みです。

そのためR356を通常の新車価格や中古車価格だけで評価して、「高い」「安い」と単純比較するのは少し違うと感じます。

また、ふるさとチョイスの掲載情報ではR356は受注生産で、受け渡しについても来店が必要とされています。

寄付後の維持費やメンテナンス費用も返礼品には含まれていません。

したがって実際に申し込む人にとっては、車両を所有した後の維持や保管まで含めて考える必要があります。

一方、今回の2億円という金額には非常に大きな情報発信力があります。

「GT-Rベースの車がふるさと納税返礼品になった」というだけで、これまで明和町を知らなかったクルマ好きにも町の名前が届きます。

私はコスパを考えるとき、商品だけでなく「その企画が誰にどんな価値を生むのか」も見るようにしています。

R356の場合、寄付者にとっての価値は唯一性の高いクルマですが、明和町にとっては地域PR、クルウチにとっては技術発信、さらにGT-Rファンにとっては国産スポーツカー文化の継承という複数の意味があります。

高額返礼品であること自体が目的ではなく、2億円というインパクトを地域のものづくり発信につなげている点に、この企画ならではの価値があると感じます。


R356から見える明和町とGT-R文化の今後

個人的には、R356が大量に申し込まれることよりも、この企画をきっかけに明和町やクルウチを知る人が増えることの方が重要だと考えています。

クルウチは2024年に会員制アミューズメント施設「クルウチ博物館」を開設しており、「国産スポーツカーを日本に残したい」「若い世代に魅力を伝えたい」という考えを掲げています。

今回の返礼品には博物館見学とGT-R整備を組み合わせたプランもあり、単純に車を外へ送り出すだけではありません。

寄付をきっかけに実際に明和町を訪れてもらう導線が作られています。

これは地域活性化という意味ではかなり理にかなっています。

自動車関連産業は、完成車メーカーだけで成り立っているわけではありません。

整備、板金、部品加工、レストア、チューニングなど、各地域の中小事業者が持つ技術もクルマ文化を支えています。

特にR356のアルミ叩き出しボディは、機械で大量生産する製品とは異なり、人の技術そのものが商品価値になります。

こうした技術は受注がなくなれば継承することも難しくなります。

その意味では、ふるさと納税という制度を通じて職人技を全国へ見せる今回の方法は、他地域の自動車関連事業者にも参考になる可能性があります。

R35 GT-Rの生産が終了しても、GT-Rを取り巻く市場や文化まで終わるわけではありません。

むしろ今後は、良質な個体をどう残すか、どう整備するか、そして既存車を使ってどんな新しい価値を生み出すかが、これまで以上に注目されるのではないでしょうか。

R356は「次期GT-R」ではありませんが、GT-R生産終了後の楽しみ方のひとつを極端な形で提示したモデルだと私は見ています。


まとめ

三重県明和町では、2025年10月20日から、日産GT-R R35をベースとしたクルウチのオリジナルモデル「R356」がふるさと納税の返礼品として提供されています。

寄付金額は2億円で、独自設計されたアルミボディを持つ受注生産モデルです。GT-Rのグランドツーリング性能、4人乗車、高いボディ剛性といった特徴を残しながら、外観までスーパーカーらしく仕上げることを狙っています。

さらに明和町では、R34 GT-Rの公道仕様ベース車が1億円、R32 GT-Rリフレッシュモデルが5000万円、GT-R整備パックとクルウチ博物館見学が100万円の返礼品として用意されました。

単なる「高額なふるさと納税返礼品」というだけではなく、GT-Rを130台以上扱ってきたクルウチの技術や、約450台を展示するクルウチ博物館を通じて、明和町のものづくりと国産スポーツカー文化を全国へ発信するプロジェクトと見ると、この企画の狙いが分かりやすいでしょう。

R35の生産終了後、GT-Rという存在をどのように残し、新しい価値へつなげていくのか。R356はその答えのひとつとして、今後もクルマ好きから注目されそうです。


よくある質問

明和町のふるさと納税でもらえるのは日産純正のGT-Rですか?

日産が販売する通常のGT-Rをそのまま受け取る返礼品ではありません。

日産GT-R R35をベースとして、三重県明和町の株式会社クルウチが独自設計・カスタムを行い、アルミボディで仕上げるオリジナルモデル「R356」です。

R356のふるさと納税の寄付金額はいくらですか?

R356 アルミボディ仕様の寄付金額は2億円です。

ふるさとチョイス限定の返礼品として用意され、申し込みを受けてから製作する受注生産方式となっています。

明和町にはR356以外のGT-R返礼品もありますか?

あります。

R34 GT-Rのレース仕様ベース車が1億円、R32 GT-Rリフレッシュモデルが5000万円、GT-R整備パックとクルウチ博物館見学のセットが100万円で設定されています。