日産エルグランド新型の燃費はWLTCモード16.8km/Lとなり、第3世代e-POWERによって旧型から大幅な進化を遂げました。
2026年7月16日に発売された新型エルグランド(E53型)は、全車に第3世代e-POWERと電動4WDのe-4ORCEを搭載。高速道路で燃費が伸びにくいとされてきたe-POWERの弱点にも改良が加えられています。
日産エルグランド新型の燃費は16.8km/L
日産エルグランド新型のカタログ燃費は、WLTCモードで16.8km/Lです。
基本グレードの「X e-4ORCE」と上級グレードの「G e-4ORCE」は、どちらも同じ16.8km/Lとされています。
走行環境別の数値は次のとおりです。
走行モード 燃費
WLTC総合 16.8km/L
市街地モード 15.2km/L
郊外モード 17.8km/L
高速道路モード 16.9km/L
注目したいのは、市街地だけでなく高速道路モードでも16.9km/Lを記録していることです。
これまでのe-POWERは、速度が高い状態を長く維持すると発電用エンジンの稼働が増え、一般的なハイブリッド車に比べて高速燃費が伸びにくい傾向がありました。
新型エルグランドでは第3世代e-POWERの採用によって、高速域を含む幅広い走行条件で効率を高めています。
燃料タンク容量は67Lです。カタログ燃費とタンク容量を単純に掛けると、計算上の航続距離は約1,126kmになります。
もちろん、実際の燃費は乗車人数、荷物、渋滞、気温、エアコンの使用状況などで変わります。それでも、給油回数を減らしやすいことは長距離移動の多い家庭にとって大きなメリットです。
日産エルグランド新型は旧型からどこまで燃費が進化した?
旧型のE52型エルグランドには、2.5Lと3.5Lのガソリンエンジンが設定されていました。
元ネタで比較されている旧型の燃費はJC08モードで9.2km/L、新型E53型はWLTCモードで16.8km/Lです。
比較項目 旧型E52型 新型E53型
燃費 JC08モード9.2km/L WLTCモード16.8km/L
エンジン排気量 2.488L/3.498L 1.498L
駆動方式 グレードにより異なる 全車e-4ORCE
車両重量 2,305〜2,435kg 2,430〜2,510kg
全長×全幅×全高 4,945×1,850×1,815mm 4,995×1,895×1,975mm
ただし、JC08モードとWLTCモードは測定条件が異なるため、9.2km/Lと16.8km/Lをそのまま比較することはできません。
一般にJC08モードは、現在使われているWLTCモードよりも好条件の数値が出やすい傾向があります。その点を考えると、新型の燃費改善は表示上の差だけではなく、実際にもかなり大きいと考えられます。
さらに驚くのは、新型のほうがボディーを拡大し、車両重量も増えていることです。
全長は4,995mm、全幅は1,895mm、全高は1,975mmに達します。車両重量も2,430〜2,510kgと、決して軽いクルマではありません。
それにもかかわらず16.8km/Lを実現できた最大の理由が、第3世代e-POWERです。
筆者としては、単純に「旧型より7.6km/L良くなった」と捉えるより、大型化・重量増・全車4WDという不利な条件を抱えながら燃費を改善したことに価値があると考えています。
第3世代e-POWERは何が進化した?
e-POWERは、ガソリンエンジンで発電し、その電気を使ってモーターだけでタイヤを駆動する日産独自のハイブリッドシステムです。
一般的なハイブリッド車には、エンジンの力で直接タイヤを動かす場面があります。一方、e-POWERでは走行をモーターが100%担当します。
そのため、アクセルを踏んだ瞬間から滑らかに力が立ち上がり、電気自動車に近い運転感覚を得られるのが特徴です。
新型エルグランドに搭載される第3世代e-POWERでは、発電に特化したエンジンと、新開発の「5-in-1 e-POWER電動ユニット」が組み合わされています。
5-in-1とは、次の主要部品を一体化したユニットです。
- モーター
- インバーター
- 発電機
- 減速機
- 増速機
これらを一体化することで、ユニットの小型化だけでなく、剛性やエネルギー効率の向上も図られています。
モーターには平角線コイルを採用し、より多くの電流を効率よく流せるようにしました。インバーターには両面冷却構造を採用し、特に高速域での電力損失を抑えています。
簡単にいえば、発電した電気がモーターに届くまでの「無駄な寄り道」を減らした仕組みです。
水道に例えるなら、細く曲がりくねった配管を、太く短い配管に交換したようなもの。必要な場所へ効率よくエネルギーを送りやすくなっています。
開発トップの一野健人エンジニアは、エンジン自体の効率を高めるとともに、効率のよい回転域を積極的に使うことで、静粛性と出力、燃費を両立したと説明しています。
大きくアクセルを踏んだ場面では、必要な発電量を確保するためにエンジン回転を上げます。一方で、それほど力を必要としない場面では効率のよい状態を保つように制御されます。
エンジンの回転数と車速が必ずしも比例しない点はe-POWER特有ですが、発電のタイミングを自由に選べるからこそ、効率のよい運転領域を使いやすいのです。
日産エルグランド新型は高速燃費も大幅改善した?
新型エルグランドで最も気になる部分の一つが、高速燃費の改善です。
従来のe-POWERは市街地走行を得意とする一方、高速道路では一般的なハイブリッド車に対する不利が指摘されてきました。
高速巡航では継続的に大きな電力が必要です。e-POWERはエンジンの力を一度電気に変え、さらにモーターの力へ変換するため、その過程で損失が生じます。
エンジンで直接タイヤを駆動できるハイブリッド車と比べると、高速域では仕組み上、不利になりやすかったのです。
第3世代e-POWERでは、5-in-1ユニットや新世代インバーターによって、この変換時の損失を抑えています。
新型エルグランドの高速道路モード燃費は16.9km/Lで、WLTC総合の16.8km/Lをわずかに上回ります。
この数値を見る限り、少なくともカタログ上は「高速道路に入ると急激に燃費が落ちる」という従来のイメージをかなり弱めています。
ただし、高速道路モード16.9km/Lは一定条件で測定された値です。速度が高い状態、強い向かい風、満員乗車、ルーフボックス装着などでは実燃費が下がる可能性があります。
実際の高速燃費を判断するには、購入者による長距離走行のデータが蓄積されるのを待つ必要があります。
現段階では「高速燃費の弱点を完全に解消した」と断定するより、第3世代e-POWERによって弱点を大幅に縮小した可能性が高いと見るのが妥当でしょう。
アルファードと比べて新型エルグランドの燃費は良い?
新型エルグランドの直接的なライバルは、トヨタのアルファードとヴェルファイアです。
新型エルグランドの燃費は16.8km/L。アルファードのハイブリッド車は、仕様によってWLTCモード16.8〜18.9km/Lとされています。
最良値だけを比較すると、アルファードの18.9km/Lが新型エルグランドを上回ります。
しかし、ここで注意したいのが駆動方式です。
新型エルグランドはX、Gともに全車4WDのe-4ORCEです。一方、アルファードの最良燃費は前輪駆動のFWDモデルで、条件がそろっていません。
開発を担当した一野健人エンジニアも、取材の中で、四輪駆動車同士で比較すれば燃費でも負けないとの趣旨を語っています。
実際、MOTAが比較したアルファード「ハイブリッドZ E-Four」の燃費は17.4〜18.0km/Lで、新型エルグランドの16.8km/Lを0.6〜1.2km/L上回ります。
そのため、公開されているカタログ値を見る限り、新型エルグランドがすべての条件でアルファードを超えているとはいえません。
一方で、新型エルグランドは前後に独立したモーターを備え、走行姿勢まで細かく制御するe-4ORCEを全車に搭載します。
燃費差だけでなく、加速の力強さ、雪道での安定性、カーブでの姿勢、後席の揺れにくさまで含めて比較する必要があります。
年間1万kmを走り、レギュラーガソリンを1Lあたり170円として計算すると、燃費16.8km/Lのエルグランドは年間約10万1,000円です。
燃費17.5km/Lのアルファードハイブリッドなら年間約9万7,000円となり、差は約4,000円にとどまります。
カタログ燃費に差があっても、年間の燃料費に直すと月額では数百円程度です。
個人的には、700万円前後のLサイズミニバンを選ぶ場面では、この差だけを理由に車種を決める必要はないと感じます。
燃費を無視してよいわけではありませんが、乗り心地、運転支援、2列目と3列目の快適性、車両価格、オプション費用まで含めた総額で判断するのが賢明です。
e-4ORCEは燃費以外にどんな効果がある?
新型エルグランドは、全車に前後ツインモーター式4WDのe-4ORCEを搭載しています。
e-4ORCEは滑りやすい路面で四輪を駆動するだけのシステムではありません。前後のモーター駆動力と四輪のブレーキを連携させ、車体の姿勢を積極的に整えます。
加速時には車体前部が持ち上がるノーズアップを抑え、減速時には前方へ沈み込むノーズダイブを軽減します。
カーブでは内側の車輪にわずかにブレーキをかけながら、外側や後輪側のモータートルクを調整し、クルマの向きを変えやすくします。
さらに、インテリジェントダイナミックサスペンションが四輪の減衰力を個別に制御。路面から受ける衝撃や車体の揺れを抑えます。
Lサイズミニバンでは、運転席の乗り味だけでなく、2列目や3列目の揺れ方が重要です。
特に3列目はリアタイヤに近く、上下動や突き上げを感じやすい場所です。新型エルグランドはe-4ORCEと電子制御サスペンションを組み合わせ、後席でもフラットに感じられる乗り心地を目指しています。
燃費だけを見ると、前後にモーターを備えた4WDは重量や抵抗の面で不利です。
しかし、その不利を抱えながら16.8km/Lを達成し、同時に走行安定性と後席の快適性を高めた点に、第3世代e-POWERの本当の価値があると考えられます。
新型エルグランドの実燃費を伸ばす運転方法は?
新型エルグランドの実燃費は、運転方法によっても変わります。
特別な燃費グッズを購入するより、まずは次の基本を意識したほうが効果を期待しやすいでしょう。
- 日常走行ではECOモードを活用する
- 発進時にアクセルを急激に踏み込まない
- 停止位置を予測して早めにアクセルを戻す
- 高速道路では一定速度を意識する
- タイヤの空気圧を月1回程度確認する
- 普段使わない重い荷物を積みっぱなしにしない
e-POWERはアクセルを強く踏むとモーターが大きな電力を消費し、その電力を補うために発電用エンジンの稼働が増えます。
発進から最初の5秒で時速20km程度を目安に、穏やかに速度を上げる運転が燃費改善につながります。
一方、必要以上にゆっくり加速すればよいわけではありません。交通の流れを妨げず、前方の信号や渋滞を早めに読み、無駄な加減速を減らすことが大切です。
新型エルグランドの車両重量は2.4tを超えます。重い車体を何度も強く加速させれば、それだけ多くのエネルギーが必要です。
大柄なミニバンでは、瞬間的なテクニックよりも、速度変化を小さくする滑らかな運転が燃費に効いてきます。
第3世代e-POWERの実力をどう評価する?
筆者としては、新型エルグランドの第3世代e-POWERは、燃費だけを競うためのシステムではないと考えています。
アルファードハイブリッドの最良燃費18.9km/Lに対し、新型エルグランドは16.8km/Lです。数字だけを見れば、トヨタのハイブリッドが優勢な仕様もあります。
それでも、全車4WD、2.4tを超える車重、500Nmを上回るとされる力強いトルクを備えながら16.8km/Lを実現した点は十分に高く評価できます。
新型エルグランドの魅力は、モーターならではの滑らかな加速と、e-4ORCEによる姿勢制御、電子制御サスペンションによる乗り心地を、一つのパッケージとしてまとめたことです。
つまり「燃費を最優先した結果、走りが物足りなくなったミニバン」ではありません。
走りの余裕と後席の快適性を維持しながら、旧型の大排気量ガソリン車より燃料負担を抑えたことが重要です。
一方で、実燃費については冷静に見る必要があります。
新型エルグランドは2026年7月16日に発売されたばかりで、市街地、郊外、高速道路、冬季などを含む長期的な実燃費データはまだ十分とはいえません。
特に高速道路を時速100km前後で長時間走った場合や、真夏に後席までエアコンを使用した場合に、16.9km/Lへどこまで近づけるかは今後の注目点です。
購入を検討する際は、試乗車の平均燃費表示だけで判断せず、自分が普段使う道路環境に近い条件で確認したいところです。
市街地中心なのか、高速道路中心なのか、毎回6〜7人で乗るのかによって、実燃費の印象は変わります。
まとめ
日産エルグランド新型の燃費は、X e-4ORCEとG e-4ORCEのどちらもWLTCモード16.8km/Lです。
市街地モードは15.2km/L、郊外モードは17.8km/L、高速道路モードは16.9km/Lとなり、第3世代e-POWERによって従来の課題だった高速域の効率も改善されています。
旧型E52型のJC08モード9.2km/Lとは測定方式が異なるため単純比較はできませんが、大型化・重量増・全車4WDという条件を考えれば、大幅な進化と評価してよいでしょう。
アルファードハイブリッドには燃費で上回る仕様もあるものの、年間燃料費の差は使い方によって数千円程度に収まる可能性があります。
新型エルグランドは燃費だけで選ぶクルマではありません。第3世代e-POWERの滑らかさ、e-4ORCEの安定性、後席の揺れを抑える足まわりまで含めて判断することが、後悔しない車選びにつながります。
よくある質問
日産エルグランド新型の燃費は何km/Lですか?
X e-4ORCEとG e-4ORCEは、どちらもWLTCモード16.8km/Lです。市街地15.2km/L、郊外17.8km/L、高速道路16.9km/Lとされています。
新型エルグランドはアルファードより燃費が良いですか?
すべての仕様で上回るわけではありません。アルファードハイブリッドには16.8〜18.9km/Lの仕様があり、新型エルグランドの16.8km/Lより優れたグレードもあります。ただし、駆動方式など同条件で比較する必要があります。
第3世代e-POWERで高速燃費は改善されましたか?
5-in-1電動ユニットや新世代インバーターによって高速域のエネルギー損失が抑えられ、高速道路モード16.9km/Lを実現しています。ただし、実際の高速燃費は速度、乗車人数、気温などで変動します。
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