日産エルグランド新型のエンジン性能は?排気量・馬力・4WDまで解説

日産エルグランド新型は、1.5Lターボ発電エンジンと第3世代e-POWER、電動4WD「e-4ORCE」を全車に採用した高級ミニバンです。

2026年7月16日に発売された4代目エルグランドは、前後モーターの出力を単純に足して「341馬力」と考えるのは正確ではありません。この記事では排気量、エンジンとモーターの馬力、4WDの仕組み、実際の走りを判断するポイントまで整理します。

日産エルグランド新型のエンジンは1.5Lターボの発電専用

日産エルグランド新型に搭載されるエンジンは、総排気量1498ccの直列3気筒1.5Lターボです。

日産の環境仕様書には、原動機型式として「ZR15DDTe-YM52-MM45」と記載されています。車両型式は6AA-NE53、駆動方式は4WDです。

ただし、この1.5Lターボエンジンがタイヤを直接回すわけではありません。

新型エルグランドが採用するe-POWERは、エンジンで電気をつくり、その電気を利用してモーターを動かすシリーズ式ハイブリッドです。走行そのものは100%モーター駆動となります。

一般的なハイブリッド車では、走行状況に応じてエンジンとモーターの両方がタイヤを駆動します。一方、e-POWERではエンジンの役割が基本的に発電へ特化しているため、アクセル操作に対する反応は電気自動車に近くなります。

日産は今回、第3世代e-POWERを採用しました。

新たな専用設計の発電用エンジンに加え、モーター、発電機、インバーター、減速機、増速機という5つの主要部品をまとめた「5-in-1」電動ユニットで構成されています。

部品を一体化することには、ユニットの小型化だけでなく、エネルギー損失や振動、騒音を抑えやすくする利点があります。

排気量は先代の2.5Lや3.5Lから大幅に小さくなりましたが、車格まで小さくなったわけではありません。

エンジンを直接駆動用として使わず、効率の良い領域で発電させることにより、1.5Lという排気量でも全長約5m、車両重量2430~2510kgの大型ミニバンを成立させています。

先代エルグランドには、2488ccの直列4気筒エンジンと、3498ccのV型6気筒エンジンが用意されていました。

代表的な旧型「350ハイウェイスター プレミアム」のVQ35DE型エンジンは、最高出力280ps、最大トルク344Nmを発生します。排気量は3498ccで、使用燃料はハイオク、JC08モード燃費は9.2km/Lでした。

新型では、こうした大排気量エンジンの力を直接タイヤへ伝える方式から、発電エンジンと前後モーターを組み合わせる方式へ全面的に変わりました。

これは単なるダウンサイジングではなく、エルグランドの走り方そのものを入れ替えたフルモデルチェンジといえます。


日産エルグランド新型の馬力は何馬力?

日産エルグランド新型の発電用1.5Lターボエンジンは、最高出力140馬力、最大トルク228Nmとされています。

駆動用モーターは、フロントが最高出力205馬力・最大トルク330Nm、リアが最高出力136馬力・最大トルク195Nmです。

主な数値を整理すると、次のようになります。

項目 性能
エンジン 直列3気筒1.5Lターボ
総排気量 1498cc
エンジン最高出力 140馬力
エンジン最大トルク 228Nm
フロントモーター最高出力 205馬力
フロントモーター最大トルク 330Nm
リアモーター最高出力 136馬力
リアモーター最大トルク 195Nm
駆動方式 e-4ORCE・電動4WD
WLTCモード燃費 16.8km/L

ここで注意したいのが、前輪用205馬力と後輪用136馬力を足し、新型エルグランドを「341馬力のクルマ」と断定する見方です。

モーター単体の最高出力を合計すると、確かに341馬力になります。しかし、前後のモーターが同時に、それぞれの最高出力を出すためには、それに見合う電力を供給しなければなりません。

e-POWERで利用できる電力は、発電用エンジンが生み出す電力と、駆動用バッテリーから供給できる電力の合計によって決まります。

つまり、モーターの出力表示は駆動ユニット側の能力であり、その合計値がそのまま車両全体のシステム最高出力になるとは限りません。

自動車評論家の国沢光宏氏も、2026年7月16日に公開した記事で、この点を指摘しています。

国沢氏は、発電用エンジンが140馬力、前後モーターが205馬力と136馬力であることを踏まえつつ、エンジン出力とバッテリーから取り出せる電力には上限があるため、341馬力を常時発揮できるという解釈は適切ではないと分析しています。

新型エルグランドの駆動用バッテリー容量は1.8kWhとされ、同系統の仕組みを採用するエクストレイルとの比較から、国沢氏はシステム全体の上限を「204馬力+α程度」と推測しています。

これは日産が公表した正式なシステム最高出力ではなく、構成部品から導いた専門家の推測です。そのため、「新型エルグランドのシステム出力は約204馬力で確定」と断定することも避ける必要があります。

現時点で安全に言えるのは、次の3点です。

  • エンジン単体は140馬力
  • 前モーターは205馬力、後ろモーターは136馬力
  • 前後モーターの数値を足した341馬力を、車両のシステム最高出力とは断定できない

馬力という数字だけを見ていると分かりにくいのですが、実際の加速感ではモーターの最大トルクと応答速度も重要です。

モーターは発進直後から大きなトルクを出しやすいため、アクセルを踏んだ瞬間に車体を前へ押し出す感覚を得やすくなります。車両重量が2.4tを超える新型エルグランドにとって、この反応の速さは大きな利点です。

MOTAの渡辺陽一郎氏はプロトタイプ試乗において、動力性能はアルファードのハイブリッドより力強く、アクセルを踏み増した際に駆動力が素早く高まると評価しています。

同氏は体感上の動力性能を、一般的なガソリンエンジンに置き換えると4.5L級に相当すると表現しています。ただし、これは排気量や正式な出力を示す数値ではなく、あくまで試乗時の力強さを分かりやすく例えた評価です。

「1.5Lなのに4.5L級」という表現だけが独り歩きしないよう、実際の排気量と体感上の評価は分けて理解する必要があります。


新型エルグランドの4WD「e-4ORCE」とは?

日産エルグランド新型は、全グレードに電動4WDシステム「e-4ORCE」を搭載しています。

標準モデルは「X e-4ORCE」と「G e-4ORCE」で、ノーマルガソリン車や2WDは設定されていません。AUTECHやVIPなどの派生モデルも含め、基本的に新型エルグランドは4WDを前提とした構成です。

e-4ORCEは、前後に独立したモーターを配置し、それぞれの駆動力を緻密に制御する技術です。

エンジンの回転をプロペラシャフトで後輪へ伝える一般的な機械式4WDとは異なり、リアモーターを直接制御できるため、路面や運転操作に応じた素早い駆動力配分が可能になります。

雪道や濡れた路面で滑りにくくすることだけが、e-4ORCEの役割ではありません。

新型エルグランドでは、加速時に前後の駆動力を配分して姿勢を安定させるほか、減速時にも前後モーターの回生ブレーキを協調制御します。

日産は、停止直前の揺り戻しを抑える「スムーズストップ機能」も採用しました。

ブレーキをかけて車が止まる瞬間、乗員の頭が前後に揺さぶられることがあります。こうした細かな動きを抑える考え方は、速さよりも後席の快適性が重視される高級ミニバンと相性が良い部分です。

さらに、新型エルグランドには「インテリジェントダイナミックサスペンション」が採用されています。

4輪のショックアブソーバーの減衰力を走行状況に応じて制御し、カーブでは車体の傾きを抑えながら、通常走行では乗り心地を確保する仕組みです。

MOTAの試乗評価では、峠道でも4輪が接地しやすく、背が高く重いミニバンとしては旋回軌跡が外側へ膨らみにくいとされています。

高速道路で急な車線変更を行った際には車体が傾くものの、挙動の変化が穏やかで、後輪の安定感も高いと評価されました。

筆者としては、新型エルグランドの4WDで最も注目すべきなのは、悪路走破性よりも日常走行で乗員を揺らしにくくする制御だと考えます。

高級ミニバンは、運転席だけが気持ち良くても十分ではありません。2列目や3列目に座る家族が、発進、カーブ、減速のたびに体を揺さぶられないことが重要です。

e-4ORCEと可変サスペンションを組み合わせた狙いは、速いミニバンをつくることより、「大きく重い車体を自然に動かすこと」にあるのでしょう。


排気量1.5Lで2.5t近い車体を十分に走らせられる?

新型エルグランドの車両重量は、グレードによって2430~2510kgです。

「排気量1498ccのエンジンで、これほど重い車体を本当に走らせられるのか」と不安に感じる人もいるでしょう。

この疑問を考える際には、エンジンの排気量だけで判断しないことが大切です。

新型エルグランドは、1.5Lエンジンの力を変速機経由で直接タイヤへ伝える車ではありません。発進や加速は、前後の高出力モーターが担当します。

そのため、信号からの発進、合流、一般道での加速など、短時間に大きな力が必要な場面では、モーターの太いトルクとバッテリーの電力を活用できます。

一方で、長い上り坂や高速道路で強い加速を長時間続ける場面では、発電能力とバッテリー残量が走行性能に影響する可能性があります。

バッテリーの電力を多く使った後は、発電用エンジンが供給できる電力の範囲が重要になるためです。

これは新型エルグランドだけの欠点というより、シリーズ式ハイブリッドの性能を理解するうえで確認すべき性質です。

短時間の加速が力強いことと、その出力を長時間維持できることは、同じ意味ではありません。

国沢氏の記事に寄せられた反応でも、満員乗車や荷物を積んだ状態で長い上り坂を走る際の継続的な性能を気にする意見が見られました。

ただし、これらはユーザーの疑問や推測を含むものであり、新型エルグランドが実際に長い上り坂で大幅に失速すると確認されたわけではありません。

購入を考えるなら、短時間の試乗だけでなく、次の点を確かめたいところです。

  • 40~80km/h付近の中間加速
  • 高速道路への合流時の余裕
  • 上り坂でアクセルを踏み続けた際のエンジン音
  • 乗員を乗せた状態での再加速
  • 追い越し時の速度の伸び方

特に、アクセルを深く踏んだときに発電用エンジンの回転がどの程度上がり、その音が車内へどれほど入るのかは重要です。

e-POWERの長所はモーター駆動の滑らかさですが、強い負荷が続く状況では発電エンジンも働き続けます。高級ミニバンとしては、速さだけでなく音と振動の抑え方まで含めて評価すべきでしょう。

新型には高剛性ボディや遮音構造が採用され、一部モデルでは音を打ち消す技術も導入されています。

スペック表の馬力だけでは、この静粛性や加速の質までは分かりません。試乗では「何秒で速いか」よりも、「家族を乗せたまま無理なく速度を上げられるか」を見るのが実用的です。


新型エルグランドは旧型より燃費と税負担で有利?

新型エルグランドのWLTCモード燃費は16.8km/Lです。

内訳は、市街地モード15.2km/L、郊外モード17.8km/L、高速道路モード16.9km/Lと公表されています。CO2排出量は138g/kmです。

旧型3.5LモデルのJC08モード燃費はグレードによって9km/L台、2.5Lモデルも10km/L前後でした。

試験モードが異なるため単純比較はできませんが、2.4tを超える4WDミニバンでWLTCモード16.8km/Lを実現したことは、旧型からの大きな進歩です。

全車4WDでありながら、街中と高速道路の数値に極端な差がない点にも注目できます。

モーター駆動は発進と停止を繰り返す市街地で回生エネルギーを利用しやすく、エンジンを効率の良い条件で発電に使えるからです。

排気量が小さくなったことで、自動車税種別割の区分も変わります。

2019年10月1日以降に新車登録された自家用乗用車の場合、1498ccは「1001cc超~1500cc以下」の区分に入り、標準税額は年3万500円です。

旧型2.5Lモデルは年4万3500円、3.5Lモデルは年5万7000円の区分でした。

したがって、標準税額を単純比較すると、新型は旧型2.5Lより年1万3000円、旧型3.5Lより年2万6500円低くなります。

車両価格は689万7000円からと安くありませんが、排気量縮小によって毎年の税負担を抑えやすくなった点は、長く所有する人にとって見逃せません。

例えば10年間所有した場合、税額制度が変わらないという単純計算では、旧型3.5L区分との差は26万5000円になります。

これは購入価格全体から見れば一部ですが、タイヤ、保険、燃料、車検などに費用がかかる大型ミニバンでは、固定費が少しでも軽くなる意味は小さくありません。

ただし、実際の税額や減税措置は登録時期、自治体、税制改正などによって変わる可能性があります。購入時には販売店や自治体の最新情報を確認してください。


考察:新型エルグランドは「大馬力」より制御の質を見るべき

個人的には、新型エルグランドのエンジン性能を判断するとき、341馬力か約204馬力かという数字だけに集中するのは、少しもったいないと感じます。

前後モーターの合計値を大きく見せる説明は分かりやすい反面、実際に車両全体が発揮できる出力との違いを誤解させる恐れがあります。

一方で、システム最高出力だけを見て「2.5t近いのに約200馬力では足りない」と結論づけるのも早計です。

モーター車では、発進直後のトルク、アクセルへの応答、前後の駆動力配分、出力を路面へ無駄なく伝える制御が、体感性能を大きく左右します。

新型エルグランドの価値は、エンジンの140馬力やモーターの205馬力という単独の数値より、それらをe-4ORCEがどう使うかにあります。

前後モーターが常に最大出力を出さなくても、必要な車輪へ必要な瞬間だけ駆動力を配れば、発進やカーブでは十分に力強く感じられます。

また、2列目や3列目の快適性を考えると、強烈な加速力より、アクセルを踏んだ分だけ滑らかに速度が増すことのほうが大切です。

エルグランドはスポーツカーではありません。家族や同乗者を乗せ、高速道路を長距離移動する場面が多い車です。

その意味では、1.5Lターボ、前後モーター、e-4ORCE、可変サスペンションを一体で制御し、重い車体を落ち着いて動かす方向性は理にかなっています。

ただし、日産にはシステム全体の出力や、バッテリー残量による性能変化を、より分かりやすく示してほしいとも思います。

約700万円からの高額車だからこそ、購入者が前後モーターの合計値だけで性能を判断しなくて済む説明が必要です。

ピーク時の加速だけでなく、長い上り坂や高速巡航時にどれだけの出力を維持できるのかが明らかになれば、1.5Lという排気量に不安を持つ人も判断しやすくなるでしょう。

筆者としては、日常の発進、一般道、高速道路の合流では十分な力強さが期待できる一方、満員乗車で長い登坂を続けた際の性能とエンジン音は、実車で確認したい重要項目だと考えます。

スペック上の華やかな数字より、自分の使い方で必要な力が続くかどうか。それが、新型エルグランドを後悔なく選ぶための現実的な見方です。


まとめ

日産エルグランド新型は、総排気量1498ccの直列3気筒ターボを発電専用エンジンとして使い、前後モーターで走る第3世代e-POWERを採用しています。

エンジンは140馬力、フロントモーターは205馬力、リアモーターは136馬力です。ただし、前後モーターを足した341馬力を、そのままシステム最高出力と考えることはできません。

駆動方式は全車e-4ORCEの電動4WDで、滑りやすい路面への対応だけでなく、加速、旋回、減速時の車体姿勢や乗り心地まで制御します。

WLTCモード燃費は16.8km/Lで、排気量が1.5Lになったことにより、自動車税種別割も旧型2.5L・3.5Lモデルより抑えやすくなりました。

新型エルグランドのエンジン性能は、単純な排気量や馬力だけでなく、モーターの応答性、e-4ORCEの制御、長時間の登坂性能、静粛性まで含めて判断することが大切です。


よくある質問

日産エルグランド新型の排気量は何ccですか?

総排気量は1498ccです。直列3気筒1.5Lターボエンジンを搭載しますが、タイヤを直接駆動するのではなく、e-POWERの発電用として使われます。

新型エルグランドは341馬力ですか?

前モーター205馬力と後ろモーター136馬力を単純に足すと341馬力ですが、これを車両全体のシステム最高出力と断定することはできません。実際の出力は、発電能力とバッテリーから供給できる電力の範囲に左右されます。

新型エルグランドに2WDはありますか?

標準モデルのXとGを含め、基本構成は全車e-4ORCEの電動4WDです。ノーマルガソリンエンジン車や2WDモデルは設定されていません。

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