ホンダSuper Oneプロトタイプは、日常で使える小型EVに、疑似変速や走行音などの「運転する楽しさ」を加えたスポーツモデルです。
市販車「Super-ONE」は2026年5月21日に発売され、展示イベントやHonda Carsの展示・試乗車検索を通じて実車を確認できる段階に入っています。
ホンダSuper Oneプロトタイプとは?
ホンダSuper Oneプロトタイプは、Hondaが「Japan Mobility Show 2025」で公開した小型EVの試作モデルです。
グランドコンセプトには、勢いよく走り出すイメージを込めた「e: Dash BOOSTER」が掲げられました。
単に排出ガスを出さずに移動するだけではなく、車内での演出によって、いつもの通勤や買い物を刺激的な体験に変えることを目指したモデルです。
HondaはSuper-ONE Prototypeについて、環境性能や日常での使い勝手に加え、小型EVらしい軽快な走りと、五感を刺激する演出を組み合わせたクルマだと説明しています。
つまり、航続距離や充電性能だけを競うEVではありません。
運転操作に対してクルマが音や表示、加速感で応えてくれることが、Super Oneプロトタイプ最大の特徴です。
従来のEVには「静かで滑らかだが、運転の刺激が少ない」という印象もありました。
Super Oneは、その静かさを残しながら、あえて疑似的なエンジンサウンドや変速感を加え、ドライバーがクルマを操っている感覚を強めています。
筆者としては、この方向性は非常にホンダらしいと感じます。
EVだから楽しさを我慢するのではなく、電動化されたからこそ可能になる演出で、新しい運転体験をつくろうとしているからです。
ホンダSuper Oneプロトタイプと市販車の違いは?
Super-ONE Prototypeは、2025年のモビリティショーで市販化に向けた方向性を示した試作車です。
その後、Hondaは市販モデルの「Super-ONE」を2026年5月21日に発売しました。
そのため、現在「ホンダ Super One プロトタイプ」と検索している人が目にする情報には、ショーに展示された試作車と、実際に販売されている市販車の情報が混在しています。
大きな流れを整理すると、次のようになります。
- 2025年:Japan Mobility Show 2025でSuper-ONE Prototypeを公開
- 2026年5月21日:市販モデルのSuper-ONEを発売
- 2026年:全国のイベントや販売店で車両展示を実施
- 市販後:公道試乗記事や公式動画が順次公開
プロトタイプの基本思想である「小型EVで操る喜びを味わう」という考え方は、市販モデルにも受け継がれました。
市販車は軽EVの「N-ONE e:」をベースにしながら、車幅やトレッドを広げ、軽自動車ではなく登録車として販売されています。
公表されているボディーサイズは、全長3580mm、全幅1575mm、全高1615mmです。
軽自動車規格の全幅1480mmを超えているため、見た目はN-ONEに近くても、分類上は軽自動車ではありません。
車両価格はモノグレードで339万200円とされています。
ただし、販売価格は販売会社が独自に決めるため、諸費用やオプションを含めた実際の支払総額は販売店によって変わります。
ボディーカラーによっては追加料金が必要で、公式サイトでは一部カラーについて10万4500円高になるとの注意書きもあります。
価格だけを見ると、一般的な軽自動車よりかなり高額です。
一方で、疑似変速を含む走行演出や専用シャシー、スポーツシートまで備えていることを考えると、単なるN-ONEの電気自動車版として比べるべきクルマではありません。
Super Oneの走りは何が特別なのか?
Super-ONEの注目点は、EVでありながら、運転中にエンジン車のような音や変速感を楽しめることです。
走行モードには、用途に応じた複数の設定が用意されています。
- 省エネルギー走行を意識した「イーコン」
- ワンペダル感覚で扱いやすい「シティー」
- 日常走行とのバランスを重視した「ノーマル」
- 応答性や疑似変速を楽しめる「スポーツ」
- 出力と演出を高める「ブースト」
スポーツモードでは、BOSEのスピーカーから人工的なエンジンサウンドが流れ、仮想的な7段変速が再現されます。
実際にはエンジンも多段式の変速機も搭載していません。
モーター出力や車内スピーカー、メーター表示などを連動させることで、加速時の回転上昇や変速ショックのような感覚をつくっています。
さらにブーストモードを選ぶと、最高出力は通常時の64PS、47kWから、95PS、70kWへ高まります。
メーターもパープルを基調とした表示へ切り替わり、疑似エンジンサウンドや変速感も、より明確になると報告されています。
同様の演出は、ヒョンデ「アイオニック5 N」などの高性能EVでも採用されています。
ただしSuper-ONEは、それを339万円台の小型ハッチバックに取り入れた点が特徴です。
筆者が特に面白いと感じるのは、速さだけではなく、低い速度域でも楽しさを感じられるように設計されていることです。
高出力EVの性能を公道で使い切るのは簡単ではありません。
Super-ONEは車体を小さく軽くし、音や変速感を組み合わせることで、街中や曲がりくねった道でも楽しめる方向に振っています。
1090kgの軽さと専用シャシーが走りを支える
Super-ONEの車両重量は1090kgです。
EVは大容量バッテリーを積むことで重くなりやすい一方、Super-ONEはバッテリーを必要以上に大型化せず、軽快さを優先しました。
一充電走行距離はWLTCモードで274kmとされています。
航続距離だけを見れば、400kmや500kmを走れる大型EVに及びません。
しかし、日常の買い物や通勤、週末のドライブを想定すれば、現実的な距離と考える人も多いでしょう。
車体の軽さは、加速だけでなく、曲がる、止まるというすべての動作に影響します。
箱根の山岳路で行われた公道試乗では、ワイドトレッドと専用サスペンションによる安定感や、ステアリング操作に対して素早く向きを変える反応の良さが評価されています。
足回りには、専用設計のアルミ鍛造製フロントロアアームを採用しています。
左右のドライブシャフトには、ねじり剛性をそろえた左右等剛性ドライブシャフトが使われ、加速時やコーナリング時に左右の駆動力を均等に伝えられるよう工夫されました。
タイヤには、グリップ性能と静粛性の両立を狙ったヨコハマタイヤの「ADVAN FLEVA」が装着されています。
軽EVをベースにしているからといって、外観だけをスポーティーにしたモデルではありません。
シャシーやサスペンション、駆動系まで手を加え、ホットハッチとして成立させようとしていることが分かります。
室内はスポーツ性と日常の使いやすさを両立
Super-ONEの前席には、身体を左右から支えるバケットタイプのスポーツシートが採用されています。
スポーツシートというと、乗り降りしにくく、日常では疲れやすい印象を持つ人もいるでしょう。
しかし試乗記事では、薄手に見えながらも、カーブで身体をしっかり支える実用的なシートとして評価されています。
インパネは水平基調で、コンパクトな車体でも前方の視界を広く感じられる設計です。
中央のディスプレイにはGoogleが搭載され、音声によるナビゲーションや音楽再生にも対応します。
一方、エアコン操作には物理スイッチが残されています。
画面を何度もタッチしなくても温度などを調整できるため、走行中の扱いやすさを優先した判断といえます。
後席には大人2人分のスペースが確保され、左右独立式のヘッドレストも備わります。
Honda車でおなじみのチップアップ機構も採用され、後席の座面を跳ね上げれば、背の高い荷物を立てたまま積載できます。
後席を倒すことで、より広く平らな荷室をつくることも可能です。
スポーツEVでありながら、買い物や旅行、趣味の道具の運搬にも使える点は、Super-ONEの大きな魅力でしょう。
ただし、ドライビングポジションについては注意も必要です。
試乗では、大柄なドライバーに対して、ステアリングの上下・前後調整幅に改善の余地があるとの指摘がありました。
これは軽自動車由来のコンパクトな骨格で衝突安全性能を確保するため、ステアリング周辺の設計に制約が生じたことも関係しているとされています。
体格によって印象が変わりやすい部分なので、購入前には実際に運転席へ座り、シート位置やペダルとの距離を確認したいところです。
ホンダSuper Oneの展示はどこで見られる?
Hondaは、Super-ONEを間近で確認できる展示イベントを実施しています。
「DREAMS COME TRUE by Honda 2026ツアー車両展示」では、コンサート会場に合わせて全国各地で車両が展示されます。
2026年8月5日時点で、今後予定されている主な日程は次の通りです。
日程 展示会場 所在地
8月29日〜8月30日 広島グリーンアリーナ 広島県広島市
9月19日〜9月20日 マリンメッセ福岡A館 福岡県福岡市
9月26日〜9月27日 横浜アリーナ 神奈川県横浜市
これまでには、日本ガイシホール、横浜アリーナ、北海きたえーる、あなぶきアリーナ香川、広島グリーンアリーナでも展示が行われました。
ただし、ツアー会場で展示される車両は試作車です。
市販車とは一部の仕様が異なる可能性があり、タイプやカラーも予告なく変更される場合があります。
また、このイベント展示では運転を伴う試乗はできません。
イベントは、外観やサイズ感、デザインの雰囲気を間近で確かめる機会と考えるのがよいでしょう。
天候や災害などの事情で中止される可能性もあるため、出かける前にHonda公式のイベント情報を確認することが大切です。
ホンダSuper Oneを試乗する方法は?
Super-ONEを実際に運転したい場合は、Honda公式サイトの「展示・試乗車検索」を利用する方法が基本です。
検索ページでは、現在地や住所、郵便番号から周辺のHonda Cars店を探せます。
試乗を希望する場合は、「試乗車のみを探す」に設定して検索すると効率的です。
ただし、検索結果に車両が表示されていても、別の利用者が予約している場合や、一時的に他店舗へ移動している場合があります。
Hondaも、来店前に販売店へ電話で確認するよう案内しています。
試乗前には、次の点を確認しておくと判断しやすくなります。
- ノーマルモードでの乗り心地と静粛性
- スポーツモードの疑似7段変速
- ブーストモードの加速感と音の好み
- スポーツシートの乗り降りと身体の支え方
- ステアリングやペダルの位置
- 後席の広さと荷室の使い勝手
- 自宅や生活圏での充電方法
特に疑似エンジンサウンドは、記事や動画だけでは好みを判断しにくい部分です。
楽しいと感じる人がいる一方で、静かなEVを求める人には演出が強すぎる可能性もあります。
短時間の試乗でも、スポーツモードと通常モードの両方を試し、自分の使い方に合うか確認することが重要です。
Super Oneプロトタイプから見えるホンダEVの狙い
ここからは筆者の私見です。
Super-ONEが重要なのは、単に小さくて速いEVを発売したことではありません。
EVの商品価値を「長い航続距離」や「大画面」「高級感」だけで考えず、運転の楽しさに置き直した点に意味があります。
近年のEVは、バッテリー容量を増やして航続距離を延ばす方向へ進んできました。
その結果、車体が重くなり、価格も上昇する傾向があります。
Super-ONEは一充電274kmに抑える代わりに、1090kgという軽さと小さなボディーを手に入れました。
これは、すべての用途を1台で満たそうとするのではなく、日常生活で使う距離を見極め、その範囲内で楽しさを最大化する考え方です。
個人的には、Super-ONEは「EVを買うべきか」と悩んでいる人よりも、「小さくて面白いクルマが欲しい」と考えている人に向いていると思います。
ガソリン代の節約だけを目的に339万円台を支払うと、価格差の回収には長い時間がかかる可能性があります。
一方、スポーツシートや専用足回り、疑似変速、ブーストモードまで含めて評価するなら、比較対象は一般的な軽EVではなく、小型スポーツモデルになります。
国のCEV補助金について、Honda公式サイトには130万円との案内があります。
東京都の場合は地方自治体の補助金として90万円以上という表示もありますが、補助額は居住地域や申請条件、登録時期によって変わります。
申請総額が予算上限に達すれば受付が終了するため、車両価格から単純に補助金額を差し引けるとは限りません。
購入を検討する際は、販売店で適用条件と実際の支払総額を確認する必要があります。
まとめ
ホンダSuper Oneプロトタイプは、「e: Dash BOOSTER」を掲げ、日常の移動に刺激や高揚感を加える小型EVとして登場しました。
市販モデルのSuper-ONEは2026年5月21日に発売され、339万200円のモノグレードで販売されています。
通常時64PSからブースト時95PSへ高まる出力、疑似7段変速、人工的なエンジンサウンド、1090kgの軽量ボディーが主な特徴です。
一充電走行距離はWLTCモード274kmで、長距離性能を最優先するのではなく、日常で扱える範囲と走りの軽快さを両立させています。
イベント会場ではプロトタイプの展示を見られますが、運転を伴う試乗はできません。
実際に走りを確認したい場合は、Honda公式の展示・試乗車検索で近くのHonda Cars店を探し、電話で車両の在庫と予約状況を確認してから来店しましょう。
よくある質問
ホンダSuper Oneプロトタイプは市販されていますか?
プロトタイプをもとにした市販モデル「Super-ONE」が、2026年5月21日に発売されています。
展示イベントの車両は試作車の場合があり、市販車とは一部仕様が異なる可能性があります。
ホンダSuper Oneの展示イベントで試乗できますか?
DREAMS COME TRUE by Honda 2026ツアー会場での車両展示では、運転を伴う試乗はできません。
試乗を希望する場合は、Honda公式の展示・試乗車検索から試乗車のある販売店を探す必要があります。
Super-ONEは軽自動車ですか?
軽EVのN-ONE e:をベースにしていますが、全幅1575mmで軽自動車規格を超えるため、登録車として販売されます。
見た目はコンパクトでも、税金や車検などの区分は軽自動車とは異なります。
筆者:ソロ(新車・カーライフ愛好家)